3.ミズグチックにしないとダメだよ
酒缶 「解放少女」を作るにあたって、影響を受けたゲームって何かありますか?
須田 ロックオンシューティングなので、レイシリーズ(※1)……『レイフォース』(※2)、『レイストーム』(※3)、『レイクライシス』(※4)ですね。
須田 実は、「解放少女」の自機である解放機のモデリングは、レイシリーズの岩田篤さんにお願いしました。レイシリーズは好きですし、実際開発現場ではシューターがバリバリに作っているので、そこのリスペクトは存分にあります。
須田 あと、エフェクト周りはミズグチックにしたかったんです。水口さん(※5)のゲームみたいに。
酒缶 「ミズグチック」という言葉があるんですか?
須田 はい。僕が勝手に作りました(笑)。
須田 スタッフに説明する時に、「もうちょっとミズグチックにしないとダメだよ」と。ロックオンの気持ちよさは水口さんのお家芸でもありますし、レイシリーズもすごい気持ちいいじゃないですか。あの爽快感は一つの開発の基準点にしてますね。
酒缶 なるほど。自分が好きなモノがそのまま作品に投影されているんですね。
須田 そうですね。
須田 あと、ドラマチックシューティングというところで言うと、日野さんと打合せをした際に「こんな風にうまく演出が融合したシューティングにしたいですね!」と一緒に見たゲームがありまして……。
酒缶 何のゲームですか?
須田 PCエンジンの『スプリガン mark2』(※6)です。
須田 横スクロールのシューティングゲームで、途中途中にカットインでドラマが入ってくるんですよ。バリバリな戦争チックなもので、「Zガンダム」っぽい設定なんです。「解放少女」にもドラマチックな感じで戦闘中に無線が入ってきたり、仲間が死んだり、他の仲間の機体も一緒に戦ったり、という構想がありました。『GUILD01』の4つの中の一つということで、ボリューム面で削いだ部分はあるんですけど、Twitter情報が入ったり、雲母(※7)からの情報が入ったり、というところは、『スプリガンmark2』がモチーフになっていますね。
酒缶 「解放少女」では、画面にTwitter情報が出てきて、重要な情報の時は画面を一度止めていますけど、進行を止めずにリアルタイムに情報が入ってくるようにしたかったんじゃないですか?
須田 そうなんですよ。
酒缶 遊びやすさを優先したんですか?
須田 遊びやすさもそうですし、大事な情報を見逃してしまうと、ゲームの進行に影響があるので……、そこは本当は流したかったですね。まぁ、音が鳴っているので……、でも、そこは親切すぎましたかね。
酒缶 ボクはゲームが下手なので、止まってくれると丁度いいんですけど、一方で、演出として見ると止まらずに流した方が綺麗に見えるところもあるように思っていました。
須田 そうなんですよ。僕はやっぱりうっとうしいんですよ。止めてほしくないんですよ。ガンガン流れて欲しいんですよ。
酒缶 なるほど。わかりました。ボクは「解放少女」で遊んでいて、『バンゲリングベイ』(※8)に似ていると思ったんですよ。
酒缶 『バンゲリングベイ』を3Dにすると「解放少女」になるんじゃないかな、と想像したんです。「解放少女」でクサビをロックオンしてやっつけていくところが『バンゲリングベイ』の工場を爆撃していくところと感覚が近く、アラートで敵が増えていってミサイルを撃ち落としていくところとか、ニュアンスが近いかな?と思ったんです。