ECに役立つツール|WD ONLINE

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ECサイト業界研究 Web Designing 2020年8月号

ECに役立つツール リモート時代におけるEC運営でのオススメ

ECの運営も例にもれずリモートでの対応をせざるを得ない今の状況。そんな現在でも業務を滞らせることなく、しっかりと売り上げを重ねていきたいものです。今回は、筆者も通常愛用しており、オススメできるツールをいくつかご紹介します。

数あるパスワードを一括管理

最近のEC業界では、複数スタッフにより複数拠点で運用を行っているところが多くなっています。また、ECの特徴としてさまざまなツールの管理画面にログインする必要があるという点があります。そこで、EC業界でよく使われているパスワードツールには「LastPass」(01)があります。

LastPassは一つのマスターパスワードだけでいろいろなサイトのログイン情報を管理でき、IDとパスワード情報はクラウド上で保管されていて、どのブラウザを使ってもWindowsでもMacでもIDとパスワード情報を利用が可能です(有料版はスマホ同期も可能)。

これにより、仮にスタッフが異動したり辞めてしまった時に、マスターパスワードを変更するだけでOKになります。責任者や社長がマスターパスワードを変更するだけで一気にログインを管理できますのでラクラクです。

ちなみに、日本ECサービスが提供している「ECマスターズクラブ」という会員サイト(02)では、ECのモール展開に必要なフォーラムやツール提供を行っています。

楽天、Yahoo!ショッピング、Amazonに出店しても、売上アップしたり毎月変化していくECモール戦略や戦術に付いていくことは非常に大変です。つい最近の状況でも楽天のスマホサイトのデザイン、カートのドメイン、掲載できる画像の条件などが変わったりと、店長ひとりや会社単体で解決していくのは大変です。そういった悩みをフォーラムで解決したり、ツールを提供しているため非常に助かっている企業は多いです。

01 LastPass
例えば、楽天の場合にはRMSへ店舗ID・パスとスタッフID・パスの4つ、Yahoo!ショッピングではビジネスマネージャー、ストアクリエイターProという運営ツールにログイン、Amazonはセラーセントラルや自社サイト用の管理画面のログインもありますし、さらにはWordPressへのログインもセキュリティを高めるために、簡単にログインできないようにしています。そこでマスターパスワードを一発変更するだけでログイン管理ができるものとして重宝しています
02 ECマスターズクラブ
現在1,500以上のネットショップが活用する会員制サポートサービス。検索対策から効率化ツールまで30種類以上のツールが活用でき、さらには楽天、Yahoo!ショッピング、Amazon.co.jp、wowma!に対応したGoogle Chrome拡張機能も用意しています

 

手軽なWeb会議ツール

さて、ECの運営にとってもリモートワークの時に欠かせないのがWeb会議です。すでにSkypeやZoomを使っている店舗も多いのですが、大企業になるとMicrosoft TeamsやシスコシステムズのWebex、Googleハングアウトも多く、私が手軽にWeb会議を行うためにオススメしているのが「Whereby」です(03)。

利用は、URLを決めるだけですのでとても手軽です。ロック機能を使えるので他の方が入ることはできませんし、有料版にすれば12名(最大50名)まで使えます。

Wherebyのメリットはなんと言っても、画面共有した時にどの画面が共有されているかを見ることができ安心な点です。ZoomやTeamsで画面共有した時にまったく違う画面を共有してしまった! といったことは皆さんも結構あるのではないでしょうか。また、複数人で画面共有をできるのもメリットの一つです。

ちなみに、私がZoomで画面共有がどうなっているかをチェックするためにはPC2台でZoomにログインして、1台は画面共有専用、1台はコミュニケーションに使用したりします。Googleハングアウトもそうですが、ブラウザでたくさんタブを開いていたりすると、PCへのアクティビティがハードになって途中で画像が止まってしまうなんてことも多いのです。このため、Web会議を実施するときにはブラウザのタブをできる限り少なくして、画面共有は別のPCを使うのがよいでしょう。

03 Whereby
URLの共有で手軽にWeb会議ができるツール。Web会議自体は無料で可能ですが、機能を段階的に追加した有料版もあります。頻繁にバージョンアップを重ねており、2020年10月の時点では画面共有にGoogleドライブ、miro、Trello、YouTubeを連携させることができるようになっています

 

EC関連ツールは即決で

その他、EC関連のツールはさまざまなツールがあり、そのツールと紐づくアプリやAPIが提供されていることも多いため、何をやりたいかによってツールやアプリを選択することになります。この辺りはひとつのシステムですべてを管理したい場合と、個々の独立したサービスを連結させるマイクロサービスアーキテクチャ的に少しずつ拡大したい場合に分かれます。

スモールで展開したい場合には当然後者を考えたほうがよいのですが、まずは今の運用を効率化する、合理化するところからスタートしましょう。この先、どう展開するかわからないこともそうですが、経営者やマネージャーの朝令暮改的な一発ジャストアイデアに振り回されることなく、どこまで事業展開に必要なのかを考えて導入すべきです。

というのは、アイデアにあわせた行き過ぎたソリューションやツール、アプリを選んだためにそれが業務のボトルネックになる、データが移動できない、引き継げない、さらに検索結果に影響が大きいということが実際にあります。お金と人的リソースがあるならばよいのですが、そうそうあるわけではないので、すばやく検討し早期導入をオススメします。ツール類は時間を掛けて検討しても意味がありません。

その他おすすめECツール1 ネクストエンジン
在庫受注一元化ツールで領収書やレコメンド、滞留在庫管理などさまざまなアプリと連携できる。APIも豊富
その他おすすめECツール2 BuiltWith
調べたいサイトがどのようなツールを使っているかが一発で分かる。有料版なら詳細もわかります

 

Text:川連一豊
JECCICA(社)ジャパンE コマースコンサルタント協会代表理事。フォースター(株)代表取締役。楽天市場での店長時代、楽天より「低反発枕の神様」と称されるほどの実績を残し、2003 年に楽天SOY受賞。2004年にSAVAWAYを設立、ECコンサルティングを開始する。現在はリテールE コマース、オムニチャネルコンサルタントとして活躍。 http://jeccica.jp/

掲載号

Web Designing 2020年8月号

Web Designing 2020年8月号

2020年6月18日発売 本誌:1,560円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

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