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Bay Area Startup News Web Designing 2019年4月号

コンテンツをマルチユース&キュレーション CMSの既成概念を打ち破る「Qurate」

海外で起こっている、あるいは起こりつつある新しいビジネスの潮流、近い将来に日本にやってくるであろうビジネストレンドなどを紹介・考察します。米国サンフランシスコ在住の筆者が、サンフランシスコおよびシリコンバレーの「ベイエリア」を中心に、イケてるスタートアップを中心とした会社、サービスを毎月1つ取り上げながら、その背景や目的、今後日本で起こりうるトレンドについて追究します。

福岡発の次世代CMS開発企業

今回は、次世代CMS(オンラインパブリッシングプラットフォーム)を開発する株式会社Qurate(キュレイト)を紹介します。Qurate社は福岡市が主催して我々btraxが運営を行なっているグローバルスタートアップ育成事業「Global Challenge Startup Fukuoka」に参加したスタートアップの一つです。

このような経緯もあるため、同社は厳密に言うと、サンフランシスコベイエリアのスタートアップではありません。しかし、今からおよそ15年前の2004年に来日したトム・ブルックによって2014年に福岡で創業され、2016年にサンフランシスコ・シリコンバレーで大きなビジネスチャンスを掴んだ企業という意味では、ベイエリアに少なからず所縁のある企業と言えます。現在は福岡に本社を置いて十数人規模の企業に成長し、今後が期待されるスタートアップの1つになっています。

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Qurate
福岡で創業し、シリコンバレーでビジネスチャンスをつかんだ次世代CMS開発企業。メイン商品である「Qurate Content Hub」の他に、スマホでサイトがつくれるスモールスタート向けアプリ「Que」も提供しています
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トム・ブルック氏(Tom Brooke)
Qurate社 ファウンダー兼CEO

 

コンテンツをさまざまなプラットフォームに最適配信

同社が提供する「Qurate」は、新しいタイプの「ブランドサイト生成プラットフォーム」を目指していて、これまでのCMSとは一線を画すタイプのクラウドサービスです。

まず、同一CMS上に複数のWebサイトをつくることができ、アプリやソーシャルメディア、Apple社の「News」アプリやFacebookの「インスタントアーティクル」などのサードパーティ製アプリ、サービスに最適化した形でコンテンツ配信が可能です。また、管理・分析や、複数のサイトも一つの管理画面で一元管理できる仕組みを提供しています。

そして、それぞれのプラットフォームへのコンテンツ投稿を一括で予約・管理できる機能や、それぞれの投稿コンテンツに対する反応が一覧できる機能などを持ち、広告代理店や企業のマーケティングおよびブランディング担当者にとっての作業効率の向上を実現しています。

例えば、Qurateを採用している企業の1つ、大手酒類メーカーのバカルディのレシピサイト(http://www.bacardijapan.jp/cocktails/)を紹介しましょう。当サイトで掲載しているカクテルのレシピが1万6,000種類もあります。これらのコンテンツの更新をするにも管理が大変なのは想像に難くなく、SNSとの連動性に非常に労力がかかります。Qurateではこれを1画面で見通し、一元管理できるのでさながら「コンテンツのハブ」としてのプラットフォームとして活用されています。

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Qurateは、「効果的なブランドサイトの構築と一元管理」を目的としており、複数のサイトやSNSの投稿などを1つの画面で管理できる他に、その名のとおり他サイトやSNS上のコンテンツを収集(キュレイト)できる機能が画期的です。もちろん、それらの情報を集積し、分析しやすいインターフェイスを擁しています

 

WebやSNS上のコンテンツを収集し管理・分析

Qurateのもう1つの大きな特徴は、ソーシャルメディア上のコンテンツを拾い集めてくることができることです。キーワード、 ハッシュタグ、フレーズ等で設定されたSNSなどの外部フィードをまさに「キュレイト(収集)」することで、随時自動更新されるダイナミックなサイト構築を実現しています。

収集したコンテンツは自社の独自コンテンツとともに、ひとつの流れとして、一覧表示することができます。これらの拾い集めたコンテンツは自動アップデートもできるようになっています。

また、それぞれのコンテンツに対してのユーザー行動データを収集、分析することで、コンテンツ発信を効率的かつ効果的に行い、 ユーザーの声を聞きつつ、 エンゲージメントを高めることも可能にしています。

他にも、ブランドサイトに欠かせないモニタリング機能も実装しており、ソーシャルチャネルを通じてコンテンツアセットのパフォーマンスを追跡し、 時間の経過とともに顧客のエンゲージメント(視聴者関与の傾向)がどのように変化するかを特定しています。

Qurateのコンテンツ軌跡ビジュアル化ツールにより、クロスチャネルコンテンツ戦略を知らせることで、どのアセットが最良のパフォーマンスを記録したか、どれが最良のパフォーミングアセットだったか、 また、どのようなタイプのコンテンツが拡散する可能性があるか、どのコンテンツがシェアされる可能性が高いかを教えてくれます。まさに現代のコンテンツマーケティングに必要かつ便利な機能がQurateに凝縮しているのです。

 

