【WWDC2017】HomePod①|MacFan

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【WWDC2017】HomePod①

文●大谷和利写真●Apple.com松村太郎

Apple流の新型AIスピーカはまず「家庭の音楽を変える」から
※12月よりアメリカ、イギリス、オーストラリアで発売開始(日本での発売時期は未定)

モバイルデバイスを革新したiPhoneが電話を装ったようにHomePodはHi-Fiオーディオの皮を被ったAIホームデバイスだ

 

ホームポッドの2つの顔

WWDC 2017のキーノートの最後に公開されたホームポッド(HomePod)は、SiriベースのAI音声応答機能付きHi-Fiスピーカである。アップルは、これまでもiPod、イヤーポッズ(EarPods)、エアポッズ(AirPods)のように、音楽系の自社製品に“Pod”を含める命名を行い、その前に冠された文字や単語が、対象とする市場や用途との関係性を表していた。すなわち、iPodは個人ユーザ向けのデジタル音楽プレーヤ、イヤーポッズはインイヤー型の音楽用ステレオイヤフォン、エアポッズはブルートゥース対応のワイヤレスイヤフォンを意味している。

この命名法に則ったホームポッドは、まさに家庭用のオーディオスピーカということになる。

同社は、2006年にiPod Hi-Fiという名のアンプ内蔵オーディオスピーカを発売したこともあり、この分野の製品をリリースすること自体は珍しくない。しかし、過去のスピーカ製品が単なる音の出口だったのに対し、ホームポッドはそれ自身が1つのコンピュータシステムであるという点が大きく異なっている。

AI対応のスピーカ型デバイスを「スマートスピーカ」と呼ぶが、他の同種製品の倍以上にあたる349ドルという価格設定のホームポッドは「アップル流の高級スマートスピーカ」というべき新製品なのだ。カラーバリエーションはホワイトとスペースグレーの2色が用意されるが、コンパクトとはいえそれなりにボリューム感のあるフォルムゆえ、シンプルな無彩色のカラーは、インテリアの中で主張しすぎないように選択されたものと考えられる。

表向き、アップルはホームポッドの高音質オーディオシステムとしての側面を強調し、キーノート内でも「ホームミュージックを再発明する」という言葉で、それを表した。これは、iPhoneの発表時に「電話を再発明する」というキャッチが使われたことを思い出させる。だが、実際のiPhoneは「携帯電話の皮を被ったインターネットデバイス」であった。これと同じように、ホームポッドも「ホームオーディオの皮を被ったスマートスピーカ」であって、その本当の狙いや価値は、音声応答によって利用できるAIホームデバイスという点にあるといってよい。

現実のアメリカのスマートスピーカ市場では、アマゾンの「エコー(Echo)」シリーズやグーグルの「グーグル・ホーム(Google Home)」が先行しており、特に前者は大きなシェアを握っている。そこでアップルはブランドと技術力を活かして、直接競合しにくい価格設定と製品の性格付けによって、後発ながら独自のポジションを築こうとする戦略に出たといえるのだ。




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