高木謙一郎
マーベラスAQL所属の爆乳プロデューサー。2011年に世の中の男たちの夢を3DS画面からにゅうにゅうと飛び出させたエラいひと。代表作は『閃乱カグラ』シリーズ(3DS、PS Vitaなど)、『勇者30』シリーズ(PSP、Xbox360)、『一騎当千』シリーズ(PS2、PSP)など多数。
取材日:2011年12月26日
取材場所:マーベラスAQL会議室
1.「胸とは何だ!」と常に考えつつ
酒缶 1回目(※1)ということで、2011年にボクが一番注目した(※2)『閃乱カグラ』(※3)の高木さんに登場していただきました。
高木 光栄です。
酒缶 「にゅうにゅう」って、いつ頃から名乗り始めたんですか?
高木 あれは確か2、3回目のにゅうにゅうブログ(※4)の更新のときからで、普段は「こんにちは、高木です」みたいな感じで書き始めていたんですけど、その夜は疲れていて「ブログを更新しなきゃ」と思って半ばヤケクソで「やぁ、にゅうにゅうだよ」と書いたのが始まりです。
酒缶 ブログの名前を付けた時は、まだ、“にゅうにゅう”じゃなかったんですね?
高木 特に考えてなかったんですけど、その日の気分でやったらなんかいい感じで反応があったので「じゃあ、それで行こうか」みたいな感じで。
酒缶 元々、爆乳プロデューサーではあったけど、“にゅうにゅう”に関しては『閃乱カグラ』からなんですね。
高木 『一騎当千』(※5)は版権モノの中ではそんなに縛りがあったわけではないけど、コンテンツ自体を出していこうと思っていて、『カグラ』はオリジナルということで色々とタガを外しました。
酒缶 “にゅうにゅう”と名乗っていたので女性を見るときは胸から入るのかな?とか気になったんですけど……。
高木 (笑)まぁ、見ますよね。顔か胸かだと、胸をとりあえず見てから顔に行きますね。
酒缶 なるほど(笑)。今回、『カグラ』の中で、更衣室で3DS本体を傾けるとキャラを下から見れるじゃないですか? こういうことは普段から考えられているんですか?
高木 やっぱり、「ヤリタイ」と思うことをシンプルにしたいと思っているので、「スカートの中を覗きたいよね」というのをシンプルにやっただけなんです。ただ単純にキャラクターのモデルを回転させて見えるというのは詰まらないので……実際にスカートを覗くときは下から覗き見る感じで見るじゃないですか?
酒缶 (笑)いや、見たことないので……。確かこのギミックは途中で発生しますよね。
高木 最初からはできないです。クリアしてからですね。
酒缶 このギミックが有効になった時、「バカだな」と思ったんです。あと、陰乱でクリアした時に「脱」マークが付きますけど、どういう発想だったんですか?
高木 まぁ、本来は陽の属性の方が正当クリアルートで、陰というのはサブのハードモードのような考え方でやっていて、シンプルに何かをプレイしたら何か結果が残る、「クリアしました」というマークが付くだけでもいいんですけど、折角陰は脱いでいるので「脱いでクリアしたよ」という……。
酒缶 脱がしてやった人に羞恥心を与えるために脱と入れたのかな?と勝手に深読みしていたんですけど。
高木 普通に考えたら「陰」と付ければいいんですけど、あえて脱いでクリアした証拠が残るとちょっと恥ずかしい。
酒缶 (笑)この「脱」マーク、一度付いたら取れないですよね?
高木 でも、自分が通った道なので、自信を持って証を残してほしいですね。
酒缶 爆乳プロデューサーという名前はいつぐらいから名乗り始めたんですか?
高木 2006年、PS2の『一騎当千』(※6)というゲームのプロデュースをした時からですね。
酒缶 爆乳プロデューサーは、どんなお仕事をされているんですか?
