Fortress(要塞)
Fortress Golf Clubを知っていますか?
どうやら普通は、FGCと略すらしいが、「普通は」と言っても、ほとんどの人が知らないはずだ。コースガイドには載っていないし、コースへの案内もない所なんて、その存在を信じろと言う方が無理である。
それでも熱心に知り合いを捜してみると、FGCを知っている人に会えるかもしれない。とは言っても、せいぜい噂を聞いたという程度であろうが。
私も実を言えば、そう言うようにFGCを知っている人を捜している人から知っているか、と聞かれ、知らない、と答えたのが、それを耳にした最初だった。
私はゴルフライターという職業なので、他の人よりゴルフに関する噂話には敏感だ。それでも、コースの中には名前だけが先行して、結局、計画が頓挫し、幻になる例や、コースの名前が変わったことで情報が一人歩きしてしまう例は少なくないので、FGCについても同じように考えていた。
ところが、年を重ねる中で、断片的に耳に入るFGCについての噂が気になり出したのである。そして、過去に何回も尋ねられた問いに対して、嘘をつくことで情報を引き出すことに成功した。
ある有名な選手であるAにFGCの存在を聞かれて、知っていますよ、としたり顔で答えたのだ。
後は長年掛けて鍛えてきたインタビューのテクニックで、巧みにFGCのことを聞き出した。それは以下のような内容だった。
▽それは、○県の山の中にある。
▽戦前の財閥が計画し、戦中に途中まで完成し、その後、米国人の有志がそれを引き継いだという歴史があるらしい。
▽所有者は米軍という説と日本の富豪だという説がある。
▽航空写真でもコースを発見できないのは、米軍基地に一部の敷地が食い込んでいるせいだ。上空の飛行許可すら下りない。
▽原則として隣接するホテルのゲストしかプレーできない。
▽プライベートコースだが、メンバー数やその実態は分からない。
何とも中途半端な情報だったが、全く何もなかった訳だから、かなりの前進であった。
私は米軍の施設がある○県という情報からいくつかの候補地を選び出し、周辺の情報を集めた。そして、直接現地に入り、FGCに直接乗り込むことにしたのである。幸運なことに、2番目に目をつけた所にFGCはあった。
舗装された道路から普通の家に入って行くような狭い道路を上がっていくと、森の中にゴルフコースが現れる。両側に林の隙間から見えるコースを見ながら、2キロほど道なりに上り坂を上がると、平屋のクラブハウスと3階建てのホテルが目の前に現れた。
人気のない入口を覗くと、従業員らしい男が出て来た。名刺を出し、取材ではなく、単純にラウンドしたいと、単刀直入に申し出る。男は一度ハウス内に戻り、再び出てきた。『間違いなく断られるだろうな』という予想はあっさりと裏切られた。
Fortress Golf Clubを知っていますか?
どうやら普通は、FGCと略すらしいが、「普通は」と言っても、ほとんどの人が知らないはずだ。コースガイドには載っていないし、コースへの案内もない所なんて、その存在を信じろと言う方が無理である。
それでも熱心に知り合いを捜してみると、FGCを知っている人に会えるかもしれない。とは言っても、せいぜい噂を聞いたという程度であろうが。
私も実を言えば、そう言うようにFGCを知っている人を捜している人から知っているか、と聞かれ、知らない、と答えたのが、それを耳にした最初だった。
私はゴルフライターという職業なので、他の人よりゴルフに関する噂話には敏感だ。それでも、コースの中には名前だけが先行して、結局、計画が頓挫し、幻になる例や、コースの名前が変わったことで情報が一人歩きしてしまう例は少なくないので、FGCについても同じように考えていた。
ところが、年を重ねる中で、断片的に耳に入るFGCについての噂が気になり出したのである。そして、過去に何回も尋ねられた問いに対して、嘘をつくことで情報を引き出すことに成功した。
ある有名な選手であるAにFGCの存在を聞かれて、知っていますよ、としたり顔で答えたのだ。
後は長年掛けて鍛えてきたインタビューのテクニックで、巧みにFGCのことを聞き出した。それは以下のような内容だった。
▽それは、○県の山の中にある。
▽戦前の財閥が計画し、戦中に途中まで完成し、その後、米国人の有志がそれを引き継いだという歴史があるらしい。
▽所有者は米軍という説と日本の富豪だという説がある。
▽航空写真でもコースを発見できないのは、米軍基地に一部の敷地が食い込んでいるせいだ。上空の飛行許可すら下りない。
▽原則として隣接するホテルのゲストしかプレーできない。
▽プライベートコースだが、メンバー数やその実態は分からない。
何とも中途半端な情報だったが、全く何もなかった訳だから、かなりの前進であった。
私は米軍の施設がある○県という情報からいくつかの候補地を選び出し、周辺の情報を集めた。そして、直接現地に入り、FGCに直接乗り込むことにしたのである。幸運なことに、2番目に目をつけた所にFGCはあった。
舗装された道路から普通の家に入って行くような狭い道路を上がっていくと、森の中にゴルフコースが現れる。両側に林の隙間から見えるコースを見ながら、2キロほど道なりに上り坂を上がると、平屋のクラブハウスと3階建てのホテルが目の前に現れた。
人気のない入口を覗くと、従業員らしい男が出て来た。名刺を出し、取材ではなく、単純にラウンドしたいと、単刀直入に申し出る。男は一度ハウス内に戻り、再び出てきた。『間違いなく断られるだろうな』という予想はあっさりと裏切られた。