【コラム】上海ローソンの吉田くん|WD ONLINE

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One's View コラム Web Designing 2017年10月号

【コラム】上海ローソンの吉田くん 今号のお題「Facebookコンテンツ」

さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。

今回テーマが「決済」ということで、最近、決済ではなにかと話題の中国・上海について書こうと思います。

上海には年に数回出張で訪れていて、ものすごいスピードの早さで変化していくなあと、行くたびに感じています。毎回、上海ローソンでマーケティングを担当している吉田くんがアテンドしてくれて、現地で始まったばかりのサービスや流行っているものなども教えてくれます。

特に決済分野はアリペイやWechatPayを筆頭に、アメリカで見聞きするような同種のサービスより進んでいるじゃないか? という感もあり。聞くところによると、なんと上海ローソンでは電子決済比率が60%を超えている(!)とのことなのです(ちなみに、日本では10%程度です)。

ところでこの吉田くん、6年前は日本でアニメキャンペーンを一緒に企画していました。中国に赴任した5年前はまったく中国語を喋ることができませんでした。それゆえ、アテンドしてくれる時もタクシーの運転手さんに行き先を伝えることすらできず困っていた吉田くん…。いまとなっては中国語を習得し、さらにはタクシーも中国版UBER「滴滴打車」アプリを活用して呼んでくれるなど、すっかり上海での生活にも慣れた様子です。

そんな吉田くんのいる上海ローソンで、ちょうど6月から新しい電子決済をスタートしました。名付けて「上海ファストパス」です(勝手に命名しました)。店内で商品をあらかじめ専用アプリでスキャンすることで、ついイライラしがちなコンビニエンスストアでのレジ待ちを解消してしまう、電子決済システムです。レジとは別に用意されている「ファストパスレーン」を通り、QRコードを見せるだけで買い物ができてしまいます。

ジュース1本買うのに長い列に並んで、店員が商品のバーコードをスキャンして、という既存の購入までの流れとそれに要する時間が短縮できるのです。このシステムがお客さまから好評で、ゆくゆくはレジを通過しなくても支払いが完了する仕組みも考えている、とのことでした。

ちょうど6月に訪れた際にお店で決済の現場を見せてもらったときのこと。「ベンチャーが始めたサービスをどうすれば上海ローソンで実現できるか。マーケティングとIT部門で話し合って、導入までスピードをあげて開発に取り組みましたよ」と、ニコニコ話す吉田くん。ずいぶんと成長したなあと、感慨深くなりました。国はもちろんのこと、店舗数も異なる環境で果敢に「やってみる」「チャレンジしている」姿勢に感心するとともに、日本でも同じことができないかとメンバーで考えてみたのですが、そこには高いハードルが…。けれども「私もやったるでー!」とナゾの闘志を燃やした出張となりました。

レジとは別に設置されているブルーのラインが「ファストパスレーン」。キャッシュレスが進んでいる上海では好評のシステムで、長いレジ待ちをすることなく決済が行えます

 

ナビゲーター:白井明子
(株)ローソン デジタルプラットフォーム部シニアマネジャー。デジタルプラットフォームを用いた施策の構築と企画を担当。「Web人大賞」、日経ウーマン「ウーマン・オブ・ザ・イヤー準大賞」受賞。ACC新事業検討委員会委員、法政大学イノベーションマネジメント研究センター客員研究員。http://www.lawson.co.jp/

掲載号

Web Designing 2017年10月号

Web Designing 2017年10月号

2017年8月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

決済の改善は売上拡大に直結する!

サンプルデータはこちらから

企業のIT推進担当者やネット運営者に向け、ネットビジネスの課題を解決するノウハウや最新情報をお届け。徹底した現場目線とプロへの取材&事例取材で、デジタルマーケティング施策に取り組む上での悩みや疑問、課題を解決するヒントを紹介します。

10月号のテーマは「Webビジネスとお金」。電子決済やポイントシステム、はたまた仮想通貨で変わるビジネスの世界を追究します。



技術の進化に伴い、決済方法の多様化・自由度拡大により、ビジネスは大きく変わろうとしています。

①ビジネスのバージョンアップ
 ・新しい市場、新しいマネタイズ

②お金まわりに関わるコスト削減

これは、大企業がやっていることでウチのような中小企業には関係ない、で済ませて本当にいいのでしょうか?

さらに新しい技術の波(仮想通貨)が近い将来に確実に押し寄せようとしている中で、すでに波が来てしまってから慌てても遅いのではないでしょうか。そして、あなたのビジネスをさらにバージョンアップさせる可能性が眠っていないでしょうか?


本特集で、電子決済・電子マネー・そして仮想通貨という「これからの決済」を軸に、決済の進化があなたの(Web)ビジネスをどうバージョンアップさせるのか追究してみましょう。


●日本の決済の現状とIT技術進化によるビジネスの変化、中小企業にとってどんなチャンス(注意点)があり、どんな認識・準備が必要か

●データで見る、顧客の意識・利用調査、海外の現状

●身近な事例で見る、ITの進化で生まれた新しい決済方法

●決済の進化が変える<収益増大・市場拡大> 
 ・越境ECをメインに海外の状況、すでに日本で対応している例、これから小規模ビジネスでもビジネスチャンスを逃さないために必要なポイントなどを解説します。

●決済の進化が変える<買い逃し防止>  
 ・ユーザー側にすでに幾多の決済方法が用意されている現状で、指をくわえて商機を逃す(かご落ちさせる)わけにはいきません。業界、業態、商品によってどの決済方法は必須なのか、それによる費用対効果は?


●決済の進化が変える<マーケティング> 
 ・電子決済、Webマネーで期待できることとして、POSでは計れない購買データ、顧客データがマーケティングに活かせるというポイントがありますが、実際にはどんなサービスでどんなデータが取れ、それを何に活かせるのでしょうか。大手ペイメントシステム会社に聞きました。

●決済の進化が変える<業務効率化・コスト削減>

●決済の進化が変える<新しいビジネスモデル>

●決済サービスとセキュリティ

●ポイントシステム導入に必要なこと
 ・中小企業におけるポイントシステムの費用対効果は? ポイントは課税?非課税?など


●仮想通貨
 ・近い将来にやってくる、今まで決済の進化から考えられるビジネスのバージョンアップを現実のものにできるかもしれない、仮想通貨の基礎知識と、それにより具体的にどんなビジネスが可能になるのかまで言及します。