2020.03.11
現場で機能するCMSの運用体制 理想と現実のギャップを埋めていこう!
CMSは導入しただけでは意味がなく、いかに使いこなすかが問われます。そこで、継続的な運用を見据えた導入支援、開発業務で実績を重ねる(株)マイクロウェーブに、CMSにまつわる運用体制のあり方について話をうかがいました。
1. CMSで実現したい理想と現実の洗い出し
導入段階で踏まえたい3要素「予算」「品質」「期限」
デジタルを使ったビジネス最適化において、CMSの導入を決めただけでは何も始めることはできません。きちんとしたCMSに絡んだ運用体制を組めてこそ、ようやくビジネスのスタートラインに立ったことになります。導入すること自体は目的とはなりえず、CMSという1手段を選んだに過ぎないからです。
まずは、CMSの運用体制と向き合うとき、CMS選びが大きなポイントになります。その際に、3つの要素を押さえるとわかりやすいです。1つ目は「予算」、2つ目は「品質(クオリティ)」、3つ目は「期限(デリバリー)」です。つまり、どれほどのコストをかけて、どういう機能を搭載したCMSが望ましくて、いつまでに導入しておくといいのかを考えます。
こうしたことに触れるのは、私たちが実務で直面するケースの中に、3要素のうち、予算と期限は明確で先行して伝えられる一方で、「どれほどのレベル感のCMSにしましょうか?」という品質にまつわる話になると、詰めてきていないクライアントが少なくありません。背景には、とりあえずCMSを導入すると便利、という考えが先立つからでしょう。
その場合は、ゴールを意識したロードマップを描くようにしてください。本来的には導入前の段階に描いて、本当にCMSの導入が必要か、のところから検討しましょう。全体像が描けると、全体の中でCMSが担う役割が何かを明確化しやすくなります。
CMSの導入背景の多くが、誰にとっても効率的に更新しやすい仕組みがつくれる、つくりやすいということが挙げられます。CMSは提供したいコンテンツを管理できるツールですが、一方で管理の主体である導入側は、何をどう管理するのかをコントロールできなければいけません。CMSは決して適切なコンテンツを自動でつくって配信してくれる道具ではないからです。
CMSという手段を、どう活かしたいのか? 予算、品質、期限の3要素に基づき用意したCMSで、ビジネス最適化を実行しましょう。
理想と現実との「乖離」を埋める
CMSが担うべき役割を整理する際、現実に即した運用について考える必要があります。実際に現場でどうCMSが活用されるのか、継続的なプロジェクト運営にCMSとその体制が寄与するのか。導入前は机上での想定になりがちですので、現場で実際に通用するのかという視点を外さずに判断しましょう。
導入後に運用が始まると、狙い通りに機能するプラスの現実とともに、意図に反してうまく機能していないマイナスの現実に直面する可能性があります。例えば、更新利便性の1つとして承認フローも自動化を目指し、CMSに多段階承認機能を搭載したら、必ずより良い現実が待っているでしょうか。
承認機能ができてしまったために、承認フローが複雑化したらどうでしょうか? 承認フローがボトルネック化して更新頻度に支障をもたらす可能性を高めては本末転倒です。機能ありきで考えると怖い点が、「いざ現場で機能するのか」です。一例で挙げた承認で言えば、CMS担当部門が小さなチームで、日頃から責任者への声かけがしやすい環境なら、アナログ管理の方がまわりやすいかもしれず、最低限の機能にとどめる選択が現実的ともなります。
特に外部パートナーと連携している場合、希望する機能について、予算や期限だけでなく使いこなしの観点から妥当性があるのか? もたらされる理想と現実について、きちんと説明を求めましょう。その内容が本当に導入側のメリットなのか、想定していたメリットと近しい内容かを判断するのです。