将棋年鑑のあれこれ② ~綺麗な投了図~ プロの実戦から詰将棋を出題! | マイナビブックス

価値ある情報を幅広く紹介。将棋の「知りたい」はここで見つかる

マイナビ将棋編集部BLOG

新刊案内

将棋年鑑のあれこれ② ~綺麗な投了図~ プロの実戦から詰将棋を出題!

2015.07.02 | 藤原 哲

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

皆さんこんにちは。編集部の藤原です。

今週も将棋年鑑から話題を一つ取り上げようと思います。話題は次の一手について。
「将棋年鑑の次の一手」といってもピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんが、
棋譜ページの下段にあり他にコラムなどが入るところです(下の画像の赤枠部分)。




この次の一手はテーマとして、プロの実際の対局から終局直前の局面を選び、なおかつその局面で即詰みになっている場面を出題しています。
というわけで、問題を選ぶために年鑑に収録される棋戦と同じ期に行われた対局の投了図を片っ端から見ていったのですが、思ったより時間がかかる作業になりました。
やはりプロの対局ということもあり、詰将棋のように綺麗な捨て駒で決まったり、分かりやすい手で詰んでいる、といった局面はなかなか見つかりません。詰まされる前に形勢に差がついていて投了している場面も多くありました。

そういった中でも、実戦ではなかなか現れないだろうと思った詰め手順を13題選びましたのでご購入の際には棋譜並べだけなく、ぜひ挑戦してみてください。


今日はその13題から泣く泣く候補から外した問題を2問出題します。
どちらも手順は長いですが、ぜひ次の一手だけでも考えてみてください(段位は当時)。解答は下の方に。






①棋王戦 ▲谷川浩司九段-△高橋道雄九段戦より
82手目△2二金まで






②棋王戦 ▲及川拓馬五段-北浜健介八段戦より
108手目△7三同玉まで
























○解答
①正解は▲2四桂

まだ後手玉は詰まなそうな感じですが、いきなり▲2四桂!から王手を掛けて何と詰んでいます。(1)△2四同銀は▲2二飛成△同玉▲3四桂△3三玉▲4四金以下詰み。(2)△2四同歩は▲4五馬△2三合▲同馬△同玉▲2二飛成△同玉▲3二金△1二玉▲2二金打△同銀▲同金△同玉▲3四桂以下詰み。変化はあるものの後手玉は詰みから逃れられないようです。大駒を総動員しての詰みでした。


②正解は▲6二銀

こちらは広そうな玉ですが、▲6二銀!の一発で捕まっています。
(1)△8四玉は▲9五金△同玉▲9六歩△8五玉▲8六金△8四玉▲9五金まで。(2)△8二玉は▲7三金△同桂▲7一銀不成△同玉▲5一飛成△8二玉▲8一龍まで。
(3)△6二同玉は▲5一飛成△7三玉▲7四金△同玉▲7五金△同玉▲5五龍△6五銀▲8六金△7四玉▲7五銀以下詰み。

二つとも詰将棋の名手らしい決め手で、かつ綺麗な捨て駒で決まっていて出題したかったのですが、正解後の手順が余りにも長すぎるためやむを得ず断念。それにしてもこの長い手順を読みきってしまうプロはやはり凄いです。