【第1回】Ⅰ | マイナビブックス

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シンパイとハッピー

【第1回】Ⅰ

2016.07.29 | 廣林尚易

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彼らは一対の小さな手ぶくろだ。左手と右手、中にふわふわの白い綿がいっぱい詰まっている。

若いお母さんが手ぶくろを縫う時、手を針で刺してしまい、血が一滴手ぶくろに落ちた。彼女は少し考えて、赤い糸を取り出し、その上に二粒のさくらんぼを刺繍した。そしてまた少し考えて、別の手ぶくろには小さい葉っぱを二枚付けた。

重ねておいてある二つの手ぶくろ。目がいい人はすぐ気づくかもしれない。さくらんぼが付いた手ぶくろは少し小さく、葉っぱがあるほうは、ちょっとでぶっちょで丈夫な感じだ。

二つの手ぶくろが最初に見たのは互いで、すぐ仲良くなった。葉っぱが付いた彼は少し心配性で、悩みが多いから「シンパイ」。彼と一緒にいるといつも楽しいから、さくらんぼの彼女は、「ハッピー」という名前になった。
 

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