技術者が切磋琢磨する環境づくり|WD ONLINE

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特別企画 [PR] Web Designing 2022年12月号

技術者が切磋琢磨する環境づくり 次代の課題解決を担うデジタル技術浸透のために

情報過多時代の企業におけるコミュニケーションの理想と現実

AIやIoTなどの最新技術は名前が知られて久しいですが、まだ外出先や音声で家電などを操作するものという程度の認識が一般的なようです。しかし、どちらもビジネス課題や社会課題をも解決し得る高いポテンシャルを持つ技術です。その力を発揮するためには、扱う技術者自らが研鑽し、その成果に対する客観的評価を知ることができる場がとても大事になります。自社独自のAI活用技術を持つ(株)情報システムエンジニアリングでは、そうした技術力を鍛える道場として、あるコミュニティを活用しているそうです。

(後列左)富樫雄一
(一社)ifLinkオープンコミュニティ
(後列中)濱陽介
(株)情報システムエンジニアリング
(後列右)涌井優子
(一社)ifLinkオープンコミュニティ
(前列左)磯崎亜樹
(一社)ifLinkオープンコミュニティ
(前列右)伊藤克巳
(株)情報システムエンジニアリング

【CONVERSATION 1】技術者が己を知り高め合う道

経済産業省が2020年に公表した「DXレポート2」※01では、日本の情報サービス産業は大きな市場規模を持つにも関わらず、今後の成長において構造的な問題があることが指摘されていました。それは、受託開発の仕事に従事する技術者が圧倒的に多いということ。アメリカでは7割弱の技術者が企業のIT部門で自社開発案件を手がけているのに対し、日本の技術者は受託案件を請け負うIT企業に勤める人が7割強となっていて※02、これは世界でも特殊な傾向です。そして同レポートでは、受託業務から脱却し、自社の技術を活かした新規事業の開拓が必要だと説いています。

独自技術に基づく事業を展開する情報システムエンジニアリングは、社員を技術者集団として育てることが大事だと考えていました。その一環として参加しているのが、IoT技術の浸透を目指す「ifLinkオープンコミュニティ」です。代表取締役社長の黒田聡氏は、「社員たちが他者と切磋琢磨して技術を研鑽し、その評価を知るための“道場”として、ifLinkオープンコミュニティを活用させてもらっています。社員たちも前向きに取り組んでくれています」と話します。

※01 https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-2.pdf
※02 出典:IPA「IT人材白書2017」

 

黒田 聡
(株)情報システムエンジニアリング 代表取締役社長
ifLinkオープンコミュニティ https://iflink.jp/

 

【CONVERSATION 2】AIソリューションの可能性も広げるIoT

ifLinkオープンコミュニティとは、多様な業種の企業がIoTに関わる自社の技術やアイデアを持ち寄り、その活用法を考えるコミュニティです。IoTは、外出先から家電の操作をしたり、音声操作で音楽を再生したりといった意味では根付きつつあると言えます。しかし、IoTができることはそれだけではありません。もっと社会課題やビジネス課題を解決するものを実現できるポテンシャルを持っています。

このコミュニティは、電子機器製造業や技術者でなくても参加できる点が特徴です。ifLinkオープンコミュニティの富樫雄一氏は、「PCまたはスマホのアプリで、発動のきっかけを指定する『IF』と、それを受けてどのデバイスが動作するかを指定する『THEN』を選ぶという簡単な仕組みで、IoTソリューションを考えることができます」と解説します。例えば、IFで「部屋の気温が30℃以上になったら」を選び、THENで「アラートメールを送る」といった具合です。

情報システムエンジニアリングでは、ifLinkオープンコミュニティに複数の社員が参加しています。同社の伊藤克巳氏は、その活動をこう話します。

「弊社で開発を進めている、エッセンシャルワーカーの仕事においてAIが状況を判断し必要な情報を的確に提供する仕組み『worktransform®』の中の一つに、『Right4T™(ライトフォータスク)』という担当者の育成期間短縮のためのソリューションがあります。その役割の一つが、経験の浅い人だと状況判断やそれを他者に伝えるための言語化が難しいという課題を解決することです。スマホで写真を撮ればAIが状況を適切に分類します。ifLinkのプラットフォームを用いて、例えば異常をセンサーで検知することをIFとして、そのときに何をすればよいかというように、IoTを組み合わせてより便利に解決できるアプリを公開するためのアイデアを練っています」

IFとTHENを組み合わせる

スマホやPCのアプリにあるリストの中から、任意のIFとTHENを選んで組み合わせるだけでIoTサービスを考えていくことができます。その組み合わせを「レシピ」と呼んでいます

 

【CONVERSATION 3】多様な会員との交流で発想力と技術力を楽しみながら鍛えていく

ifLinkオープンコミュニティではさまざまな活動の場が設けられています。プレミアム会員になっている大手企業がお題を出してその解決方法を募るもの、特定テーマに興味のある仲間でチームをつくり継続的なプロジェクトとするもの、コミュニティのSlackで会員個人がアイデアを募るものなど。

「例えば、振動すると発電する電池レスのビーコンを持つ会員企業の方から、その使い方のアイデアを募るということがありました。そうすると、一人暮らしのお年寄りのベッドに設置して、寝起きの振動で無事を確認するなど、次々とアイデアが集まってきます」(富樫氏)

