2022.05.12
数字とその「内訳」にこだわろう
予算がない、時間もない、知識もない! DXなどはるか遠く、Web活用の素地を耕すところから…が地方のWeb制作の現実です。こうした現状を打破するため、『Web制作・運用バイブル』企画が新たに始動しました。本コラムでは、監修を担当したアルテバレーノ(株)の解説で『バイブル』の内容をチラ見しながら、クライアントの事業に“本当に貢献するための”Webディレクションについて考えます
Illustration:高橋 美紀
『Web制作・運用バイブル』とは……
中小企業を中心とした発注者向けの、Web施策の開始・依頼前に知っておいてほしいことをまとめたWeb施策の解説本です。サイト制作のフローやSNS運用、数字目標の立て方など、現場のディレクターが苦慮する「あるある」問題を、図版中心に、細かく丁寧にかみ砕いて説明しました。お客様向けの説明用資料として、一冊あると便利です。

サイト改修にせよSNS運用にせよ、実施(投稿)後の「数字」に敏感になることは大切です。例えば、SNS運用について、「どんな写真や情報を載せればよいか」というご質問は多くあります。ここで「今までで一番反響があった投稿はどれか?」と訊くと、答えられない。要は投稿後の振り返りをしていないのですね。
理論的な正解や流行はありますが、それが必ずしも「御社のお客様」が求めているものかはわかりません。だからこそ、投稿後の数字を振り返り、数字の中に自社の顧客層の声を聴くことが必要であり有益なのです。
また、投稿には「問い」を持って挑みましょう。料理の美味しさと店内の雰囲気と、どちらが数字が取れる(=顧客の求めている)情報なのか? こうした試行錯誤から勝ちパターンを見つけることが、Web施策成功の近道です。

SNSをビジネスに活用する場合、一定の「数」は確かに必要です。しかし、「数」にとらわれすぎるのも考えものです。
例えば、動物写真。仕事情報の発信用にSNSを始めてみたけど、反応がなく、寂しくて愛犬の写真を掲載してみたら、フォロワー数が激増! 以来、お仕事情報そっちのけで、愛犬写真に熱中してしまう本末転倒なケースも…。
動物写真はSNSの鉄板で、確かに数は取れます。でも結局、その数の「内訳」がどうか、なんですよね。動物写真には平均1万以上のいいねがあるのに、仕事の宣伝には数十いいねなんて、「あからさな」反応差があるアカウントもありました。
フォロワーやいいねの「数」には、さまざまな意図が混在しています。自分のアカウントを見てほしいだけ、雑談相手が欲しいだけ、顔見知りだから社交辞令的に…。見かけの数字の中に、お仕事情報を待ち望んでくれている「真のお客様」は何割いるのか。発信内容を振り返るときは、数の内訳も少し気にしてみましょう。