1人のデザイナーが爆発的成長の鍵

現在Qurate社は、福岡の他にロンドン、台湾、東京、パリにもオフィスを構え、本格的なグローバル展開を視野に入れています。ファウンダーのトム・ブルックはイギリス出身で、スタッフのほとんどが日本人ではなく、社内のコミュニケーションは英語で行われ、プロダクト自体もグローバルのユーザーをターゲットにしています。

ブルックが言うには、今後Qurateが目指すのは、SNSやWebに限らず、多種多様なコンテンツやサービスをつなぐ「ハブ」の役割を果たすことだそうです。  

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1つのコンテンツをさまざまなデバイスやプラットフォームに最適化した形で配信する「ワンソース・マルチユース」。既存のCMSでは外部のツールと連携することでそれを実現させるしかありませんが、Qurateはこれ1つで実現できるところが他のCMSを一線を画すポイントの1つです
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Text:ブランドン・片山・ヒル
米国サンフランシスコに本社のある日・米市場向けブランディング/マーケティング会社Btrax社CEO。主要クライアントは、カルビー、TOTO、JETRO、伊藤忠商事、Expedia、TripAdvisor等。2010年よりほぼ毎週日本から米国進出を希望する企業からの相談を受け、地元投資関係者やメディアとのやりとりも頻繁。 http://btrax.com/jp/

掲載号

Web Designing 2019年4月号

Web Designing 2019年4月号

2019年2月18日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

CMSの見直しで、Web品質と業務・組織を改善せよ!

サンプルデータはこちらから

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Webビジネスの成否に直結する!

CMS 2.0
新時代の常識

顧客との接点やエンゲージメントを高めるために必須のWebサイト。
その基盤となるCMSを、予算や自社都合だけで選んでいませんか?


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今や企業サイトの6割以上がCMS(コンテンツ管理システム)を導入していると言われています。
専門知識がなくてもサイトの更新や管理ができるのが特長のCMSですが、
これをただの「サイト運用ツール」だと思っているなら、
それは大きな機会損失を招いている可能性があります。

顧客へ認知やエンゲージを高めるために必須であるWebサイト、
そのコンテンツを有効に活用するための基盤となるCMSは、
今後のWebビジネスの勝敗を左右する大事なポイントなのです。
さらに、今あるサイト運用上のさまざまな課題も、
CMSを理解することで解消されるのです!


また、現在CMSと呼ばれるものは3,000以上存在しています。
中には業界や用途に特化したものもさまざまです。
そんなCMS、予算や担当部署の都合だけで簡単に選んでいませんか?

では、CMSをビジネスの基盤とし、武器として120%活用するためにはどんなことを考え、
どんな準備や選考基準が必要でしょうか。
そして、限られたリソースや少ないコストで成果を出すにはどうすればいいのでしょうか。



Web Designing 4月号(2月18日発売)では、
新規Webビジネスを立ち上げる際、どんなCMSを選べばいいか、今やりたいことを実現させるために
CMSを乗り換えるならどうすればいいか、既存のCMSをもっと活かすにはどうすればいいかなど、
もはやWebビジネスに欠かすことができないCMSの
これからの活かし方や課題の解決方法をさまざまなシチュエーションに立って解説します。


【対象読者&課題】
■とりあえず無料のCMSにしてみたものの、実際の運用にさまざまな課題が出てきた
■現在自社に導入されているCMSでは、やりたい新規Webビジネスが思うように実現できそうにない
■運用の使い勝手がいいCMSが知りたい
■予算は少ないが、企業サイトだけに素人が適当に作るのは抵抗がある
■CMS構築及びWebサイト制作、そしてその後の運用まで信頼できるパートナーを見つけたい
■「自社で簡単に作れる」という触れ込みを鵜呑みにした結果、現場が混乱&疲弊している


【予定内容】
●CMSこそがWebビジネスの勝敗を左右する

●CHAPTER1 CMSを“知る”
  01_CMSの定義や仕組みを知る
機能の違いやトレンド
02_WordPressが選ばれる理由と利用時の注意点
機能性、開発力で課題を解決
03_CMS導入がもたらすビジネスメリット
投稿の質と働き方を向上

●CHAPTER2 CMSを“選ぶ”
   01_ビジネス最適化につながるCMS選びのための準備
決め手は、選ぶ前の準備作業
02_具体例で学ぶCMSの選び方
「運用」や「保守」を意識した選択

【 CMSとセキュリティ 】 Web制作のプロが教える~CMSとセキュリティ“9つ”の金言
【 編集部が厳選! 】企業サイト・メディアで安心して使える商用CMS 17選!
【 Column 】 管理画面を変えたUXデザイン
【 Column 】 Webサイトのセキュリティのために~知っておきたいハッカーのこと

●CHAPTER3 CMSを“運用/活用する”
01_中長期的に考えるCMSの運用と体制づくり 
持ち腐れにしない、積極的な活用を!
02_これからの新常識は「CMSマーケティング」だ! 
まだWebサイトの更新にしか使ってないの?

【 CaseStudy 】 CMSで実現したリード獲得と新たな営業フロー/「Hint Clip」 共同印刷

ほか

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