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「地方のSOS」を解決できるのは「Web制作会社」!? 地方の現状と地域クロスオーバーの可能性

人口減少や高齢化といった課題をかかえた地方から、「SOS」の声があがりはじめています。そうした危機感に対し大きな役割を果たせるのはWeb制作会社であり、Webクリエイターではないかと『Web Designing』は考えています。それはなぜ? いったい何ができる? そこにメリットはある?これからの時代の新しい課題について、みんなで一緒に考えていきましょう。
illustration:高橋美紀

SOS発信中。生まれる新たな課題

減少する人口。SOSを発する地方が増えている !?

日本の姿が今、大きく変わり始めています。都市部への人口集中が激しく進んでいるのです。下のグラフは、2018年に公表された住民基本台帳をもとに、各都道府県の人口が増えたのか、減ったのかを示したものですが、これを見れば、東京や埼玉、神奈川、千葉といった首都圏地域と、その他の地域ではまったく対照的な形で人口の増減が進んでいることがわかります。今後、日本全体の人口が減少していくと予想されていますので、この傾向はより深刻になっていくと予想されます。

では、日本の人口はどれくらい減るのでしょう。右上のグラフで紹介しているとおり、2050年には1960年代並みの約1億人にまで減ると考えられています。わずか30年で2,000万人も減るのですから、その変化は日常の至る所で感じることになるでしょう。

ちなみに100年後の22世紀初頭には、今のおよそ3分の1である4,000万人台にまで減ってしまうという予想もあります。4,000万人というと、今の関東圏に全員が住んでも余裕があるというレベルだそうですから、日本の風景は今とはまったく違うものになっているのは間違いのないところです。

 

地方創生の施策が変化している

「関係人口」が解決のキーワードになる

もう一つの大きな変化が、高齢化とそれにともなう労働人口の減少です。次ページに示したグラフを見ればひと目でわかるとおり、15歳から64歳の人の数は今後大きく減り、労働の担い手がどんどん減っていきます。

言わずもがなですが、そうした働き手の不足はまず地方にダメージを与えます。10年後、20年後に地方都市の周囲にある町や村はいったいどうなってしまうのか。そうした危機感を持つ地域は国とともに「地方創生」のキーワードのもと、さまざまな施策を展開しています。その中身は毎年のようにステップを踏んでおり、地方の実情を汲み取りつつ調整されています。

そうした施策のなかで今後、一つの大きなポイントとなるのが「関係人口」なる新しい言葉です。その地方に移住する「定住人口」でもなく、観光にきた「交流人口」でもない、多様な関わり方をする人のことを指すものですが、その主眼は“地域外の人材”が“地域づくりを担い変化を生み出す”ことにあります。この関係人口が、2020年度からの地方創成に向けた新たな戦略でも、一つのポイントになると言われているのです。

本誌Web Designingが注目しているのもこの部分です。ネットを中心とした ITの技術に加え、マーケティングの視点を持ち、課題解決や効率化を担っている、Web制作会社やWebクリエイターがそうした役割をリードする存在になるのではないかと考えているからです。

本誌のアンケート調査によれば、Web制作会社やクリエイターの多くが、東京圏などの都市部に拠点を置いて活動しています。そうした人たちにとって、地方に移住するのは難しくとも、ネットの力などを利用しながら深い関係性を築くことは可能でしょう。折しも働き方の構造的な改革が進むなか、リモートワークや地域をまたいだ共同制作などの環境、ツールは大きく進化しています。本号でも取り上げている「Adobe XD」や「Microsoft Teams」といったアプリは、そうしたリモートの共同制作をスムーズに行えるように設計されたアプリケーションです。こうしたツールを使いこなすWeb制作会社・クリエイターこそが、地域の課題を解決を担う人材になるのではないかと考えているのです。

地域ビジネスへの協力、参入。これはSOSを発している地方にとっては救世主に、制作会社の側にしてみれば力を発揮できる新たな活躍の場となるでしょう。

 

地域に受け入れられる仕事の仕方を

地域のエコシステムを重視した参入こそ重要

ただし、地方のビジネスに、ただ首を突っ込めばいいなどと言うつもりはありません。地域のビジネスエコシステムと上手に共生しながら、新たな風を吹き込んでいく、そんな心がけが必要となるでしょう。

本特集では、ここから地方の課題をいかに解決していくか、そこに新たなビジネスの芽を見つけ出すにはどうしたらいいのか、といった内容をさまざまな角度から解説していきますが、その前提として、地域をまたいで仕事をする際にぜひ心がけておきたいポイントを、3つの視点から紹介しておきたいと思います。

一つ目は「どうすれば参入すべき地域を見つけ出せるのか」という点。これを誤ると、地域に溶け込むことができないだけでなく、ビジネスそのものに暗い影を落とすことになります。

2つ目は「地方ならではの課題をどういう視点で捉えれば解決できるのか」という視点。地域をまたいで仕事をする際には知っておくべき考え方のポイントです。

そして3つ目として、「地域をまたぐ経験を積む方法」を「プロボノ」を例に紹介します。

地域の課題解決に協力し、力を発揮するにはどうすればいいのか。ぜひ一緒に考えてみてください。

掲載号

Web Designing 2019年10月号

Web Designing 2019年10月号

2019年8月17日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

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高齢化や人口減少など、地方が抱える課題は山ほどあります。
一方で、インバウンドによる地域資源の再発見やITインフラの整備など、
ポジティブに捉えられる話題もあります。
もちろん地方の自治体・民間企業は今、大きな課題に対し真摯に取り組んでいますが、
WebをはじめとするITスキルのプロフェッショナルの力を必要としているのです!

WebやIT業界で活躍する制作会社をはじめとしたプロフェッショナルのみなさんは、
今そこにある地方の課題解決に多少なりとも貢献できるスキルを持っていると言えるでしょう。
また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。


また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。



●地方が抱える課題とは
・制作会社の力が活きる地方のニーズ

●地方におけるWebビジネスのヒント
・制作会社の強みを活かす 考え方と実践
・今行われている地方でのビジネスとは?

●自治体側の受け入れ態勢や協業、助成金

●地方との繋がり方
・「移住」は手段の一つ。「住まなくても繋がる」関係性

●企業で考えるべき「働き方」
・地方志向の社員を活かすための制度導入
・サテライトオフィス、在宅リモートなど事例

【本誌内注目の一文】
■本当の魅力を発見して伝えていくためには、外から来たヨソモノ視点が必要

■まずは参加して、違う環境に関わってみよう

■都市部の高齢化問題の先進事例はローカルにある

■地域外の人材が地域づくりを担い変化を生み出す

■WebやITを生業とする方であれば、自身のスキルを活かす形でも関係人口になれます

■特別な理由がなくても全社員が選べる働き方として、テレワークを活用している




【スペシャル記事】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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