2018.04.22
「Med Tech」の最新事情。ヘルスケアの在り方を一変させる注目のプロダクト&サービスに注目。
Moff Band
【発売】Moff
【価格】5616円
【URL】https://jp.moff.mobi/
加速度センサとジャイロセンサを搭載したウェアラブル端末。もともとは、アプリと連係し、動きに合わせて音が鳴るスマートトイとして開発された。最近では、「モフトレ」「モフ測」などのアプリと連係し、介護事業者向けの介護予防プログラムでも活用されている。モフバンドを使ったトレーニングやレクリエーションの活動結果は自動で記録され、データは介護報酬加算の際の参考資料にもなる。
何も持っていなくても、腕につけて振ると剣のぶつかる音が鳴り、ギターを弾く真似をすると「ギュイーン」とギターの音がする。そんな近未来の「スマートおもちゃ」として2014年に登場した「モフバンド(Moff Band)」。それが今、来るべき超高齢社会に向け、新たな活用をされ始めている。
そもそもモフバンド自体は、「体の動きを検知する」というごくシンプルなセンシングデバイスだ。内蔵されているのは、加速度センサとジャイロセンサ、そしてブルートゥース接続のための部品。ボタンも電源ボタンしかついていない。そのシンプルな設計が功を奏した。モフバンドを見た介護関係者が、「これは高齢者の機能訓練にも使えるのではないか」と気づいたのだ。それを受けて、株式会社Moffのメンバーは、介護事業所向けの介護予防プログラムを開発した。その背景について、同社のエグゼクティブ・プロデューサーである園野淳一氏は次のように語る。
「もともとモフバンドはおもちゃとしても『子どもに体を動かして遊んでほしい』という目的で開発されました。運動訓練に使われるのも、自然な流れだったと思います」
ギタリストや魔法使いになれる! 動きを検知するデバイスの可能性
「Moff Band」はモーションキャプチャの機能があり、腕の動きをトラックできるウェアラブルバンド。元々は専用アプリと連係させ、その動きに合わせて音を鳴らすことで、さまざまな遊びを体験できるというコンセプトの製品だ。
トイからヘルスケア領域へ高齢者の機能訓練を支援する
Moffの代表取締役社長・高萩氏は、もともとヘルスケア領域へのチャレンジを考えていたという。そこで三菱総合研究所と資本・業務提携を実施し、早稲田エルダリーヘルス事業団と協業して、高齢者の自立支援につながるプログラム開発に挑んだ。
昨年8月にリリースした「モフトレ」は、ロコモティブシンドローム(運動器の障害のために「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態)を予防するトレーニングや、日常生活動作の訓練が行えるアプリだ。「膝伸ばし」「お風呂で髪を洗う」などのメニューを選ぶと、その動作の見本動画が表示され、それに合わせて動作することで簡単にトレーニングができる。モフバンドと連係し、正しい動きができているかどうかも測定する。
モフトレでは、「きよしのズンドコ節」など高齢者になじみのある音楽が鳴り、どんな動きでも画面上で反応が出る。「これができたら成功」「できなかったら失敗」といった概念や、優劣をつける要素などはなるべく避けた。これは、「できないことが増えていく」という高齢者の気持ちに寄り添い、楽しくトレーニングを続けてほしいという願いからだ。
「これまで無気力だった方が、モフトレをきっかけに運動を始められた。トレーニングが難しいといわれる認知症の方がモフトレ後にBGMを鼻歌で歌っていた。そんなエピソードを聞くと、本当にうれしくなります」