まえがき
2010年に書かれたものをまとめたのが44巻です。
個人的に『4』という数字が好きで、ラッキーナンバーだと考えているので、4が二つ並ぶ44巻は深い思い入れがあります。
4は不吉な数字だと嫌う人もいます。だからというわけではありませんが、怪談っぽい話が2回に渡って出てきます。同じ体験を通して、違う捉え方をして書いています。あまり例がないので、楽しんでもらえれば幸いです。
2010年は、タイガーがスキャンダルから立ち直るかを問われた年でした。結果として、4年間、タイガーはメジャーのタイトルとは無縁のままです。
ゴルフ業界は、この4年間、大きな変化がなかったとよく言われます。その分、あまり昔の話には感じないと思います。
熟成している文化の場合は、変わらないことに価値があることもあります。
ゴルフは色々な楽しみ方があります。読むことでも楽しめるのはゴルファーにとって幸運です。
44巻も続くのは、ゴルフの面白さが底なしである証明です。少しでも分かち合えるようになることを願っています。
(2014年5月)
虎視眈々
初打ちに行ったゴルフ場から年末に色々なものが送られてきたが、その中に新春福引きの券が入っていた。4日に初打ちにいった際に、くじを引いた。
私は特賞で、3月一杯の特別な割引会員の資格を得た。父は1等賞でキャディーバッグ、弟は2等賞でキャップ……
当たりくじばかりなのか? と思ったが、その後7、8人のくじ引きを横目で見ていたが、良くても3等賞のボールであとはハズレだった。私たちは親子は幸運だったのだと自覚した。
くじは狙い澄ましてというわけにはいかないけれど、ゴルフのショットも冷静に考えてみればくじ引きと同じベクトル上にあるものであり、この勢いを落とさずに突っ走りたいと思う。
虎視眈々というほど、ゴルフにおいて野望はないけれど……今年は自分の中でチャンピオンになりたいと秘かに思っている。
曖昧なようだが、ちゃんとクリア条件を決めている。1つは、昨年から通っているコースで目標スコアをクリアすること。まあ、これは卒業試験のようなもので、資格だと考えている。
1つは、アイアンを買い替えること。チャンピオンには相応しい武器があると思うので……
1つは、昨年から取り組んでいる自分のゴルフの総点検を全て不安がない段階まで進めること。急速に良くなってきているので、これが一番早く達成できるような気がしている。
1つは、参加するコンペで出来る限りベストグロスを取り続けること。昨年は負け越しているので、最低限でも勝ち越し、出来れば連勝記録と貸し切りクラスのコンペでのベスグロを取りたい。
小さな目標を1つ1つクリアして、大きな野望に近づくのである。モチベーションを高い状態で維持するとういうことも、かなり意識しているのが、ある意味で大人の目標である。
漠然とした不安がある。突如、もうゴルフはイイや、と自分がクラブを置く瞬間が来るという不安だ。寓話の北風と太陽ではないが、苦しさから逃れるためにやめることはないと思うが、ポカポカとした暖かさでコートを脱ぐような終わり方が怖いのだ。