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Bay Area Startup News Web Designing 2021年2月号

宇宙版人狼ゲーム「Among Us」 UXと気軽さと“新常態の悩み”で大ヒットを記録

海外で起こっている、あるいは起こりつつある新しいビジネスの潮流、近い将来に日本にやってくるであろうビジネストレンドなどを紹介・考察します。米国サンフランシスコ在住の筆者が、サンフランシスコおよびシリコンバレーの「ベイエリア」を中心に、イケてるスタートアップを中心とした会社、サービスを毎月1つ取り上げながら、その背景や目的、今後日本で起こりうるトレンドについて追究します。

半強制的なリモート移行の状況で突然大ヒットを記録したゲーム

新型コロナウイルスの影響で、仕事もプライベートも人と会うことが極端に減っています。その変化はアメリカでも顕著です。そんなライフスタイルの変化が大きな推進力となり、リモートでの生活がどんどん加速しています。

リモート中心の生活になった影響で、友達や同僚と会うことが極端に減り、Zoomに代表されるようなデジタルによる新しいコミュニケーションツールの普及が進んでいるということは改めて言うまでもない変化でしょう。 

そんな「ニューノーマル」時代に一気に人気が高まったオンラインゲームがあります。「Among Us(アマング・アス)」です。このゲームは2020年にもっともヒットしたとされ、そのキャラクターの可愛さやUXのわかりやすさのおかげで新規ユーザーでもとっつきやすいため、大人から子どもまで多くの世代のユーザーにプレイされています。

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Among Us
2018年にリリースされた、InnerSloth社が開発したゲーム。iOS版、Android版、Windows版がリリースされています。当初は話題にもなりませんでしたが、2020年半ばから突然脚光を浴び、2020年もっともヒットしたゲームと言われています

 

犯人は誰だ!?複数プレイヤーが会話で進行

このゲームはいわゆる「人狼ゲーム」(正式名称は「Are You a Werewolf?」。村人と村人に化けた人狼に別れ、対話して人狼を推理するテーブルトークゲーム)をベースにしており、オンラインを通じて4人から10人でプレイします。

基本は宇宙飛行士の格好をしたキャラクター(クルー)が宇宙船などのステージでそれぞれのタスクをこなしながらゲームを進めますが、1つのグループの中に1人~3人の「Imposter」と呼ばれる“犯人”がランダムで割り当てられ、犯人は酸素の遮断やメルトダウンといった致命的な事故を引き起こしたり、クルーを殺害したりします。勝敗はタスクを邪魔してくる犯人が誰なのかを突き止めることができればクルーチームの勝ちで、犯人とクルーの人数が同じになった時点で犯人の勝ちとなります。

プレイしている過程では、テキストチャットによるディスカッションが可能です。オンライン上とはいえ、生身の人間とのやりとりができるので、チーム感がかなりあります。オンラインで知らない人たちとプレイすることが一般的ですが、友達を誘い入れることもできます。ワンプレイが5~10分で終わるため、カジュアルに遊ぶことができるのも魅力です。YouTube上にも多数のプレイ動画がアップされており、その人気の高さを伺わせます。

 

「新常態」で失われた貴重な体験を提供

このAmong Usは、モバイル版は基本無料、PC版は4ドル。英語だけではなく、スペイン語、ポルトガル語、韓国語にもローカライズされており、チャットでの言語もユーザーが選ぶことが可能。開発元はInnerSlothという会社で、オレゴン州立大学の2人の同級生がスタートし、現在は4人のゲームデベロッパーが中心となっています。チームの本拠地はワシントン州ですが、基本的にリモートで開発を行なっているため、メンバー同士が会うことも滅多にないとのこと。

InnerSlothによると、2020年9月の時点でモバイルアプリだけでもダウンロード数は1億以上。全体で平均で6,000万人のユーザーが毎日いるというから驚きです。App Store、Google Playともに2020年第3期におけるもっともダウンロードされたゲームとなっており、モバイルアプリからの売り上げだけでも月収1,500万ドルを超えています。 

