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ゴルフプラネット 第44巻

【第2回】旅の楽しみ

2016.10.20 | 篠原嗣典

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旅の楽しみ

 

 昨年末からゴルフへの見方が少し変わった。

 

 長年、ゴルフ=レッスンという考え方は、スコア至上主義に直結するものとして軽蔑してきた。レッスンプロを詐欺師のように毛嫌いする傾向があったのも事実だ。ゴルフ雑誌の誌面がレッスンものに占められていることも、ゴルファーの文化度の低さを証明するようで恥ずかしいことだと思っていた。

 

 自分自身が昨年は今まで以上にたくさんのレッスンプロと接したという経験もあったし、何よりもシニアの試合のプロアマで、何人かの尊敬すべきシニアプロと接したことが私を変える一番のきっかけになったと思う。

 

 私は、ゴルフにおけるレッスンというものを外国語の取得と同じだと考えるようになった。

 

 ゴルフは外国への旅を楽しむのと似ている。その国の習慣に従わなければならないし、簡単には行けないという面倒を帳消しにして余るほど、外国への旅行は魅力に溢れている。見たことがない景色、新しい発見、そこでしか体験できない物語がある。だから、やめられない。

 

 慣れてくれば、目的も明確になる。観光を代表として、買い物をしたり、レジャーを楽しんだり…… 語るのには限界がある。外国を旅する体験の面白さは、結局は、個人の数だけ用意されているからだ。その人独自の楽しい時間は、その人にしかわからない。

 

 もっと楽しみたい、と深く求めると……

 

 壁になるのは習慣とかではなく、言語のほうである。その国の言葉を自由に操れれば、旅の自由度は飛躍的に上がり、充実した濃厚な時間を楽しめる。

 

 ゴルフに話を戻すと、ゴルフのスイングというのは、ゴルフという外国の言語だと思うようになったのだ。言語の取得ばかりに夢中になって、その国への旅行がおざなりになってしまうのは、やはり、どうかなぁ? と思ってしまうけれど、旅の楽しみを倍加する、もしくは、旅のレベルを上げるためであれば理解できる。

 

 ボールを思うように操れる瞬間の快感の凄まじさは、今更書くまでもない。ゴルフスイングを研究したり、スコアアップのためのレッスンを受けることで、その瞬間が増えたり、よりレベルの高い瞬間を体験できるのであれば、ゴルフという旅はより楽しく、魅力的になる。

 

 ゴルフのDVDの推薦をしたりしているのも、心変わりしたことが影響している。

 

 スイング理論は単語を覚えるようなもので、スコアアップのためのレッスンは文法という感じだろうか。試験ではなく、実生活で使われる言語は非常に柔軟性が高い。相手の意図を理解し、こちらの意図を伝えれば成り立つのだから、たった1つの単語だけでも十分なケースもあれば、完璧な例文のようなセンテンスを披露しても通じないこともある。

 

 単語をたくさん知っていても、使い方を知らなければ上手くいかない。文法が完璧でも、書くのではなく口頭で伝える際には邪魔になることもある。

 

 要は、伝えたい、受け取りたいという心掛けが基本なのだ。そういう基本を無視して、言語の勉強をしても効果がでないのだ。

 

 レッスンを受けても、全く身につかない人はたくさんいる。レッスンの内容が悪い例もあるだろうが、受ける側にも問題はある。

 

 言語のレッスンでも、受けただけで急に会話が出来るようになるような魔法のレッスンは存在しない。本人の努力があって、レッスンは活かされるのだ。ゴルフでも同じである。

 

 ゴルフのレッスンというのは難しい。単語が足りないのか、文法や使い方がわかっていないのか。それがわからずにがむしゃらに突き進んでも意味はない。まずは、自分をよく知ることである。

 

 Golf Planetが出来るゴルフの楽しみ方を紹介する1つとして、背を向けていたレッスンものについて、推薦したり、解説したりという部分を今年は強化するつもりである。

 

 旅は道連れ世は情け。ゴルフという旅をより面白く、一緒に楽しみたいのである。

(2010年1月15日)

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