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陣屋では13時30分から大盤解説会が始まりました。平日の雨天にも関わらず、熱心な将棋ファンが詰めかけています。解説を務めるのは立会人の森下九段、聞き手は野田澤彩乃女流1級。森下九段の軽妙なトークが早速会場に響いています。

「上田さんは角交換振り飛車をよく指されていたので、戦前は振り飛車が中心になると予想していました。でももしかしたら横歩取りのような相居飛車系の将棋もありえますよ、とあいまいな答えをしていたんですが(笑)、1局目から横歩取りでしたね。△8四歩(2手目)を見た加藤さんはのけぞったそうですよ、関係者の話によると。私は見逃してしまいましたが」(森下九段)




(大きな拍手で迎えられた森下九段と野田澤女流1級。大盤解説会は終局まで行われる予定だ)


(森下九段)


(野田澤女流1級)

(若葉)

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午後に入って駒がぶつかり、盤上で戦いが始まりました。序盤の駒組みが終わり、中盤戦に移っています。駒に動きがあるときは、形勢にも動きがあるとき。中盤戦のやり取りで先手と後手、どちらかに形勢の針が振れる可能性があります。

それに合わせて、控室でも本格的な検討が始まりました。控室ではあらかじめ継ぎ盤が用意されていましたが、現在検討で使用されているのは窪田六段が持参したもの。虎斑(=虎の皮のような木目のこと)が美しい飴色の駒です。


(本格的な検討が始まった控室。窪田六段と盤を挟むのは午後から控室入りした勝又清和六段)


(窪田六段持参の盤と駒。和洋折衷のおしゃれな布盤である)


(勝又六段)


(窪田六段)

(若葉)

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図は59手目▲2一馬の局面です。
先手の加藤女王が1~2筋から戦いを起こし、後手の香の裏に生まれた空間を利用して馬を作りました。角の成り駒である馬は、「馬の守りは金銀3枚」の格言にもあるように将棋では非常に強力な駒。攻守に存在感を発揮します。加藤女王が戦いを起こしたのは、その馬を作ってポイントを挙げるのが狙いでした。

しかし、控室の検討ではここで△4二金上(変化A図)がぴったりで、後手ペースになったのではないかと言われています。



△4二金上は次に△8一飛(変化B図)と引いて馬を捕獲する狙い。「損して得取れ」の手筋で、馬を作られて損をしているように見えて、△8一飛の局面では馬が助からないため後手が優勢となります。この手があってはせっかく作った馬が負担になっており、仕掛けた先手がでかしていないのではないかと控室では言われていました。



本譜、上田女流三段が選んだの△5五歩でした。次に△5六歩から先手玉を直接攻める狙いで、この形では急所の1つです。△5四歩と突いた流れを考えるとこちらも自然な一着のようです。




(上田女流三段)

(若葉)

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15時、対局室におやつが運ばれました。両対局者に出されたのはフルーツの盛り合わせ。飲み物は加藤女王がしぼりたてグレープフルーツジュース、上田女流三段がホットティーでした。グレープフルーツジュースは朝食で食前の飲み物として出されたもので、おいしかったので加藤女王がリクエストしたそうです。


(おやつに出されたフルーツの盛り合わせ。写真奥は加藤女王のしぼりたてグレープフルーツジュース)


(上田女流三段の飲み物、ホットティー)

(若葉)

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陣屋の客室は純和風。時代と歴史を感じさせる造りでありながら、宿泊客が過ごしやすいように工夫が施されています。歴史的な背景から屋内には鎧や兜、刀剣や矢のような武具が展示されていました。また、囲碁や将棋と関わりの深い旅館ということもあって、対局当時の写真や貴重な色紙も多数飾られていました。将棋ファンにはたまらない場所といえるでしょう。







(升田幸三実力制第四代名人の色紙「強がりが雪に転んで廻り見る」。有名な「陣屋事件」の1年後に陣屋に届けた、とされる)


(廊下には陣屋で行われた対局写真が多数掛けられている。右の写真は第57期名人戦第5局の佐藤康光名人-谷川浩司九段戦。いまから16年前の対局だ)

(若葉)