2019.03.21
One's View コラム Web Designing 2019年4月号
【コラム】えっ! なんで? エンジニア起点のCMS発想法 今号のお題「CMS」
さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。
先日、エンジニアである夫とともにコーポレートサイトをつくることになり、デザインと構成はどうするか、コンテンツは何にするかなど、家庭内企画会議を開きました。
PR畑の私にとって「コーポレートサイトの更新」は業務領域。プレスリリースなどの掲載を想定し、更新はスピーディかつ簡単に行いたいと考えます。そうなるとCMS、なかでも王道のWordPress入れる? という発想になるわけで、今回も当然のごとく「WordPressでも入れておいてよ」とオーダーしました。
でもよく考えてみると、これからつくるサイトは更新頻度がきわめて低い。3カ月に一度? いや半年に一度の可能性すらあります。というわけで考え直して「CMS入れなくてもいいや。だってそんな更新しないし。更新の時にはよろしく」(つまりエンジニアの仕事)とオーダーを変更しました。
そうしたところ想定外の「更新頻度が低いからこそ、仕組みをつくるべきなんだ」という返答が。つまるところ…
【更新しない】→【わざわざ仕組みをつくる必要ない】(開発コストかかるしね)というのが私の発想。
【更新しない】→【そういう時こそ仕組みをつくるべき】というのが夫の発想。
えっ! なんで? 意味がわからない!
エンジニア起点で考えると、仕組みにしないと「更新の仕方がわからなくなる」という論理のようですが、一理ありそうです。学びました、私。その発想はなかった。そして、最初に戻り「WordPressを入れる?」といったら、「それも賢明じゃない」。バージョンアップとかあるよね、って。確かに最近バージョンが上がってガラっと変わりましたよね…。
そこで出てきたのが、「スタティックサイトジェネレーター」。Markdownを書いて、サーバにあげるだけでHTML/CSS/JavaScriptが生成されるというのだから、確かにシンプルで潔いツールです。バージョンアップに影響されない、コストが安い(サーバー代だけ)など、メリットはいろいろあるようですが、ここは専門ではないので割愛します。やり方さえ覚えれば私にも更新できそう。さらに、エンジニアとしても仕組み化できる。このあたりで、我が家の会議はまとまりました。
スタティックサイトジェネレーターは、CMSに比べると、Web言語に馴染みのない人でもわかるようなUIではありません。ゆえに、エンジニアが側にいないと不安も残りますが、CMSを導入するプロジェクトや企業にサポートするエンジニアがいると考えれば、スタティックサイトジェネレーターもひとつの選択肢かもね、というのがCMSにまつわるお話でした。
Webサイトやアプリの構築はチームで行うもの。デザイナー、PR、エンジニア。見る角度が変わると、実装における重視したいポイント、譲れないポイントが変わるということを感じた、この日。だから、さまざまな職種が集まって、それぞれの領域で見つけた新しい技術やフレームワークを持ち寄り議論して、ひとつのものをつくりあげる事業や制作は楽しいのです。