先手が好手連発で差を広げました。1図で▲3四角が最初の好手。飛車取りに加えて5二銀や6一金をにらみ、終盤で働いてきそうな角です。実戦は後手が飛車を逃げずに勝負する順を選び、▲2三角成につながりました。
2図で▲5六同馬も好判断でした。後手の5五馬は攻防に利く好位置ですが、▲5六同馬△同馬で一つずらされると働きがいまいちです。
3図。馬切りで得た手番が▲5三歩につながりました。急所中の急所。この一手で後手の堅陣が乱れます。たとえば△5三同銀は▲同成銀△同金▲4二飛成。二枚飛車の攻めを目指せば後手玉を攻略できます。
上田女流四段も離されないように力を尽くしてきました。1図の▲3四角、2図の▲5六同馬さえなければ大変な勝負だったと思われます。しかし、加藤女流四段は好手を逃しませんでした。