Bはベストスコアを更新した自分へのご褒美に新しいドライバーを買うことにした。前々から欲しいドライバーがあった。それは、雑誌などのテストの評判も上々で、周囲で使っている人も口を揃えて最高のクラブだ、と誉める。
そのドライバーにしたら、自分のゴルフがもっと良くなる予感がしてドキドキした。
ゴルフショップに行った。購入するものは決まっているので、一目散にその前に行って目当てのドライバーを手にした。
「ロフトは、それでよろしいですか?」
店員に聞かれた。よく分からない、と正直に答えると、試打室に案内されて、何本かのドライバーを試打させられた。店員はデータが映し出される画面をのぞき込みながら、何度も一人でうなずいたりしている。
「9.5度のSシャフトがいいですね」
店員は笑顔でBに説明した。Bとしては、9・5度というロフトが良いなぁ、と秘かに思っていたので、嬉しかったし、Sシャフトも上級者みたいで気持ちが良かった。でも、そんな凄いクラブが自分に使えるのか?
急に不安になってしまった。
店員は、Bのスイングを画面に再生して、
「素晴らしいスイングですね」
とおだてた。