【コラム】新規事業のレポーティングは難しい|WD ONLINE

WD Online

Web Designing 2022年6月号

【コラム】新規事業のレポーティングは難しい 今号のお題 [分析と解析]

さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。

今まで新規事業に多く携わってきましたが、企業で仕事している以上、上長やステークホルダーに何かしらのレポーティングが発生します。私、これが非常に苦手です。特に立ち上げ期などはピボット前提で動いているので不確定要素が多すぎますし、追っているKPI自体あっているのかもわからない時だってあります。とはいえ、何も報告しないわけはいかないので、なんとなくそれらしい数字にまとめて、あとは「頑張ります!」と言い続けるのが私の日常です。

たとえば私が関わって来たものでいうと、前職で立ち上げたUXデザインをテーマにしたメディアサイト「UX MILK」などは、サービスのフェーズ、規模に応じて見る指標が変わっていった事例といえます。

UX MILKはメディアとしてローンチしたプロダクトだったので、最初の数年はご多分に漏れず、PV(ページビュー)を追っていました。プロジェクトを推進していく以上、まずは「100万PVを目指す」などのわかりやすい目標が欲しかったので、Google Analyticsで追っていました。最初の1年はPV数も振るわず、メディアのグロースを専門にしている子会社に移籍して、いろいろと勉強させてもらい、彼らとともに施策をたくさん打ちました。

ある程度専門性のあるメディアでは、もっと少ないPVでもスポンサード広告なども取り扱えるだろうということで、最初のマイルストーンとして20万PVという目標を設定し、無事達成した頃にはスポンサードで徐々に少額の売上も立つようになりました。

その後順調にPVは上がっていき、リリースから数年後、100万PVを達成するのですが、そのあたりから心のモヤモヤが徐々に大きくなっていきました。UXデザインというものを国内により広めるべくこの活動をしているわけですが、PVを追っているだけではUXデザインの人口が増えるわけではないのでは? ということを薄々感じ始めたのが理由です。もちろん、メディアをこの規模まで育てられたことは決して意味のないことではないのですが、日々追うKPIとして、PVという指標はもう適切ではないのかもしれない、そう思い始めました。

実質、もっと意味のある指標としては、サイトリリースと同時に行ってきた勉強会イベントの動員数がありました。リリース直後、サイトのPVがあまりない頃、一方でおまけのつもりで開催していた「UX JAM」という勉強会イベントの動員数が回を増すごとに増えてきて、大盛況でした。PVと比較するとゼロがいくつか足りないような桁数でしたが、UX MILKプロジェクト全体として考えると、よっぽどエンゲージメントが高く、コミュニティ醸成という観点ではとても意味のある数値でした。

当時は誰もが理解しやすい、レポーティングしやすい指標としてPVを追っていましたが、媒体を問わず、イベント集客数などの関係人口を増やす指標も持っておければ、もう少し早期に他の選択肢もあったかもしれません。実際、私が関わっていた後期ではサイトやイベントなど複数のKPIをパラレルで見ながら、それら全体を1つのプロジェクトとしてミッションを推進していきました。

ここから私が学んだことは、KGIやKPIはサービスのフェーズやコンセプトのブラッシュアップによって変わっていくものだということです。指標をコロコロ変えてしまうのは、報告先に対して不信感をあおるかもしれません。しかし、それを理由に本当にやりたいこと・やるべきことから遠ざからないようにしたいと常々思っています。

2020年秋にYouTube Live上で、3チャンネル用意してライブ配信する「UX MILK All Night」というオンラインカンファレンスを勢いで開催しました。ただ、参加者数をどう計測・分析すればいいのかわからず、ダントツでレポーティングに困った案件でした…
ナビゲーター:三瓶亮
株式会社フライング・ペンギンズにて新規事業開発とブランド/コンテンツ戦略を担当。
また、北欧のデザインカンファレンス「Design Matters Tokyo」も主宰。前職の株式会社メンバーズでは
「UX MILK」を立ち上げ、国内最大のUXデザインコミュニティへと育てる。ゲームとパンクロックが好き。
個人サイト: https://brainmosh.com Twitter @3mp

掲載号

Web Designing 2022年6月号

Web Designing 2022年6月号

2022年4月18日発売 本誌:1,560円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

Googleアナリティクス4で変わるITビジネス

サンプルデータはこちらから

Web Designing 6月号(4月18日発売)特集
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
2023年夏までのカウントダウン。分析・解析の常識が覆る!

分析【まず複雑なデータを読み解けるか】
解析【最適解を導き出せ】
レポーティング【伝わるレポートの基本は4ページ】

<緊急報告>
Googleアナリティクス 4
UA(ユニバーサルアナリティクス)廃止が決まり業界騒然
Googleアナリティクス新時代にどう対応する?
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

2021年に突然リリースされたメジャーバージョンアップ版のGoogleアナリティクス4。
昨今の「クッキーレス」や個人情報保護の動きに呼応するように、
トラッキングの方法をはじめ全てが一新したGAは、どんな使い方を想定されているでしょうか。
それによりIT業界はどのような流れになっていくのでしょうか。
緊急特集として追究します。

メイン特集は、「分析・解析・レポーティング」。

昨今叫ばれている「DX(IT)人材育成」。その主眼は「社員のITリテラシー向上」であり、
その具体的なポイントの1つとして「デジタルデータの分析力」があります。

DXを至上命題とした企業の成長は「正しい把握とレポーティング」が必要条件です。

一方、「分析」「解析」はよく聞くキーワードですが、
その実際は、分析と解析の違いレベルで正しく把握されていない状況があります。
まずは「分析」「解析」の正しい理解から、それを行う際の目の付け所と考え方を学び、
実践的な問題でトレーニングしましょう!

そして、「レポーティング」は数字など情報の整理からレポートの体裁、
レポートの活用用途に合わせた見せ方、論法など詳細に解説します。

ー<CONTENTS>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■運命の日に備えよ! GA4の時代がやってくる
・既存のバージョン(ユニバーサルアナリティクス)と何が違う?
・導入が遅れるとどんな問題が起きる?
・大刷新の背景にあるITビジネスの大変革
・ここを押さえろ! 5つのポイント機能
・導入&運用を早期実現させるポイント

■分析してわかる、サイトに求められる役割
■数字を見る前にやるべき自社サイトの現状分析
■的確な現状分析を導くデータの読み解き方
■アクセス解析でサイトの価値を上げる
■Web解析術 再入門!
■4ページで伝える・伝わる!レポート作成
■超実践的「改善提案書」の書き方
■あなたの分析力はどれくらい?Webアナリスト検定にチャレンジ

この記事を見た人はこんな記事も見ています