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知的財産権にまつわるエトセトラ Web Designing 2019年10月号

地域ブランドと商標 ~青山ではたらく弁護士に聞く「法律」のこと~

身の回りに溢れる写真や映像、さまざまなネット上の記事‥‥そういった情報をSNSを通じて誰もが発信したりできるようになりました。これらを使ったWebサービスが数多く誕生しています。私達はプロジェクトの著作権を守らなくてはいけないだけでなく、他社の著作物を利用する側でもあります。そういった知的財産権に関する知っておくべき知識を取り上げ、毎回わかりやすく解説していくコラムです。

商標というと、「企業の商品やサービスに関するもの」というイメージが強いと思いますが、商標法には、地元の組合や商工会議所などの名義で地域の名物を商標登録する「地域団体商標」というものがあります。2006年から出願の受付が開始された比較的新しい制度です。

伝統工芸品やB級グルメといった地域ブランドは、その知名度に便乗して利益を得ようとする業者によって悪用されるリスクがあります。地域ブランドの名を冠した劣悪な商品・サービスが世間に出てしまえば、ブランドに対するイメージが損なわれ、地域に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。

地域ブランドが地域団体商標として登録されると、登録者である団体のメンバー以外はブランド名を使用できなくなります。メンバーの間で使用する際の条件を取り決めておけば、ブランド名を使った商品・サービスの品質を保ち、消費者からの信頼も守ることができるわけです。

地域団体商標には、「江戸切子」(江戸切子協同組合・江東区)、「草津温泉」(草津温泉旅館協同組合・草津町)、「宇和島鯛めし」(宇和島鯛めし協同組合・宇和島市)、「豊川いなり寿司」(NPO法人みんなで豊川市をもりあげ隊・豊川市)など、2018年末時点で645件が登録されています。

全国に向けて地域ブランドを発信する際には、その地域ブランドを守るためにも、地域団体商標の活用を検討してみてはいかがでしょう。地域団体商標として登録できる商標の要件、登録するためのポイントは、右の図のとおりです。特許庁が公開している「地域団体商標ガイドブック」に詳細が記載されていますので、そちらもご覧ください。

地域ブランドと関連して、ご当地キャラ、いわゆる、「ゆるキャラ」に関する商標も存在します。地域団体商標は文字しか登録できないのですが、こちらの場合、名称自体とイラストが登録可能です。熊本県のご当地キャラ「くまモン」が代表例で、熊本県は「くまモン」という名称と、キャラクターのイラストを商標登録しています。

みなさんも、くまモンの名前やイラストが入った商品を目にしたことがあるのではないでしょうか。熊本県は、県の農産物、県内企業が製造した食品など、一定の基準を満たした商品にだけ、「くまモン」の商標の無償利用を許諾しています。この仕組みにより、熊本県の生産物の品質の良さをアピールしているわけです。

ローカルビジネスでは、地域ブランドを発見し、発展させることも鍵になってきます。地域ブランドを広めて、地域活性化を目指すうえでは、商標権の上手な使い方も覚えておくといいと思います。

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「地域団体商標として登録できる商標」と「地域団体商標として登録するためのポイント」
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Text:桑野雄一郎
1991年早稲田大学法学部卒業、1993年弁護士登録、2018年高樹町法律事務所設立。著書に『出版・マンガビジネスの著作権(第2版)』(一般社団法人著作権情報センター 刊 2018年)など http://www.takagicho.com/

掲載号

Web Designing 2019年10月号

Web Designing 2019年10月号

2019年8月17日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

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【複数拠点】【リモートワーク】
場所に縛られない働き方

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高齢化や人口減少など、地方が抱える課題は山ほどあります。
一方で、インバウンドによる地域資源の再発見やITインフラの整備など、
ポジティブに捉えられる話題もあります。
もちろん地方の自治体・民間企業は今、大きな課題に対し真摯に取り組んでいますが、
WebをはじめとするITスキルのプロフェッショナルの力を必要としているのです!

WebやIT業界で活躍する制作会社をはじめとしたプロフェッショナルのみなさんは、
今そこにある地方の課題解決に多少なりとも貢献できるスキルを持っていると言えるでしょう。
また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。


また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。



●地方が抱える課題とは
・制作会社の力が活きる地方のニーズ

●地方におけるWebビジネスのヒント
・制作会社の強みを活かす 考え方と実践
・今行われている地方でのビジネスとは?

●自治体側の受け入れ態勢や協業、助成金

●地方との繋がり方
・「移住」は手段の一つ。「住まなくても繋がる」関係性

●企業で考えるべき「働き方」
・地方志向の社員を活かすための制度導入
・サテライトオフィス、在宅リモートなど事例

【本誌内注目の一文】
■本当の魅力を発見して伝えていくためには、外から来たヨソモノ視点が必要

■まずは参加して、違う環境に関わってみよう

■都市部の高齢化問題の先進事例はローカルにある

■地域外の人材が地域づくりを担い変化を生み出す

■WebやITを生業とする方であれば、自身のスキルを活かす形でも関係人口になれます

■特別な理由がなくても全社員が選べる働き方として、テレワークを活用している




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より高速に、よりクリエイティブに!
共同制作の質を大きく向上させる新定番ツール

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