【第1回】関ヶ原の戦い -前篇- (1600) | マイナビブックス

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歴史1コマ事件簿: Part.2

【第1回】関ヶ原の戦い -前篇- (1600)

2016.09.30 | みかゆめきよみ

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慶長5(1600)年9月15日に起こった関ヶ原の戦い。
歴史通でなくても、誰もが知っていると思われる戦いだ。

しかし、歴史上重要な戦いであった関ケ原の戦いはたったの半日で終わってしまった。
日の本を二分する大事な戦いがたった半日で決着がついてしまうとは!

というのも関ヶ原の戦いは多分に漏れず、本戦に至るまでの経緯が長いのだ。
というわけで、関ヶ原の戦いを3回に分けて追っていこう。
 

■関ヶ原に至る経緯
 

【家康VS三成】

関ヶ原の戦いとは、ざっくり言うと徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍が美濃国(現在の岐阜県)関ヶ原で激突した天下分け目の一大決戦だ。

西軍の総大将は毛利輝元であったが、輝元自身は関ケ原に参陣しておらず、当日現場で指揮をした総大将は実質石田三成であった。

さて、徳川家康と石田三成、この二人はなぜ戦ったのか?
そしておのおのの武将がどのようにして東軍、西軍に分かれたのか、時は慶長3(1598)年に遡る。
 

【秀吉死去】

天下統一を果たした豊臣秀吉は死に際し、まだ幼い息子・秀頼が成人するまで豊臣政権の運営を「五大老」と「五奉行」にまかせた。

五大老は徳川家康、前田利家、毛利輝元、宇喜多秀家、上杉景勝。
豊臣家に次ぐ有力大名5家で構成された、今でいう政治家である。

五奉行は浅野長政、石田三成、増田長盛、長束正家、前田玄以ら秀吉の子飼いが任命された。
豊臣家の中で実務を行う機関で、今でいう官僚である。

五大老は五奉行の上に置かれ、両者は合議制により政権を運営することが取り決められた。

秀吉の死後、この政治体制がうまく回る…はずがなく、次第に溝ができ始めるのだ。
 

【文治派VS武断派】

秀吉存命のころから、豊臣家の中では二つの派閥が争っていた。
一つは石田三成を中心とする「文治(ぶんち)派」、もう一方が加藤清正ら「武断(ぶだん)派」である。

読んで字のごとく、文治派は主に机仕事がメインで武断派は軍事仕事がメイン。
天下統一を果たす前は武断派が重宝されたが、いくさがなくなり政治運営体制に入ってからはその座を文治派に譲っていた。

そのため五奉行に選ばれた人材は文治派の者が多く、武断派は不満を抱えていた。
ただでさえ秀吉存命中に死にもの狂いで武働きをしたというのに(政治的な情勢を踏まえて…)、疲弊して帰還しても恩賞が正当に与えられず、しかも日本でのうのうとしていた文治派に政治の中心を取って代わられてしまうとは!

怒りの矛先は五奉行の中心的人物である石田三成に向けられた。
豊臣家がまとまっていかねばならないとき、その内部は荒れ放題だったのだ。
 

【家康の専横 】

慶長4(1599)年正月、秀吉の遺命により、豊臣秀頼が母・淀殿とともに伏見城から大坂城へと移った。
秀頼の後見役である前田利家も大坂城に入るが、このとき利家は病に伏していた。

家康はこの状況を好機とみて、みずからの勢力を拡大すべく豊臣政権内で好き放題しはじめた。

まずは勝手に行うことを禁止されていた大名間や家臣の姻戚(結婚)の斡旋を行った。
当時、他家と姻戚を結ぶということは軍事同盟と結ぶと同じようなもの。
家康は姻戚により他家との連携を強化していった。

さらに家康は知行(領地)の分配についても独断で行った。
「これではまるで徳川政権ではないか!?」
石田三成はじめ五奉行は家康を徹底的に非難した。
しかし、三成を嫌う武断派は、次々と家康へ接近していった。

石田三成ら五奉行と家康を除く四大老は協議し、
「これらの行為に弁明できなければ五大老から除名する」
として、家康のもとに問罪使を派遣するが、逆に恫喝されて追い返された。
のち和解するも、これにより、家康と三成らの対立は激化した。

またこのころ、家康が利家の見舞いで大坂に訪れた際、実行はされなかったが、三成は家康襲撃を謀っていたといわれている。
 

【石田三成襲撃】

家康と双璧をなす五大老の一人である前田利家は、文治派と武断派の仲を取り持ち、家康の行動にも牽制する立場であった。
しかし、慶長4(1599)年閏3月3日、その前田利家が病没してしまう。
すると事態は一変、それまで利家によって抑えられていた武断派、加藤清正、福島正則、藤堂高虎、黒田長政、浅野幸長、細川忠興、脇坂安治の七将が暴発。
大坂の前田屋敷に滞在していた石田三成を襲撃する事件が勃発した。
 

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