唯一無二の 価値を見つけよう|WD ONLINE

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Web Designing 2022年8月号

唯一無二の 価値を見つけよう 勝機を導くWeb戦略 7つの方法

Webサービスは、確固たるビジネス戦略があって初めて武器となる。本連載は、ネットビジネスで企業を成長させる過程を描くドキュメントである。
Illustration:國廣 稔

(株)セブンデックス
https://sevendex.com
UX/UIデザイン、ブランディング、マーケティングを主軸とした、総合支援を行うデザインコンサルティングファーム。東証一部上場企業からスタートアップまで、事業課題を解決。

 

ユーザーの本質ニーズを導き、ビジネス目線と合わせた価値を定義する

制作会社とクライアントをつなぐサービス「TWeb」を提供するW出版株式会社。さらなる成長を目指すもさまざまな課題にぶつかる。そんな中現れたのがコンサルティングファームのセブンデックスだった…。

この物語は7つのメソッドを使ってサービスを成功へ導くまでの物語です。

第4回はUXデザイン前編。前回の戦略フェーズで、SEOによる集客記事を増やすことが決まりました。ただ、現時点では具体的にどんな人に届ければよいのか、提供価値は何か、定義されていない状態です。

そこで今回は、届けたい人の解像度を上げる手法の1つ「ユーザーインタビュー」、そして、その届けたい人が本当に欲している情報(欲求)とは何かを突き詰めていく「上位下位分析」を実施。ペルソナに落として理想の状態を定め、ユーザーとビジネスのニーズを満たした価値を見つけます。

読者に愛され、事業としても成り立つTWebの価値は何でしょうか?

「価値は普遍的でなければならない!!」そこにはUXデザインの真髄をアツく語るひとりの男がいた。

 

インタビュー目的次第で撮れ高が変わる!

西野●中村ノブヒロの一番弟子、UXデザイナーの西野です! 良いUXはしっかりとした調査から生まれるぅ! ということで、さっそくインタビュー設計を行いたいと思います! まず、インタビューで大事なのは何だと思いますか?

岡本●(襟が師弟関係だ…)えーと、インタビューの仕方、ですか?

西野●違いまーす!!! なぜやるのか、目的の定義が大事です!

中村●「課題を深ぼる」「ニーズを探る」「価値を検証する」。目的次第で得たい情報も質問項目も全部変わるんです!!

岡本●なるほど。目的を定めないと漠然とした質問になりそうですし、得られた情報も正しいか検証できなさそうですね

西野●そうでーす!!! インタビューの目的を決めた上で、誰にインタビューするか、何をどのように聞くかを決めます! すべて目的に紐付いているのです!!

岡本●目的もそうですし、誰に聞くかでも質問内容が変わりますね

中村●今回、デザイナーへのインタビューを例に挙げていますが、デザイナーの業務内容や携わったプロジェクト、その中で出てきた課題など、インタビュイーにあわせて質問を変えています。「情報インプット時のニーズを把握したい」目的に沿うことで得られる情報量も質も上がりますよ!!

西野●目的から誰に何を聞くかが明確になったので、さあ! インタビューしましょー!!!!

岡本●中村さんだけでも熱量がハンパないのに2倍になった…

リサーチ❶インタビュー

 

 

発話の裏にニーズが隠れてる!?

岡本●「SNSで情報収集している」「普段からデザインメディアを見ている」。インタビュー内容を参考に書いた記事をSNSで発信すれば解決ですね! ハッハッハッ…

西野●それ、一番ダメでーす!!!

岡本●ええぇー! だって、ユーザーが欲しがってましたよ?

西野●ユーザーに騙されましたね!! 基本的に、彼らが話す課題やニーズは事象にしか過ぎないのです!!

岡本●じ、事象…?

西野●発話内容はあくまでユーザーが選択した結果! SNSやデザインメディアを見ている人は、「メディアを見たい」のではなく、「効率良く自分にとって有益な情報を収集したい」ことが本質的なニーズなのかもしれないのです!!

