ニーズを満たす要件を定義しよう|WD ONLINE

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Web Designing 2022年10月号

ニーズを満たす要件を定義しよう 勝機を導くWeb戦略 7つの方法

Webサービスは、確固たるビジネス戦略があって初めて武器となる。本連載は、ネットビジネスで企業を成長させる過程を描くドキュメントである。
Illustration:國廣 稔

(株)セブンデックス
https://sevendex.com
UX/UIデザイン、ブランディング、マーケティングを主軸とした、総合支援を行うデザインコンサルティングファーム。東証一部上場企業からスタートアップまで、事業課題を解決。

 

ペルソナ目線でニーズを満たす記事コンテンツ、機能を考える

制作会社とクライアントをつなぐサービス「TWeb」を提供するW出版株式会社。さらなる成長を目指すも様々な課題にぶつかる。そんな中現れたのがコンサルティングファームのセブンデックスだった…。

この物語は7つのメソッドを使ってサービスを成功へ導くまでの物語です。

前回はユーザーインタビューからニーズを導き出し、ペルソナを作成しました。今回はそれをうけ、コンテンツの内容を考えていきましょう。そのためにはまず、UXデザインの集大成というべきペルソナのニーズに対する具体的な要件を定義していきます。TWebはオウンドメディアのため、「記事コンテンツ設計」「機能の要件定義」の2つをみていくことにします。具体仕様に落とすフェーズで大切なのは客観性。「ペルソナならどんな事を考えるんだろう?」を軸に意思決定していきます。

ペルソナにとって最適な記事コンテンツ、機能は何でしょうか?一緒に定義していきましょう!

「それはペルソナの意見か?」。UXデザインの集大成、要件定義。読者の星…もとい心をつかむまで、俺はやるぜ!(やるのはアナタ)

 

ニーズを満たす、キーワード??

西野●さあさあ、UXデザインの集大成、要件定義…まずは…記事から考えていきましょう!!!

岡本●(いきなりアツい…)前回は「自分にとって有益な情報を収集したい」が本質ニーズだとわかりましたが、どうやって記事に落とすんですか?

西野●「キーワードマップ」を使って整理してみましょう! ペルソナは自分で知識を得て、カスタムしながら業務に活かしていましたね? その本質ニーズを満たすために検索しているのです。では、その本質ニーズを満たすものとは何か。どんな事を調べているか自由に想像して書き出してみましょう!!

岡本●ペルソナは、一般論以外の情報を求めてました。例えば、真ん中を「デザイン 事例」で置いてみるのはどうでしょう?

西野●ナイスですねー!! そこから粒度の細かいキーワードに派生させていくといいですね。例えば、「インタラクションデザインのアウトプットに至るプロセスをリアルに知りたい」「インタラクションデザイン 事例」のように詳細を定めていきましょうか!

岡本●キーワードベースで洗い出すと、どう解決すべきかわかりやすいですね!

西野●そうなんです!! 実際はSEOならそのキーワードに検索ボリュームがあるか、SNSなら共感性のあるワードか、なども検証して決めていきますが、今回はざっと考える流れを掴んでもらえたなら!! 次はキーワードが絡み、ペルソナのニーズを満たす記事コンテンツを設計しましょう!!!!

リサーチ❶キーワードマップ

 

 

「伝え方」ではなく「伝わり方」

中村●さて、今回は制作会社の事例を使った、デザイン事例紹介の記事を書きましょうか。

岡本●ここは私の得意分野ですね、任せてください!

中村●慣れてる方はできるかもですが、以外とできない方が多いんですよ、「伝わり方」の意識。

岡本●伝わり方?

中村●相手目線ということです。自分が思ったことを書くだけなら簡単ですよね? でもそれが読む側に伝わるかは別の話。同じ意味でも、ペルソナの目線に立った時、表現方法が変わることもあります。

岡本●後から冷静に読んでみるとなんか伝わりづらい…ってことはよくあります…。

中村●そんな時に便利なのが、「構成リスト」です!! 例えば「目的」「ターゲット」「キーワード」「勝ち方」「情報収集方法」「書き手目線」。これらを穴埋めすれば目的からズレずに構成をつくれますよ。実は私も、以前自分の業務のために作成して今でも使っているのですが、特別に公開しちゃいます。

岡本●目的はもちろん、どんな目線で書けばいいかは本当に大事ですね。同じ発言でも立場によって印象が変わりますし。このリスト、そのまま活用させてもらいます!

中村●いいですよ! ガンガン活用しまくってください! 岡本さんなら、これさえあれば無問題でしょう。後は最高の記事を待つとしましょうか、ハハハ!!

岡本●……(T T)

リサーチ❷構成リスト

 

要求を最適な機能に落とす!

西野●コンテンツの内容や方針が見えてきたので、今度はそれを発信するWebサイトの機能を考えていきましょう。いわゆる要件定義ですね! さて、どんな機能を付けましょうか?

岡本●ウチのサイトはメディアなので、それを考えると…、うーん、とりあえず検索とかレコメンドとかランキングとかですかね?

西野●今なんとなくで決めてませんでしたか!? なぜその機能を付けるんですか? ペルソナにとってどうよいのですか? どう活用するんですか?

岡本●あわあわあわ…。

西野●ペルソナを思い出してください!「よい記事はストックしたい」「体系化された情報が欲しい」など、「〇〇したい」の形でまとめてましたね? この要求を満たす最適解として機能を検討するんです!!

岡本●根拠を持って機能を定義していくんですね!

西野●そうです!!! 例えば、誰かに共有したい欲求があるからSNSシェアボタンを追加しますし、体系化されまとめられた情報が欲しいという欲求があるから資料ダウンロード機能をつけるのです。どの機能をとっても根拠があるんです!! そして、機能を要求と紐付けないとここまでの定義が全部水の泡…ペルソナとの関連性、根拠付けを徹底的に意識してください!!!

中村●ふーむ…ペルソナを見ていたら…機能が見えてきた…見える…見えるぞぉぉぉ!

岡本●中村さんの上空から、何かが降ってきている! いかんいかん、暑さにやられたかな…。

リサーチ❸機能要件定義

 

掲載号

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