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Bay Area Startup News Web Designing 2019年10月号

割り勘もスマホ1つ!その場で完了! キャッシュレス個人間送金アプリ「Zelle」

海外で起こっている、あるいは起こりつつある新しいビジネスの潮流、近い将来に日本にやってくるであろうビジネストレンドなどを紹介・考察します。米国サンフランシスコ在住の筆者が、サンフランシスコおよびシリコンバレーの「ベイエリア」を中心に、イケてるスタートアップを中心とした会社、サービスを毎月1つ取り上げながら、その背景や目的、今後日本で起こりうるトレンドについて追究します。

キャッシュレス支払いサービスの新たな大波

最近日本でも話題になってきているキャッシュレス支払いサービスですが、世界ではその波がすでに大きく広がっています。中国では多くの店舗でアリペイなどの支払いアプリへの対応が完備されていることはよく知られていますが、他にもイギリス、オーストラリア、シンガポール、カナダ、スウェーデンなども政府による非現金化に向けた取り組みにより、キャッシュレス決済が全体の5割から7割を超えているという統計もあります。

一方、アメリカでは、46%がキャッシュレス決済というデータがあり、普段は現金を持ち歩かないという人も増えてきています。また、個人間での送金には、以前はPayPalを利用する人が多かったのですが、スマホの普及により、新しいサービスへの人気が高まっています。その1つが今回紹介する「Zelle(ゼル)」です

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Zelle
アメリカの銀行傘下のコンソーシアムが2017年にリリースした個人間送金サービス。相手に口座番号を教える必要なく、その場で送金ができます

 

米国の銀行が提供する個人間送金サービス

銀行が結成するコンソーシアム「Early Warning」が開発したZelleは、2017年6月にスタートしたばかりの個人間送金サービス。サービス開始当初から30以上のアメリカ国内金融機関とパートナーを結んだことで話題を呼んでいます。

Zelleは完全オリジナルの機能を有したモバイルアプリというわけではなく、各銀行が運営する口座管理アプリやWebサービスの機能を導入していることが特徴。要するに、Zelleを使うためにわざわざ新たに申請などの作業や煩わしい手間をかけずに使えるというわけです。

このZelleは2017年のサービススタートからの累計取引金額が著しく成長しています。2018年の第1四半期では250億ドルの取り引きがあり、前期の2017年の第4四半期から15%の伸びを実現させています。

また、アメリカにおける大手銀行の1つである、バンク・オブ・アメリカはすでに300万人がZelleを利用しており、1日に平均1,000人ずつユーザーが増え続けていると報告しています。

 

ATMに走らなくてもその場で割り勘

なぜそこまで急激な成長を遂げることができたのでしょうか。もっとも大きいであろう理由は、なんと言っても、時間や手間をかけることなく、さまざまな場面で支払いができる送金方法を提供している点でしょう。具体的には、ATMや銀行に行くことなく、スマホやパソコンから数分で口座間送金を完了することが可能なわけです。

この特徴について具体的なシチュエーションを挙げるとすると、友人間での食事の割り勘や、買い物の立て替えやをお願いしたときなどに活躍します。例えば、友人5人でレストランへディナーに行った場合のお会計は幹事が代表してカード払いをして、他の4人がZelleに支払う金額を入力して幹事宛てに「Pay」ボタンをタップするだけで完了。後日現金や口座振込による支払いなどといった作業は必要なく、ディナーからの帰りにその場で立て替えや割り勘が済んでしまうのです。

このようなタイプの他サービスの1つに、Zelleが登場する以前の2009年からサービスが開始されているPayPal傘下の「Venmo」というアプリがあり、こちらも友人間でのカジュアルな支払いで多く使われています。現金で集めるより、計算ミスもなく時間もかからないため、大人数でもスマートに会計を終えられることが喜ばれています。

また、Appleも同社が提供するキャッシュレス支払サービス「Apple Pay」に同社のメッセージツール「iMessage」と連動させることによる独自の送金サービスを発表したりと、個人間送金サービス分野は熾烈な参入競争が起こっています。

 

割り勘はモバイルで

そんな中でも、Zelleがアメリカで注目されるもう1つの理由は、口座番号を支払う側に知らせずとも送金を受けられるという点にもあります。送金相手の名前とメールアドレス、電話番号さえ知っていればよいのです。アメリカでは口座番号を他人に共有することを敬遠する人が多く、Zelleはそういった人々のニーズを満たしていると言えます。

また、銀行がバックについたP2P送金サービスということで、セキュリティ面でも安心感があります。現在は銀行のみならず、VISAやMasterCardもネットワークに参加しており、IBMをはじめとするテクノロジー関連企業もパートナーとして参加しています。

手軽に使えてセキュリティ面での心配も少ないことから、「割り勘はモバイルで」という考え方はアメリカでは普及していると言っても過言ではない状態になってきています。

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Zelleはアメリカ大手のバンク・オブ・アメリカをはじめとした金融機関がサービス開始時に30以上参入しました。中にはVISAやMastercardなどといった大手クレジット会社も参入しています
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操作は非常にシンプル。相手を選択して金額を入力、送金ボタンを押せば完了です。送金相手は名前、メールアドレス、電話番号の情報さえあればOKで、煩わしい個人情報の入力や審査などが一切必要ありません。母体が銀行なので、セキュリティ面にも不安は少ないのもポイントです
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Text:ブランドン・片山・ヒル
米国サンフランシスコに本社のある日・米市場向けブランディング/マーケティング会社Btrax社CEO。主要クライアントは、カルビー、TOTO、JETRO、伊藤忠商事、Expedia、TripAdvisor等。2010年よりほぼ毎週日本から米国進出を希望する企業からの相談を受け、地元投資関係者やメディアとのやりとりも頻繁。 http://btrax.com/jp/

掲載号

Web Designing 2019年10月号

Web Designing 2019年10月号

2019年8月17日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

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高齢化や人口減少など、地方が抱える課題は山ほどあります。
一方で、インバウンドによる地域資源の再発見やITインフラの整備など、
ポジティブに捉えられる話題もあります。
もちろん地方の自治体・民間企業は今、大きな課題に対し真摯に取り組んでいますが、
WebをはじめとするITスキルのプロフェッショナルの力を必要としているのです!

WebやIT業界で活躍する制作会社をはじめとしたプロフェッショナルのみなさんは、
今そこにある地方の課題解決に多少なりとも貢献できるスキルを持っていると言えるでしょう。
また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。


また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。



●地方が抱える課題とは
・制作会社の力が活きる地方のニーズ

●地方におけるWebビジネスのヒント
・制作会社の強みを活かす 考え方と実践
・今行われている地方でのビジネスとは?

●自治体側の受け入れ態勢や協業、助成金

●地方との繋がり方
・「移住」は手段の一つ。「住まなくても繋がる」関係性

●企業で考えるべき「働き方」
・地方志向の社員を活かすための制度導入
・サテライトオフィス、在宅リモートなど事例

【本誌内注目の一文】
■本当の魅力を発見して伝えていくためには、外から来たヨソモノ視点が必要

■まずは参加して、違う環境に関わってみよう

■都市部の高齢化問題の先進事例はローカルにある

■地域外の人材が地域づくりを担い変化を生み出す

■WebやITを生業とする方であれば、自身のスキルを活かす形でも関係人口になれます

■特別な理由がなくても全社員が選べる働き方として、テレワークを活用している




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