岡本●発話内容の裏に想いあり。もしかしたら自身も気付いてないニーズが眠ってるかもしれないですね

西野●そうでーす! その本質ニーズを見つける手法で「上位下位分析」があります!!

中村●発話内容を「すなわちこうだよね」と帰納的にまとめて抽象化するんです。例えば、今回のインタビュー結果を上位化していくと…?

岡本●確かに「自分にとって有益な情報を収集したい」にたどり着きますね!

中村●ユーザーはたまたまSNSで情報収集しているだけで、本当は手っ取り早く参考になる情報が欲しいだけ。発話内容の変換でニーズが見えましたね!

西野●ニーズ発見ー!!!

リサーチ❷上位下位分析

 

ニーズを反映した正しいペルソナ

岡本●ペルソナづくりは慣れてるので簡単ですよ~

中村●どれどれ? あ~…よくある間違ったつくり方をしていますね。

岡本●属性、課題、ニーズを書いて…とかじゃないんですか?

西野●ちがーう!!! ただインタビュー内容を整理しただけになっちゃいます!! 本質ニーズでペルソナを分けることが大切でーす!!

岡本●先ほど見つけたニーズを使うんですか?

西野●BINGOー!! ペルソナはサービスの意思決定に使うのでニーズに影響する項目を整理して載せるんです! 例えば、今回だと「効率的に自分にとって有益な情報を得たい人」をペルソナで定め、ニーズに影響する、実務経験、実務内容、勤務先業種などを載せまーす!!

岡本●ペルソナの解像度を上げるために、趣味とか書くのかと思ってました…

中村●ニーズに影響しない情報が載っていても、使い道はないですよね!! この先のサービス検討で「ペルソナは使うか?」を問い続けるので、決定軸が大事なんです!

岡本●正直「今さらペルソナ?」と思ったんですが、今までのつくり方は間違えてたんですね…でも、これならペルソナを使ってサービス設計できそうです!

西野●後はペルソナを満足させる手段を考えるだけでーす!!!!

岡本●よーし、がんばるぞー。あれ?ちょっと疲れたかな、中村さんと西野さんの後ろにタイガー&ドラゴンが見える気がする…

リサーチ❸ペルソナ

 

掲載号

Web Designing 2022年8月号

Web Designing 2022年8月号

2022年6月17日発売 本誌:1,560円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

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Web Designing 8月号(6月17日発売)特集
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DX推進のカギはクラウド利用にあり!
実践的解説!AWS導入・活用ガイド
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DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれる中、日本企業のITシステムを抜本的に考えなければいけない状況になっています。そのインフラとしての主軸となる「クラウド」の活用は今後の企業活動の鍵を握るといっても過言ではありません。

クラウドといえば、世界的にシェアを持つAWS。DX&Webビジネスには必要とは知っている一方、

一体なんなのか、何に使えるのか?
どういうメリットがあるのか?
どのように導入するのか?
価格は?

といった、書籍などでは伝えきれない根本的かつ実践基礎的なポイントにフォーカスを当てて解説します。

AWS活用のための準備はこれで完璧!

ー CONTENTS ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■企業を守り、事業を成長させる「クラウド」を活用せよ!
セキュリティ対策も、新事業の立ち上げも。クラウドは「守り」と「攻め」の中心的存在だ!

●Webビジネスの「3つの潜在リスク」を払拭
●クラウド導入がもたらす劇的なメリット
●クラウドを利用したWeb基盤の強化事例

Chapter01 AWSを知る
●AWSが生んだ構造変化と中小企業のDXの現在
●ビジネス活用のためのAWS「解体新書」
●疑問や不安を解消するAWS利用の予備知識~コストは上がる?移行は可能?~

Chapter02 AWSを導入・運用する
●AWS導入・移行から運用までの手順と考え方
●クラウド初学者のためのAWS学習ガイド

【制作視点で考えるAWS】
●開発の前線から見るAWSの影響と今後