実はこのゲーム、約2年前に初めて配信されたものです。その当初は正直、鳴かず飛ばずだったものが、2020年半ばになって話題になり始め、口コミやYouTubeでの紹介をきっかけに突然ブレイクしたのです。2020年半ばといえば、前述したとおり世界中がウイルスの脅威に晒され、従来の生活や行動が強制的に制限されたタイミングと重なります。

誰にでもわかりやすいUXを持ち、10分程度でプレイ終了できるカジュアルさがある前提で、チャットによって年齢や身分など関係なく1つの目的(犯人を探す)に向かってコミュニケーションを交わせる。2019年以前から進んでいるデジタルコミュニケーションの動向や需要と、現在人々が欲している体験を提供していると考えると、ブレイクしたのも納得できることだと思います。

 

立場を気にせずコミュニケーションチーム力アップに繋がる

ビートラックスは現在、基本的にリモートワークを行なっていますが、月に一回ほど日本とアメリカのスタッフを含めたチームビルディングを行なっています。その方法の1つとして、このAmong Usをプレイします。ランダムで犯人が割り振られるため、部下が上司を殺したりすることもあり、立場を気にせずに遊べるため、チームの結束力を高めるのに役立っています。 

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宇宙船の中で宇宙飛行士の格好をした「ユルい」キャラクター(クルー)を操作し、船内のさまざまなタスクをこなしていきます。
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1チームには数人(画面では1名)の「Imposter」と呼ばれる犯人が潜んでいます。犯人はランダムで決められ、犯人役を振られたプレイヤーは残りのクルーたちのタスクを妨害したり、殺害して人数を減らしていきます。クルーたちは、テキストチャットでチームメンバーの供述を聞いていき、怪しいキャラクターを特定して犯人を暴いていくのです
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早く犯人を見つけないと、次々にクルー達は倒されていきます。クルーの残り人数が犯人の数と同じになる前に見つけなければクルーたちの負けになります
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Text:ブランドン・片山・ヒル
米国サンフランシスコに本社のある日・米市場向けブランディング/マーケティング会社Btrax社CEO。主要クライアントは、カルビー、TOTO、JETRO、伊藤忠商事、Expedia、TripAdvisor等。2010年よりほぼ毎週日本から米国進出を希望する企業からの相談を受け、地元投資関係者やメディアとのやりとりも頻繁。 http://btrax.com/jp/

掲載号

Web Designing 2021年2月号

Web Designing 2021年2月号

2020年12月18日発売 本誌:1,560円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

独自アンケートで浮き彫りにする、「新常態」時代のWebビジネスの「新実態」

サンプルデータはこちらから

Web Designing 12月号(12月18日発売)特集

[非接触時代]のIT業界の今後はどうなる?
Web制作のリアル2021

年初には誰もが予想し得なかった事態になった2020年。全ての企業において例外なく、ビジネスも働き方も従来の常識が通用しなくなったと言っても過言ではありません。

リアルでの接触がしづらくなった代わりにオンラインでできるマーケティング活動が存在感が増していく中、企業のビジネススタイルは明らかに変わってきました。では現在、この状況下でも成果をあげている企業はどんな取り組みをしはじめ、どんなビジネス潮流が起きているのでしょうか。

それを知る鍵は、さまざまな企業規模、業種のデジタル施策の相談を受けソリューションを提供し続けているWeb制作会社の動向にあります。今、彼らの元にはどんな相談が舞い込み、どんな近未来のビジョンを持っているのでしょうか。

Web Designing 2021年2月号では、同誌編集部による完全オリジナルなアンケートによる大規模な調査により、2021年のWebビジネス、デジタル施策の潮流、そしてWithコロナ下での働き方まで紐解いていきます。

●様変わりしたビジネスの潮流とクライアントの悩みとその解決策
●リモートワークはWebビジネスをどう変えた?
●Withコロナ下で求められるスキルや人材とは?
●今後習得したいスキルは?
●もっとも利用されているマーケティングツールは?
●もっとも利用されているコミュニケーションツールは?
●もっとも利用されているUIデザインツールは?
●リモートワークで課題だと思っていることは?

など

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