高木 日々「胸とは何だ!」と常に考えつつですね……普通のゲームデザインもします。
酒缶 パブリッシャーのプロデューサーというのはゲームで遊んでいる人からすると一番わかりにくいじゃないですか。メディアに出てくるプロデューサーというとタイトルを露出することや内容を伝えることに力を入れている人が多いので、爆乳プロデューサーの高木さんがどのようなお仕事をされているか気になったんですよ。
高木 プロデューサーの中にもいろんなスタイルがあると思うんですけど、実際、ゲームを作る部分もやりつつ「爆乳ゲームの顔になれればいいな」と思って、なるべく表に露出するようにして、なるべく変なことを言うようにして、皆さんの印象に残してもらって……。
酒缶 でも、ご自身の発言を変だと思ってないですよね?
高木 そうですね(笑)。変ではないですね。
酒缶 変ではないですよね。変と思われるかもしれないけど、マジメに発言されていますよね。
高木 マジメに考えた結果、ああいう風になっているんですけど(笑)。
酒缶 そういう意味では、高木さんはプロモーションをしっかりやりつつ今回は原作という形で入っていますから、ガッツリと開発に関わっているイメージが強いですよね。
高木 僕は最初の企画書からベースのゲームデザインと最後の調整まで相当口を出す方だと思っています。それというのも、ゲーム業界にプランナーとして入ってディレクターをやっている中で、メーカーやプロデューサーの意向のせいで思っていたものが作れなかったり世の中に出せなくなってしまったりしたことがいっぱいあったので、それは嫌なんです。だったら、自分がプロデューサーをやって責任を持つから、僕がやりたいことをやらせる環境を作りたいという思いで、今、メーカーでプロデューサーをやりつつ、「おっぱいおっぱい」と言っているんです。僕がシンプルにやりたかったことの一つであります。
酒缶 『カグラ』以前の作品だと、『一騎当千』の1作目は3Dアクションで2作目と3作目(※7)はベルトスクロールですけど、1作目と2作目の間に何か変わった部分があるんですか?
高木 やっぱり『一騎当千』の1作目をやっていた時代は3Dアクションが売れる、というか、良いとされていた時代で、それこそ草の揺れがどうだ、とか、水の波紋がどうだ、とか、どうでもいいところが話題になりがちな時代だったので、そういう方向でやっていたんですけど、ただ、僕としては元々ファミコンとか2Dのゲームで育って、「やっぱりこっちの方が面白い!」と思っていたんですよね。昔ながらのスタイルを今風にアレンジしてやったら面白いんじゃないかとずっと思っていたので『一騎当千』の2作目から変えました。
酒缶 ハードも変わっていますよね。
高木 ハードも変わって、美少女モノをよりうまく表現するには3Dよりも2Dの方がいいんじゃないか、といろいろ考えた結果、一気に逆行した感じになりました。
酒缶 なるほど。PSPの『一騎当千』はキャラが結構デカくて画面にガーンとデカく出る2Dのベルトスクロールで、『カグラ』は3Dになって、表現もだいぶ変わりましたけど、やっぱり3DSというハードが影響してますか?
高木 そうですね。スペックが上がったので、3Dでも可愛い女の子を作っていけるだろうという目論見のもとで始めて、立体視を利用することを最初から考えていたので、3Dにしないといけないから3Dに変えました。
酒缶 『一騎当千』の2Dでもカットインがありましたけど、3Dになるとカットインのイメージがだいぶ違うじゃないですか。全身が出て……3Dはいろんな力を持っていますね。
高木 なんだかんだいって、3Dがいいな、と思う部分はありますね。
酒缶 通常、アニメ版権モノだと、3Dにするとデザインが変わってしまって難しいところがありますけど、今回はキャラの扱いは自由なので3Dから2Dへのフィードバックができますよね。
高木 アニメのゲームを3D化しようと思った時に、スペック上、綺麗に見せられなかったりうまく表現できなかったりすることが多いんですけど、『カグラ』に関しては「無理ならそのリボンを取っちゃおう」とか「髪の毛が長いんだったらちょっと短くしよう」とか3Dで表現できるギリギリのところでキャラクターデザインを変えていけるので、そこはやりやすかったですね。大変だった部分でもあるんですけど。
酒缶 でも、自分が原作だからこそ、ぐちゃぐちゃにもできるし、道を正しくもできる、ということはありますよね。
高木 そこが楽しかったですよね。