2020.01.13
データのミカタ Web Designing 2020年2月号
プロジェクトマネジメントの仕事を理解するには データアナリスト萩原雅之氏による統計コラム
Web構築でもアプリ開発でも、数人のチームが1週間でこなすプロジェクトもあれば、100人単位で1年間かかるものもある。どんなプロジェクトにも管理と実行に責任を持つ「プロジェクトマネージャ」がおり、予算と期限の制約のなかで成果が求められる。
プロジェクトマネジメント(PM)の仕事の実情や求められる能力を知るのにお勧めなのが、IPA(情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験(国家試験)だ。システムや技術系の試験と思われがちだが、実は「プロジェクトマネージャ」区分もある。難易度は最高のレベル4、受験者数は少なく合格率は低い。全区分では年間のべ40万人近くが受験しているが、この試験は受験者1万1,000人、合格者は1,500人程度にすぎない。
試験は選択式と記述式だが、注目は午後に実施される論述試験。スケジュール遅延や予算超過、意思疎通不足など想定外の状況にどう対処したかを問われる。過去問を見れば、プロジェクト管理や実行において、どんな問題が起きるのかがよくわかる。
例えば、2019年の試験では「コスト超過が予測される場合の対応」と「問題発生時の外部知見の活用」の2つのテーマから選択。自分の関わったプロジェクトの概要説明、実際にどう対処したか、そこからの知見など合計3,000字程度で論じる。問題集や対策サイトなどに掲載されている回答例を読めば、PM経験のない人にも疑似体験ができるはずだ。
もちろん、試験で測るような個人の資質や知識だけでプロジェクトの成否が決まるわけではない。プログラムやシステムの知識に加えて、コミュニケーション力やトラブル対応力も欠かせない。本特集でも書かれているように、今の日本ではPMのできる人材は圧倒的に不足している。資格取得を目指し、挑戦してはどうだろう。
- Text:萩原雅之
- トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/