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特別企画 [PR] Web Designing 2021年6月号

企業?ユーザーの新しいコミュニケーションは「活用ガイド」がつくり出す

新生マニュアル委員会では「製品サポート情報の最適なあり方」を追求してきたが、突如到来した「新常態」において非接触前提のビジネスやデジタル化が一気に推進されると、「双方向のコミュニケーション」や「ナラティブ(個々のユーザーの話)に耳を傾ける」ことの重要度が急速に高まり、サポート情報やマニュアルだけでなく「新しいコミュニケーションデザイン」そのものが求められるようになった。そこで本委員会は「新生コミュニケーションデザイン策定委員会」と改称し、新常態における企業とユーザーの新たなつながり方を探っていくこととなった。2021年度最初のディスカッションでは、新たなプロの知見も交えそのための第一歩について議論を深めた。
Photo●黒田彰

 

「ナラティブ」を通じて実現する双方向コミュニケーション

かつて企業とユーザーは、企業からの一方通行の情報発信でコミュニケーションが完結していた。しかし、インターネットやSNSなどの普及でユーザーからの発信が可能となったことで、ユーザーの声を捕捉してビジネスに活かすことが成功の鍵となった。そこで企業には「傾聴」の姿勢が求められるようになってきているが、ただ聞けばいいわけではない。必要なのは深層心理に眠る声に触れることだ。

「以前はモニター調査などを通じてユーザーの声を拾っていましたが、こちらが促して発せられる声よりも、ユーザーが自発的に語る言葉、つまり『ナラティブ』のすくい上げが大切になります」(黒田聡氏)

ただし、アナリストである安西敬介氏が「解析をしていると、言っていることとやっていることが違う人は多いと常々感じる」と指摘するように、必ずしも人は言行一致ではないので、ナラティブを把握すれば万事解決ではない。それでも長年企業の広報・デジタルメディア運営の支援に携わってきた美奈子・ブレッドスミス氏は、ナラティブに触れることで得るものは大きいと話す。

「ユーザーが好きなように情報を発信するとき、企業側が思いもしなかった使用方法や感想を独自の言葉で語ります。その声と企業側の想定を照らし合わせると新たな発見につなげられると思っています」(美奈子・ブレッドスミス氏)

「企業が思いもしなかった」言葉は、時に誤りや危険な情報の流布につながってしまう場合もある。例えば世間では「電子レンジを使って蒸しタオルをつくる」行為は生活の知恵のように言われるが、こうした使い方を推奨するメーカーは存在しないし、場合によっては事故につながる恐れもある。それでもナラティブを収集して双方向のコミュニケーションに活かしていくと、ユーザーの企業に対するロイヤリティも向上し、正しい情報伝達の近道にもなる。

もちろん触れるだけでは意味がない。製品の利用動向や、企業にとっての価値等と照らし合わせながら情報を最適化した上で、取扱説明書やFAQ、活用ガイド等のコンテンツに落とし込んで再発信して、初めて意味を帯びてくる。このサイクルが理想的な双方向コミュニケーションなのである。

 

活用ガイドの策定と伝達が鍵

コンテンツの中でも重要度が高いのが活用ガイドだ。取扱説明書は製造物責任法で記載すべき情報が定められているし、ユーザーに製品が届く前に作る必要があるため、双方向のアクションが取りづらいが、活用ガイドには法的に決められたフォーマットは存在せず、出荷後も絶え間なく更新できる「生きたコンテンツ」である。活用ガイドを介すれば誤情報の訂正や継続利用の促進などにもつなげられ、企業とユーザーのコミュニケーション密度を高めていけるのである。

ただし、内容が薄いと活用されにくいので一定のクオリティが求められる。そのため、取扱説明書やチュートリアルに記された情報や、ユーザーのナラティブな声、利用動向などの客観的なデータといったものを素材とし、より良い活用方法や裏技的な使い方などを提示する活用ガイドに落とし込み、かつフォーマット化させて継続的な更新を可能にすることがポイントとなる。その上で最も重要なのは、つくった活用ガイドをユーザーに届けることだ。

「活用ガイドはしっかりとユーザーに届けなくてはコミュニケーションのループを回していけません。そこで、Webサイトやアプリ等、企業にとってコントロール可能なタッチポイントを通じた直接的な発信、あるいはSNSなどを通じた間接的な発信方法の検討も忘れてはならないでしょう」(安西氏)

企業とユーザーの関係性はこれからも目まぐるしく変化していくだろうが、いずれにせよ両者の結びつきが弱まることはない。この日委員会から提示された「活用ガイドの構築・育成・活用」は、良好なコミュニケーションの第一歩になると言えるだろう。

双方向コミュニケーションを前提とした情報発信の実現のための理想的なフロー。ユーザーが商品を利用することによる「利用データ」を取得し新たな開発に活かすとともに、それらをコンテンツという形で具現化し、その情報をユーザーのタッチポイントにあわせた適切な形で届ける必要がある
取扱説明書やチュートリアルといった「ユーザーが触れる以前に作成したコンテンツ」とともに、実際の利用データ、そしてSNSなどでユーザーが自由に発言している情報を集約し、「活用ガイド」という形に落とし込み、ソーシャルメディアやオウンドメディアなど企業が直接的・間接的に関われる情報提供の場にあわせて発信していこう

 

質問に答えて自社の状況を客観視してみよう
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活用ガイドは企業とユーザーを結びつける貴重な媒体であると同時に、ユーザーのナラティブな声を吸い上げる場にもなる。それだけ重要な存在であることから、発信する情報の内容やクオリティはもちろんのこと、インプット段階での仕掛けからアウトプット時の展開方法まで、全体の建て付けをしっかりと考えた上で制作していくことが求められる。

そこで、本当に価値のある活用ガイドをつくるためには何が必要で、自社には何が足りていないのかを客観的に把握できるワークシートを用意した。ぜひ自社の状況と照らし合わせてみて、足りないものや、現実と理想のギャップなどをあぶり出す参考にしてみてほしい。

 

https://www.jtca.org/symposium/

 

企画協力:一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会

掲載号

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一方、その「新常態」において、人々は行動を制限されることにより、確実に行動変容が起こっていることは
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