【第3回】須田剛一 ―(3) | マイナビブックス

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ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション4

【第3回】須田剛一 ―(3)

2016.08.12 | 酒缶

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3.ミズグチックにしないとダメだよ

 

酒缶 「解放少女」を作るにあたって、影響を受けたゲームって何かありますか?

須田 ロックオンシューティングなので、レイシリーズ(※1)……『レイフォース』(※2)、『レイストーム』(※3)、『レイクライシス』(※4)ですね。

※1 レイシリーズ
タイトーがアーケード向けに発売した縦スクロールシューティングゲームのシリーズ。照準で敵をロックオンしてロックオンレーザーでまとめて倒すのが特徴。

※2 『レイフォース』
1994年にタイトーがアーケード向けに発売した縦スクロールシューティングゲーム。1995年には『レイヤーセクション』の名称でセガサターン版が発売され、2007年にプレイステーション2向けに発売された『タイトーメモリーズ2 上巻』にも収録されている。

※3 『レイストーム』
1996年にタイトーがアーケード向けに発売した縦スクロールシューティングゲーム。1997年にはプレイステーションとセガサターンに移植され、2005年にプレイステーション2向けに発売された『タイトーメモリーズ 下巻』にも収録され、2010年にはHD化されてプレイステーション3とXbox360のダウンロードタイトルとして発売されている。
『レイストームHD』(プレイステーション3)
http://dlgames.square-enix.com/jp/ps3_dl/2010/raystormhd/
『レイストームHD』(Xbox360)
http://dlgames.square-enix.com/jp/xboxlivearcade/2010/raystormhd/

※4 『レイクライシス』
1998年にタイトーがアーケード向けに発売した縦スクロールシューティングゲーム。2000年にプレイステーション向けに移植されている。

須田 実は、「解放少女」の自機である解放機のモデリングは、レイシリーズの岩田篤さんにお願いしました。レイシリーズは好きですし、実際開発現場ではシューターがバリバリに作っているので、そこのリスペクトは存分にあります。

 

 

須田 あと、エフェクト周りはミズグチックにしたかったんです。水口さん(※5)のゲームみたいに。

※5 水口さん
『セガラリー』『スペースチャンネル5』『Rez』などを手掛けた水口哲也氏のこと。かつては、セガ・エンタープライゼスやキューエンターテインメントに所属していて、2013年9月現在は、慶応義塾大学院メディアデザイン研究科特任教授。

酒缶 「ミズグチック」という言葉があるんですか?

須田 はい。僕が勝手に作りました(笑)。

 

 

須田 スタッフに説明する時に、「もうちょっとミズグチックにしないとダメだよ」と。ロックオンの気持ちよさは水口さんのお家芸でもありますし、レイシリーズもすごい気持ちいいじゃないですか。あの爽快感は一つの開発の基準点にしてますね。

酒缶 なるほど。自分が好きなモノがそのまま作品に投影されているんですね。

須田 そうですね。

 

(C)2012 LEVEL-5 Inc. (C)2012 GRASSHOPPER MANUFACTURE INC.

 

須田 あと、ドラマチックシューティングというところで言うと、日野さんと打合せをした際に「こんな風にうまく演出が融合したシューティングにしたいですね!」と一緒に見たゲームがありまして……。

酒缶 何のゲームですか?

須田 PCエンジンの『スプリガン mark2』(※6)です。

※6 『スプリガン mark2』
正式名称は『スプリガンmark2 Re-Terraform Project』。1992年にナグザットがPCエンジン向けに発売した横スクロールシューティングゲーム。

須田 横スクロールのシューティングゲームで、途中途中にカットインでドラマが入ってくるんですよ。バリバリな戦争チックなもので、「Zガンダム」っぽい設定なんです。「解放少女」にもドラマチックな感じで戦闘中に無線が入ってきたり、仲間が死んだり、他の仲間の機体も一緒に戦ったり、という構想がありました。『GUILD01』の4つの中の一つということで、ボリューム面で削いだ部分はあるんですけど、Twitter情報が入ったり、雲母(※7)からの情報が入ったり、というところは、『スプリガンmark2』がモチーフになっていますね。

※7 雲母
「解放少女」の登場人物、雲母才蔵のこと。第2代新日本国大統領・大空翔子の第一秘書。かつては翔子の父・翼一郎にも仕えていた。戦闘時には母艦で翔子の作戦司令官を務めていて、重要なことを教えてくれる。

酒缶 「解放少女」では、画面にTwitter情報が出てきて、重要な情報の時は画面を一度止めていますけど、進行を止めずにリアルタイムに情報が入ってくるようにしたかったんじゃないですか?

須田 そうなんですよ。

酒缶 遊びやすさを優先したんですか?

須田 遊びやすさもそうですし、大事な情報を見逃してしまうと、ゲームの進行に影響があるので……、そこは本当は流したかったですね。まぁ、音が鳴っているので……、でも、そこは親切すぎましたかね。

 

 

酒缶 ボクはゲームが下手なので、止まってくれると丁度いいんですけど、一方で、演出として見ると止まらずに流した方が綺麗に見えるところもあるように思っていました。

須田 そうなんですよ。僕はやっぱりうっとうしいんですよ。止めてほしくないんですよ。ガンガン流れて欲しいんですよ。

酒缶 なるほど。わかりました。ボクは「解放少女」で遊んでいて、『バンゲリングベイ』(※8)に似ていると思ったんですよ。

※8 『バンゲリングベイ』
1985年にハドソン(現:コナミデジタルエンタテインメント)がファミリーコンピュータ向けに発売したトップビュータイプのシューティングゲーム。元はアメリカのブローダーバンド社がパソコン向けに発売したゲームで、ファミリーコンピュータ版はその移植作品。プレイヤーが操作するヘリコプターは画面の360度を好きな方向に進むことができ、マップ内の工場を全て爆弾で爆破するとステージクリアとなる。

酒缶 『バンゲリングベイ』を3Dにすると「解放少女」になるんじゃないかな、と想像したんです。「解放少女」でクサビをロックオンしてやっつけていくところが『バンゲリングベイ』の工場を爆撃していくところと感覚が近く、アラートで敵が増えていってミサイルを撃ち落としていくところとか、ニュアンスが近いかな?と思ったんです。

 

(C)2012 LEVEL-5 Inc. (C)2012 GRASSHOPPER MANUFACTURE INC.

 

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