macOS High Sierraトラブル解決まるわかり!❶|MacFan

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新OSに困らされていませんか? これを読めば悩み無用!

macOS High Sierraトラブル解決まるわかり!❶

文●海老原昭小原裕太栗原亮小平淳一氷川りそな編集部イラスト●鈴木みそ

新しいOSにアップグレードすると、不具合や不満がどうしても出てきてしまうもの。特にHigh Sierraでは、ファイルシステムの刷新の影響がいくつか出てきています。ここでは、High Sierraにおけるトラブルシューティングをまとめました。

macOS High Sierra劇場 ハイくんとシエラちゃん2

 

 

【OS動作のトラブル】ハイ・シエラとシエラの違いを知りたいときはどうする?

 

一部の操作で早くなっています!

システムが新しくなり、新しい機能が追加されるたびに、「新しいシステムは新機能のせいで遅くなっているのではないか」という疑念が取り沙汰されます。

ハイ・シエラは、インストールできるハードウェアはひとつ前のシエラと変わっていませんが、内部が最新のハードウェアに最適化されています。特にSSDに最適化された「APFS」や、GPUの能力を引き出せる「メタル2」による3Dグラフィックなどは、同じハードウェアでもより高速な動作が期待できそうです。実際にはどうなのでしょうか。

そこで、同一のハードウェアにシエラとハイ・シエラをインストールして、同じ作業をするのにかかる時間を計測してみました。検証には12インチMacBook(2017)を使用しています。

まず基本となるシステムの起動時間ですが、ファイルの読み込みがあるので、APFSフォーマットの威力が期待できるところです。結果としては10秒以上短縮されました。もともとmacOSはかなり最適化が進んでいて、起動時間が高速になっているのですが、ハイ・シエラではさらに高速になっており、これなら電源をオフにした状態からの復帰もさほどストレスを感じずに済みそうです。長時間移動する場合などは、バッテリを維持するために、スリープではなく電源オフという選択肢もより有効になるでしょう。

次にサファリ上でジャバスクリプト(JavaScript)のベンチマークテスト「スピードメーター(Speedometer)」を実行しました。比較的実際のWEBサイトに近いと言われるベンチマークですが、結果はサファリ 10.1に対して、サファリ11は20%近く性能が向上しています。ジャバスクリプトの処理エンジンなどがサファリ11で最適化されていることが大きいと思われますが、サファリ11はシエラ版とエルキャピタン版も出ているので、これらを使えばハイ・シエラでなくても差は縮まるでしょう。そのほかの検証は左ページで詳細お伝えします。

結論としては、SSD搭載環境であればAPFSの恩恵が大きく、シエラと同等かそれ以上に快適に利用できると言えるでしょう。少なくとも重くなっているということはありません。なお、システムのアップデート直後にスポットライトのインデックス更新処理などで若干遅く感じることはあるかもしれませんが、処理が終われば改善するはずです。

 

OSの起動時間

起動からFinderが表示されてアイコンを選択できるようになるまでの時間を計測(3回の平均)。SierraとHigh Sierraの間で約2秒縮んではいますが、体感的にそこまではっきりとした差は感じられません。ソフトのインストール数などの環境にもよりますが、ほとんどの人はこれまでどおりに使えるでしょう。

 

「Finder」で1GBのファイル50個をコピーする

1GBのファイル50個をアイコンで選択した状態でコピーするのにかかる時間を計測。フォルダ単位でコピーするよりも時間がかかります。ここでは約2倍と、High SierraのAPFS形式とSierraまでのMac OS拡張形式のフォーマットの違いがはっきり表れることになりました。

 

「プレビュー」で1000ページのPDFを開く

A4いっぱいにみっちりテキストが書かれている1000ページのPDFファイル(12.1MB)を開くまでの時間を計測。フォントのレンダリングなども関わってきますが、ほとんど差はありませんでした。写真中心のPDFファイルだと、少しこの差は大きくなるかもしれません。

 

「プレビュー」でRAWファイル15枚を現像する

NEF形式のRAW画像データ(1枚あたり約6MB)を15枚、「プレビュー」で開くのにかかった時間を計測。RAWデータなので一度現像処理がかかるため、通常のJPEGなどより時間がかかります。約0.5秒の差は出ましたが、体感で有意な違いがあるとは言えませんでした。

 

ベンチマークソフト「GeekBench 4」を実行する(CPU-64bit)

ベンチマークソフト「GeekBench 4」CPUの性能を計測しました。計測結果は毎回ばらつきが大きいので、5%程度の差であれば誤差と見ることができます。今回はSierraのほうがやや高い数値が出ましたが、差は誤差の範囲に収まっているので、実質ほとんど差はないと考えていいでしょう(ハードウェアが変わっていないので当然ですが)。