2022年9月時点で136組の企業・団体が会員になっており、多種多様な業種の企業、スタートアップ、学校法人や非営利団体まで、とても幅広いメンバーが参加しています。みな必ずしも技術に詳しい人だけではありません。学生からベテランまで年代や専門分野、経験してきたキャリアもさまざまです。そのメリットについて、ifLinkオープンコミュニティの涌井優子氏と富樫氏はこう話します。

「IoTの知識がない方やさまざまな専門知識・キャリアを持つ方が交流することによって、幅広いアイデアが出てきます。また、世の中にIoTで解決できるさまざまな課題があることもわかってきます」
(涌井氏)

「ずっと同じ会社の中でアイデアを出していても、そのうち行き詰まりアイデアが貧困になってしまいますが、普段の業務では接しないような多様なメンバーが参加することで、いいアイデアが生まれやすくなります」(富樫氏)

実際に、伊藤氏はこんな感想を持ったと言います。

「既存の業務とは違ったチャレンジをできるところが刺激になり楽しいです。普段接する機会の少ない技術に触れ、多彩な人々とアイデアをぶつけ合うことで、自身の技術力向上にも役立っていると感じています」(伊藤氏)

また、IoTサービスの開発・利用に興味を持つ人はまだまだ少数であり、そうした人口を増やしていくことも同コミュニティの使命となっています。そのためにデジタル庁と共に小学生向けに夏休みの自由研究としてIoT開発の体験学習を行ったり、大学での特別出張授業を開催したりしています。東海大学での講義は、情報システムエンジニアリングの濱陽介氏が担当しました。その時の様子をこう話します。

「コミュニティのSlackで東海大学の授業を担当してくれる人を募集しますと書いてあったので、応募しました。この時は、自動車関係の学生ということで、自動車の運転を題材に、IF-THENの考え方をお話しました。また、実際に自動車の接近を事例とした簡単なデモを行うことでIoTを体験してもらいました」(濱氏)

IoTのような技術を言葉で説明するのはなかなか難しいものです。しかし、実際に自分で出したアイデアで動かしたという体験をすると、一気に理解を深めることができます。中には、将来技術者を目指す人もいるかもしれません。

ifLinkで使えるセンサーや機器の例

ifLinkオープンコミュニティで提供するアプリでは、100種類以上のモジュールからIFやTHENで指定するものを選べます。会員団体にはそうした機器類を製造しているところも多く、選択肢は随時増えています。最近は工場の設備と繋げられるORiNや電子楽器の演奏データを扱うMIDIなどの規格に対応しました(2022.9.28日現在)

 

【CONVERSATION 4】アイデアを出し技術を磨いたその先に目指すもの

情報システムエンジニアリングはifLinkオープンコミュニティを業務内で活用しています。しかし、そうした企業ばかりではなく、関わり方もさまざまです。ifLinkオープンコミュニティの磯崎亜樹氏は、「コミュニティ活動に高い熱意を持ってくださる方々もいて、業務を超えてコミュニティのプロジェクト運営や開発に携わり、支えてくださることがあります。まだ我々の存在を知らない方も多いので、もっと多くの方に知ってもらい、さらに多様な方々に会員になっていただければ」と話します。

また、生まれたアイデアのいくつかは、実際にプロジェクトとして進めています。例えば、ニューノーマル時代の店頭の課題解決として、サーモグラフィで発熱検知をする仕組みや室内のCO2濃度を検知する仕組みを開発しました。キャンプをもっともっと楽しんでもらいたい、という想いからIoTキャンプ用品の製品開発が進んでいます。会員メーカーと会員大学法人でコラボし、商店街の困りごとを解決するプロジェクトにも取り組みました。IoTを活用することで、こうしたさまざまな社会課題をも解決することができます。一部実用化されたものもありますが、これらのほとんどはまだ実験段階です。実用化、さらにはその後の収益化を実現するためには、いくつかの課題があると言います。

「実用化するとなると、どのデバイスなら安定して使えるかといった面も調査し担保しなければなりません。また、多様なメンバーで出したアイデアをどこの企業が責任を持って具体的にシステム化するのかという問題もあります」(富樫氏)

最新デジタル技術の日々進んでいるものの、まだ実用化や収益化に課題があることも少なくありません。だからこそ、情報システムエンジニアリングが行っているような真価を浸透させる取り組みが大事になるでしょう。

IFとTHENのカードを組み合わせてIoTサービスを発想していく「IF-THENカード」でアイデア出しをする様子。オンラインやオフラインで日々こうした会員同志の交流が行われています

 

 

※ifLinkは、東芝デジタルソリューションズ株式会社の登録商標です。worktransform、ライトフォータスク/Right4T/R4Tは株式会社情報システムエンジニアリングの登録商標です。
企画協力:株式会社情報システムエンジニアリング
令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成

掲載号

Web Designing 2022年12月号

Web Designing 2022年12月号

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Webのフロントエンド開発には多様なフレームワーク、ライブラリ、APIなどが存在し、
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最近では「React」が話題となっていますが、クライアントの要求するWeb要件を鑑みると、
「いずれは使わないといけなくなる」と思っているWeb担当者・制作関係者は少なくないのではないでしょうか?

そこで、社会背景をベースにこれから求められるサイトの役割・機能などを紐解き、
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これから注目すべき&導入すべきWeb技術とは何か、自社に必要な技術とは?を追究します。


● 制作者・制作会社は今こそ!React、Vue.jsに舵を切れ
● モダンフロントエンド開発技術の使い分けと現場の実情
● JavaScriptフレームワークの効率的な学び方
●フロントエンド開発に必要なディレクターの基礎知識
など