2022.07.18
唯一無二の 価値を見つけよう 勝機を導くWeb戦略 7つの方法
Webサービスは、確固たるビジネス戦略があって初めて武器となる。本連載は、ネットビジネスで企業を成長させる過程を描くドキュメントである。
Illustration:國廣 稔
(株)セブンデックス
https://sevendex.com
UX/UIデザイン、ブランディング、マーケティングを主軸とした、総合支援を行うデザインコンサルティングファーム。東証一部上場企業からスタートアップまで、事業課題を解決。
ユーザーの本質ニーズを導き、ビジネス目線と合わせた価値を定義する
制作会社とクライアントをつなぐサービス「TWeb」を提供するW出版株式会社。さらなる成長を目指すもさまざまな課題にぶつかる。そんな中現れたのがコンサルティングファームのセブンデックスだった…。
この物語は7つのメソッドを使ってサービスを成功へ導くまでの物語です。
第4回はUXデザイン前編。前回の戦略フェーズで、SEOによる集客記事を増やすことが決まりました。ただ、現時点では具体的にどんな人に届ければよいのか、提供価値は何か、定義されていない状態です。
そこで今回は、届けたい人の解像度を上げる手法の1つ「ユーザーインタビュー」、そして、その届けたい人が本当に欲している情報(欲求)とは何かを突き詰めていく「上位下位分析」を実施。ペルソナに落として理想の状態を定め、ユーザーとビジネスのニーズを満たした価値を見つけます。
読者に愛され、事業としても成り立つTWebの価値は何でしょうか?

インタビュー目的次第で撮れ高が変わる!
西野●中村ノブヒロの一番弟子、UXデザイナーの西野です! 良いUXはしっかりとした調査から生まれるぅ! ということで、さっそくインタビュー設計を行いたいと思います! まず、インタビューで大事なのは何だと思いますか?
岡本●(襟が師弟関係だ…)えーと、インタビューの仕方、ですか?
西野●違いまーす!!! なぜやるのか、目的の定義が大事です!
中村●「課題を深ぼる」「ニーズを探る」「価値を検証する」。目的次第で得たい情報も質問項目も全部変わるんです!!
岡本●なるほど。目的を定めないと漠然とした質問になりそうですし、得られた情報も正しいか検証できなさそうですね
西野●そうでーす!!! インタビューの目的を決めた上で、誰にインタビューするか、何をどのように聞くかを決めます! すべて目的に紐付いているのです!!
岡本●目的もそうですし、誰に聞くかでも質問内容が変わりますね
中村●今回、デザイナーへのインタビューを例に挙げていますが、デザイナーの業務内容や携わったプロジェクト、その中で出てきた課題など、インタビュイーにあわせて質問を変えています。「情報インプット時のニーズを把握したい」目的に沿うことで得られる情報量も質も上がりますよ!!
西野●目的から誰に何を聞くかが明確になったので、さあ! インタビューしましょー!!!!
岡本●中村さんだけでも熱量がハンパないのに2倍になった…
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発話の裏にニーズが隠れてる!?
岡本●「SNSで情報収集している」「普段からデザインメディアを見ている」。インタビュー内容を参考に書いた記事をSNSで発信すれば解決ですね! ハッハッハッ…
西野●それ、一番ダメでーす!!!
岡本●ええぇー! だって、ユーザーが欲しがってましたよ?
西野●ユーザーに騙されましたね!! 基本的に、彼らが話す課題やニーズは事象にしか過ぎないのです!!
岡本●じ、事象…?
西野●発話内容はあくまでユーザーが選択した結果! SNSやデザインメディアを見ている人は、「メディアを見たい」のではなく、「効率良く自分にとって有益な情報を収集したい」ことが本質的なニーズなのかもしれないのです!!
岡本●発話内容の裏に想いあり。もしかしたら自身も気付いてないニーズが眠ってるかもしれないですね
西野●そうでーす! その本質ニーズを見つける手法で「上位下位分析」があります!!
中村●発話内容を「すなわちこうだよね」と帰納的にまとめて抽象化するんです。例えば、今回のインタビュー結果を上位化していくと…?
岡本●確かに「自分にとって有益な情報を収集したい」にたどり着きますね!
中村●ユーザーはたまたまSNSで情報収集しているだけで、本当は手っ取り早く参考になる情報が欲しいだけ。発話内容の変換でニーズが見えましたね!
西野●ニーズ発見ー!!!
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ニーズを反映した正しいペルソナ
岡本●ペルソナづくりは慣れてるので簡単ですよ~
中村●どれどれ? あ~…よくある間違ったつくり方をしていますね。
岡本●属性、課題、ニーズを書いて…とかじゃないんですか?
西野●ちがーう!!! ただインタビュー内容を整理しただけになっちゃいます!! 本質ニーズでペルソナを分けることが大切でーす!!
岡本●先ほど見つけたニーズを使うんですか?
西野●BINGOー!! ペルソナはサービスの意思決定に使うのでニーズに影響する項目を整理して載せるんです! 例えば、今回だと「効率的に自分にとって有益な情報を得たい人」をペルソナで定め、ニーズに影響する、実務経験、実務内容、勤務先業種などを載せまーす!!
岡本●ペルソナの解像度を上げるために、趣味とか書くのかと思ってました…
中村●ニーズに影響しない情報が載っていても、使い道はないですよね!! この先のサービス検討で「ペルソナは使うか?」を問い続けるので、決定軸が大事なんです!
岡本●正直「今さらペルソナ?」と思ったんですが、今までのつくり方は間違えてたんですね…でも、これならペルソナを使ってサービス設計できそうです!
西野●後はペルソナを満足させる手段を考えるだけでーす!!!!
岡本●よーし、がんばるぞー。あれ?ちょっと疲れたかな、中村さんと西野さんの後ろにタイガー&ドラゴンが見える気がする…
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