2016.07.05
面白いだけじゃない高度な技術力。「カヤックのしごと展」レポート
5月21日、東京は品川にて面白法人カヤックによる「カヤックのVR展」と「カヤックのしごと展」、「1社だけの合同説明会」が開催された。「カヤックのしごと展」は昨年、1日で約1,000人が来場したとだけあって今年の注目度も高く、会場には多くの"カヤックファン"がつめかけた。なかでも注目を集めたのはカヤック VR部によるVRコンテンツの展示だ(カヤックは2年前より取り組んでいたVRコンテンツ制作を加速させるため2015年夏、正式に「VR部」を設立した)。カヤックの最新技術をつかった貪欲な制作魂が垣間見れる本イベント。一部ではあるが、WD Onlineでも紹介したい。
今回の展示が初出となった『VR寿司』。握ってもらいたい寿司ネタを選んでからOculusRiftを装着する。この寿司ネタは本物ではないが、映像の中ではきちんと寿司の形をしており、あたかも本物を食べているように感じられる。映像は実際の寿司屋を360度撮影したとあってまるで本当に目の前に板前がいるかのよう。VRの中だけではない外観のつくり込みもさすがだ。
建設機械用アタッチメントを開発、製造するタグチ工業とともに制作した「GUZZILA VR」も展示され、体験希望者で長い列をつくっていた。「GUZZILA(ガジラ)」とは鉄骨やコンクリート造形物も切断するカッターシリーズの名称だ。「GUZZILA VR」では重機型巨大ロボットのスーパーガジラに乗り込み、爆発寸前の汚染施設から脱出するというストーリー。脱出経路には障害物が並び、それをスーパーガジラで破壊していくのだ。
実際のイベントではタグチ工業が制作した全長7メートル、総重量15トンの巨大ロボットに乗り込むのだが、今回はコックピット内のみを展示。重低音を振動として伝える振動モジュールを導入しており、映像の中で衝突や爆発などが起きると椅子から振動が伝わる。ヘッドフォンから聞こえてくる司令長の声にも緊張感があり、敵が現れるとぐっと体を固めてしまう。OculusRiftを外しVRの世界から現実に戻ってきたときは「もう終わってしまった」と後ろ髪を引かれる気持ちと「戻ってこられた」という安堵が混じったため息をつくくらい没入してしまった。
「ベビーバスケ」は、乱暴に扱うと大声で泣き出してしまう特殊なボールを使ったバスケットボールだ。「もしもボールが赤ちゃんだったら?」をテーマに開発されたゆるスポーツで、「スポーツ弱者を、世界からなくす」をコンセプトに年齢・性別関係なく誰もが楽しめる世界を目指しているという。通常のバスケットボールは、ドリブルで強く床に叩きつけたり、早いパスを投げる。だが、カヤックが開発した「ベビーバスケ」は叩いたり、勢い良く投げたりするのはNG。競技スポーツのように扱うと大声で泣き出してしまう。優しく優しく、まるで赤ちゃんをあやすかのように取り扱わなければならないのだ。体験者もはじめは緊張した面持ちなのだが「ベビーバスケ」に参加すると照れながらも優しい顔つきに変わっていく。誰も彼も優しくならざるをえない「ベビーバスケ」は企業研修にも導入されるという。他人を思い合うコミュニケーションが生まれるのだろう。
イベントには上記の作品のほかにも「ちゃんりおメーカー」や「VRインターン」、「FACE MELODY」などさまざまな作品が展示された。印象的だったのは来場者だけでなくカヤック社員も楽しそうにしていたことだ。コンテンツの説明から開発の苦労話まで笑顔で話す姿は、面白法人に込められた“「面白い人」より「面白がる人」であれ”という理念を体現していた。併設された「1社だけの合同説明会」にもたくさんの学生・転職希望者が来場、カヤック社員と直接触れ合うことで、カヤックのマインドを体感したことだろう。これからも、カヤックが放つ渾身の作品に注目し続けたい。
初出!『VR寿司』
今回の展示が初出となった『VR寿司』。握ってもらいたい寿司ネタを選んでからOculusRiftを装着する。この寿司ネタは本物ではないが、映像の中ではきちんと寿司の形をしており、あたかも本物を食べているように感じられる。映像は実際の寿司屋を360度撮影したとあってまるで本当に目の前に板前がいるかのよう。VRの中だけではない外観のつくり込みもさすがだ。
映像とあわせた振動が臨場感を高める「GUZZILA VR」
建設機械用アタッチメントを開発、製造するタグチ工業とともに制作した「GUZZILA VR」も展示され、体験希望者で長い列をつくっていた。「GUZZILA(ガジラ)」とは鉄骨やコンクリート造形物も切断するカッターシリーズの名称だ。「GUZZILA VR」では重機型巨大ロボットのスーパーガジラに乗り込み、爆発寸前の汚染施設から脱出するというストーリー。脱出経路には障害物が並び、それをスーパーガジラで破壊していくのだ。
実際のイベントではタグチ工業が制作した全長7メートル、総重量15トンの巨大ロボットに乗り込むのだが、今回はコックピット内のみを展示。重低音を振動として伝える振動モジュールを導入しており、映像の中で衝突や爆発などが起きると椅子から振動が伝わる。ヘッドフォンから聞こえてくる司令長の声にも緊張感があり、敵が現れるとぐっと体を固めてしまう。OculusRiftを外しVRの世界から現実に戻ってきたときは「もう終わってしまった」と後ろ髪を引かれる気持ちと「戻ってこられた」という安堵が混じったため息をつくくらい没入してしまった。
企業研修などにも導入される「ベビーバスケ」
「ベビーバスケ」は、乱暴に扱うと大声で泣き出してしまう特殊なボールを使ったバスケットボールだ。「もしもボールが赤ちゃんだったら?」をテーマに開発されたゆるスポーツで、「スポーツ弱者を、世界からなくす」をコンセプトに年齢・性別関係なく誰もが楽しめる世界を目指しているという。通常のバスケットボールは、ドリブルで強く床に叩きつけたり、早いパスを投げる。だが、カヤックが開発した「ベビーバスケ」は叩いたり、勢い良く投げたりするのはNG。競技スポーツのように扱うと大声で泣き出してしまう。優しく優しく、まるで赤ちゃんをあやすかのように取り扱わなければならないのだ。体験者もはじめは緊張した面持ちなのだが「ベビーバスケ」に参加すると照れながらも優しい顔つきに変わっていく。誰も彼も優しくならざるをえない「ベビーバスケ」は企業研修にも導入されるという。他人を思い合うコミュニケーションが生まれるのだろう。
“面白法人”に込められた思い
イベントには上記の作品のほかにも「ちゃんりおメーカー」や「VRインターン」、「FACE MELODY」などさまざまな作品が展示された。印象的だったのは来場者だけでなくカヤック社員も楽しそうにしていたことだ。コンテンツの説明から開発の苦労話まで笑顔で話す姿は、面白法人に込められた“「面白い人」より「面白がる人」であれ”という理念を体現していた。併設された「1社だけの合同説明会」にもたくさんの学生・転職希望者が来場、カヤック社員と直接触れ合うことで、カヤックのマインドを体感したことだろう。これからも、カヤックが放つ渾身の作品に注目し続けたい。