2016.08.18
ブランド価値最大化のために デザイン思考でコミュニケーションを構築 株式会社ツートン
アートディレクション・デザインの観点でクライアントをサポートするTWOTONE(ツートン)。同社が大切にしているのは「デザイン思考でクライアントとエンドユーザーのコミュニケーションを構築する」ということだ。では、実際の案件ではどのようなアプローチを行っているのだろうか。代表取締役・アートディレクターの茂出木龍太氏、デザイナーの渡邉唯氏、門倉靖典氏に話をうかがった。
重要なのはビジュアルコミュニケーション
デジタルマーケティングが重要視される今、制作会社はサイトを作るだけでなく、クライアントのサービスを共に作る存在となっている。社員全員がデザイナーであり、優れたデザイン力を持つTWOTONEは、デザイン的な観点からクライアントの価値を最大化し、ユーザーとクライアントを繋ぐコミュニケーションをつくることに努めている。
「企業がモノを売るためには、ユーザーに選択してもらう理由を示す必要があります。そこで重要なのが、ユーザーに気を使いすぎず、なおかつ説明不足でもない、ほどよい距離感のコミュニケーションだと思っています」(茂出木氏)
そのためには、クライアントとの関係性を深めることが不可欠だ。
「クライアントとは何度も議論して商品のこだわりや魅力を引き出し、私たちが消費者目線で提案することによって関係を構築しています」(渡邉氏)
こうしたTWOTONEのコミュニケーションへのこだわりが具現化されたのが、イギリスのアウトドアブランド「karrimor(カリマー)」の事例だ。リニューアルにあたり、新たにEC機能をつけ、同時に日本でのブランド認知を拡大するという要件だったが、クライアントには一つの懸念があったという。
「karrimorの販売スタイルは、店頭でユーザーと会話し、商品の魅力を理解した上で購入してもらうというもの。そのため、Web上で商品の魅力が伝えられるのかを懸念されていました」(茂出木氏)
そこで提案したのが「写真を通して会話をさせる」というものだった。
「ビジュアルで丁寧に情報を伝えることで、Web上でユーザーとコミュニケーションできます。そのために、商品写真の撮影方法も提案させていただきました」(渡邉氏)
こうしたビジュアルコミュニケーションは、同社の得意分野だ。
「『星野リゾート 界』も、写真とコピーを大事にしています。ビジュアルがダメだと真の魅力は伝わりませんから」(門倉氏)
ドメイン名でコミュニケーションする
karrimorや星野リゾート 界では、ドメイン名に「.jp」を採用している。
「karrimor japanはイギリス発のブランドでありながら、日本国内向けの商品を作っていますので、『japan』を示すことも大事と考え『.jp』を提案しました。界は温泉旅館のサイトですし、どちらも日本発という安心感や信頼感、日本らしさを伝えるために『.jp』は有効だと思います。普段から、特別な理由がない限りは、『.jp』を提案しています」(茂出木氏)
ドメイン名の提案をする場合には、こんな配慮もしている。
「基本的にドメイン名は短い方が良いものの、いまは直接URLを入力するよりも検索流入が多くなっていますし、長くても正確な名前の方が良いと考えています。とはいえ、後ろの部分を2文字と短くできるのが『.jp』のメリットです」(茂出木氏)
また、『.jp』という言葉自体が、サイトコンセプトの訴求にも役立てられる。
「弊社が制作に携わる『郵便年賀.jp』は、若年層に年賀状を作る楽しさを伝えるサイトです。郵便や年賀という言葉は正統な印象ですが、サイト名に『.jp』があることで若年層にも親しみやすさを感じさせる効果があると思います」(茂出木氏)
つまり、ドメイン名もコミュニケーションツールの一つということだ。TWOTONEでは、コミュニケーションを構築する力を身につけるため、表現力を磨くことも大事にしていて、各スタッフの表現の場として『TWOTONE Zine』というサイトも公開している。デザイン会社としてはもちろん、表現者集団としても注目だ。
企画協力:株式会社日本レジストリサービス