2018.04.28
IT、モバイル、デザイン、アートなど幅広くカバーするフリージャーナリスト&コンサルタントの林信行氏が物申します。
ミラノデザインウィーク(通称:ミラノサローネ)に向かう途中、8年ぶりにロンドンを訪問。デザインミュージアムを覗いてきた。
企画展のフェラーリの展覧会「Ferrari Under the Skin」が素晴らしかった。1つの製品をつくるまでに、いくつものプロトタイプを時には木を削ってつくり、見た目や触り心地などを確かめながら形にしていく。そこから生まれた美しい製品が、世界のセレブたちを虜にし、いくつもの映画なども生み出したという「ものづくりから文化づくり」にいたるまでを紹介した展覧会だった。
しかし、それに負けないくらい感動したのが最上階で行われていた無料の「DESIGNER MAKER USER」という常設展だ。イタリアの建築家エルネスト・ロジャースの「スプーンから都市づくりまで」という言葉を借り、今日、デザイナーが関わるべき領域が家具の造形から交通システムの設計、ヘルスケアサービスの立案、そしてソフトウェアづくりまで幅が広がっていることを紹介。そのいずれにおいても計画を立てるデザイナーと、形にするMAKER、そして出来上がったものを使うUSERがいることを意識させる構成の展覧会になっている。
歴史を変えたさまざまな商品の実物が年表のように飾られていたり、ブラウン、ソニー、そしてアップルの3社がいかに「デザイン」を真剣に考えているかを企業ロゴから人気商品の変遷にいたるまで詳しく紹介していたり、誰もがよく知る製品がどうやって企画され、つくられたかを丁寧に紹介していたりとかなり見応えがある内容だった。
後半では3Dプリンタなどの登場で、これからのものづくりが大きく変わっていくことを車1台プリントできそうな巨大な3Dプリンタを展示して紹介していた。
我々が日頃、目にしているモノの裏でどんな人たちがどんな思いを巡らせて、どんな技術やワザを使って形にしているのかがよくわかる素晴らしい内容だった。