まえがき
41巻は2010年に書かれたものをまとめたものです。
喜怒哀楽をテーマにした41巻は、フリートーク的な色合いが濃くなっていて、色々な話が出てきます。
この年にアイアンを変更したので、クラブの話が出てきたり、スキャンダルで謹慎していたタイガーの話も出てきたり、ある意味で盛り沢山です。
ブログ『ゴルフ惑星』を平日に1日3回更新していた関係で、ブログの話も出てきます。2010年は、ゴルフ関連のブログが急激に増えた年でもありました。色々な実験をしていたのですけど、現在に繋がっていく部分もあります。
タイガーは復活しましたが、ピリッとしない状態でした。この年からメジャーに勝っていないのですから、気が付けばずいぶんと長いですね。2010年は、メジャーの開催コースがタイガーの得意なコースばかりだったので、全てのメジャーを勝つことに期待が集まっていました。それが、予期しないトラブルで、さんざんな結果だったのです。
タイガーがこのままメジャーに勝てなかったら、この年はターニングポイントとして考えるようになると思います。
ゴルフな気分を盛り上げるのも、読むゴルフの目的です。
色々な面からゴルフのことを考える機会になれば幸いです。
(2014年5月)
スポンジ
ある先輩が面白いことを言っていた。
「孫にドラえもんを見せたくないんだ」
ドラえもんの主人公ののび太は、現代の日本人の若者の駄目な象徴だからだというのだ。のび太は、サボろうとして、ズルをしようとして、楽をしようとして、嘘を隠そうとして、窮地に追い込まれる。それが物語のスタートなのだから仕方が無いとも言えるのだが……
結局、ドラえもんに甘えて、助けてもらって、ハッピーエンドという展開が、先輩には許せないという。
先輩は指導的な立場にある人なので、常にあらゆる世代と指導者として接している。そして、思うのだという。ドラえもんを見て育った世代には、たくさんののび太がいて、楽ばかりしようとして、それが自分のためにならないことの自覚がないのだと。
のび太でも良いんだけど、ドラえもんがいないから、ハッピーエンドにはならない。悪いことは悪い。悪い行いには罰がある。そういう基本的なことを学ぶ前にドラえもんを見た日本人には未来がないと言う。
私は、戦隊モノと言われる多人数のヒーローが1人の悪者をやっつける番組がイジメを広げた一因だと思っている。私の世代はイジメがかっこ悪いというイメージがあった。仮面ライダーは、たくさんのショッカーと怪人と1人で戦ったからヒーローなのだ。大勢で戦うのは弱いものイジメに過ぎない。闘いは孤独であって良いのだ。
それとはちょっと違うけど、子供の心は何でもかんでも吸収する。ドラえもんがいないことは理解できても、のび太の行為を否定するというところまでの道徳は持たないまま大人になることは想像できる。
残念なことに、先輩の孫は立派にドラえもんファンになっており、とき既に遅し、と言う感じらしい。
先輩の息子、つまり、孫の父親から、今年から子供にゴルフを指導してもらえないかという相談を受けた。私はこの手の話を一切断っている。昨年、身内である甥っ子がゴルフをやめたことで、身内すら夢中にゴルフをするように指導できなかった私には資格がないと考えているからだ。
厳しいことから逃げるのび太と甥っ子の残像が重なる……
子供はスポンジのようだという話になった。先輩は、実はその話は深い話なのだと言う。
スポンジは、水を吸うが同時に汚れも留める。実際には、水を吸う能力より、汚れを自らに留める能力を買われて使用されているのが現実だ。水は飽和したら絞れば、改めて吸うようになるが、汚れはドンドン溜まる。