今どきのiPhone文章作成術①|MacFan

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相手の気持ちを考えてメール/メッセージを書こう

今どきのiPhone文章作成術①

文●栗原亮小平淳一吉田雷(MixtureScape)イラスト●鈴木順幸

メールのマナーや気遣いの仕方は、時代とともに変わっていくもの。ここでは、iPhoneでのコミュニケーションを意識した、今どきの気遣いのポイントを要素別にチェックしていきます。

新時代のコミュニケーションはまず「宛先」に気を配ろう

メールの必須要素である宛先。まずはここからチェックしていきましょう。iPhone利用を前提とすると、気をつけておきたいことがいくつかあります。

名前を間違えて登録するよりは「登録せずに運用」が吉

メールの宛先欄の名前を間違えてしまうのは、大変失礼なことです。相手側にしてみたら、わざわざ指摘するか、何も言わないままでいるのか悩むことになるからです。

この問題は、たいてい「連絡先」アプリに名前を間違えて登録してしまったことが原因です。変換ミス・入力ミスに注意して登録することも大切ですが、「むしろ連絡先に登録しない」というのも、今どきのスマートな対策かもしれません。

iPhoneのメールは、過去にやりとりをしたアドレスを記憶しています。相手のメールの差出人情報に正しい名前が入っていることが前提となりますが、その名前の一部を入力することで候補として提示されるようになるのです。これなら間違った名前で相手に届くことも避けられ、そのうえ登録の手間も省くことができます。

「連絡先」アプリに間違った氏名を登録していると、受け取った側にも間違った氏名で表示されてしまいます。

 

iPhoneでは、過去にやりとりをした相手を記憶し、宛先候補に表示させることができます。

 

モバイル隆盛の今だから注意すべき「To」「CC」「BCC」の使い分け

ビジネスでは「To」「CC」「BCC」の使い分けが大切。メールマナーとして昔から指摘されていることですが、スマホでの送受信が増えてきた現代では、いっそうの気遣いが必要です。

たとえば、BCCで送ったメールは、メールアプリの設定によっては通知されないケースがあります。重要な内容なのに気づいてもらえない可能性があるのです。

また、ミーティングの出欠確認などをCCで送ると、見過ごされて返事を送ってもらえない可能性があります。iPhoneの純正メールアプリには、メール一覧画面で「To」と「CC」のラベルを表示する機能があり、忙しい相手だとそこだけを見て「CCなので返信不要かな」と判断されてしまう恐れがあるのです。自分が困るだけでなく、相手の判断を迷わせる要因になりますので、CCやBCCは上手に使い分けましょう。

iPhoneの純正メールアプリでは、一覧画面に「To」と「CC」のラベルを表示する機能があります。自分宛かどうかを瞬時に見分けられるので便利ですが、送信先がこの機能を使っていた場合、ラベルを見て「CCメールは返信が不要」と判断されてされてしまう危険もあります。

 

 

 

スピード感が大切なメールではわかりやすい「件名」が大切

メールの件名の書き方次第で、受け取った相手の処理の手間が変わってきます。相手がスムースに処理できるように配慮した件名の書き方を考えてみましょう。

件名でテーマをしっかり伝えて相手が判断しやすいようにしよう

スマホでの送受信を考慮したメールのやりとりでは、件名の書き方がとりわけ重要になってきます。件名をしっかり書くことで、iPhoneの通知画面だけでもメールの内容をおおよそ知ることができ、受け取った相手もスピーディに処理ができるようになります。

たとえば、「ご相談があります」「教えてください」といった件名は典型的なNG例。件名だけではどんな内容かわかりませんし、すぐに確認・返答すべきかどうかの判断もつきません。加えて、曖昧な文末表現も避けたほうがいいでしょう。たとえば、「来週の会議について」など、件名の末尾に「ついて」や「関して」などと書くのはあまり好ましくありません。たとえば、会議の日時を周知させたいのであれば「会議の日時をお伝えします」とはっきり書いたほうがベターです。

さらにいえば、件名はきれいな文章になっていることより、大切な情報がコンパクトに収まっていることのほうが大切。「【自社サイトリニューアル】デザイン案のフィードバック依頼(9月7日まで)」と書いてあれば、件名だけでも用件がかなり伝わります。送る相手との関係性もあるので一概にはいえませんが、より判断しやすい件名のほうが受け取った側のメリットにつながるはずです。

「ご相談です」という件名のメールが届いたら、受け取った側は気になってすぐに内容を確認してしまうかもしれません。急いで読んでみけれど急用ではなかった…と、相手を苛立たせないようにしたいものです。

 

件名が長すぎると、メールの一覧画面では省略されてしまいます。大切なことはなるべく前のほうに書くようにしましょう。

検索での探しやすさも考慮して適切なキーワードを入れよう

件名は、そのメールを初めて読むときのわかりやすさだけでなく、あとで検索するときの探しやすさも考慮しておくといいでしょう。そのためには、メール内で話題にしているブロジェクト名や商品名、イベント名、企業名といった固有名詞を正確に書いておくことが重要です。たとえば、見積書や企画書、仕様書を送るときは、件名に「お見積もりをお送りします」とだけ書くのではなく、何のプロジェクトの見積もりなのかをハッキリ書きましょう。

「わざわざ件名に書かなくても、本文内にキーワードが含まれていれば検索できるのでは?」と思う人もいるかもしれません。確かにiPhoneはメール全体を対象に検索することができますが、件名を対象に検索したほうがより素早く抽出ができるのです。

また、iPhoneのメールアプリは、件名での検索がしやすいユーザインターフェイスになっており、検索窓にキーワードを入力すると「件名で〇〇を検索」という選択肢が提案されます。さらに、検索してメールが抽出されたあとも、件名がしっかり書いてあれば一覧から目当てのメールをすぐに選べるはずです。件名にキーワードを含めることは、相手がスピーディに仕事を処理するための気配りだといえるでしょう。

件名に商品やイベントなどの固有名詞が含まれていれば、あとで検索するときも探しやすくなります。

 

キーワードとなる言葉を省略形で書いてしまうと、あとで探すのも大変です。件名を短くしたい気持ちはわかりますが、なるべく正確な記述を心がけましょう。