須田剛一
グラスホッパー・マニファクチュア 代表取締役/ゲームデザイナー。代表作は『スーパーファイヤープロレスリングIII FINAL BOUT』(SFC)、『killer7』(Wii、PS2)、『ノーモア★ヒーローズ』シリーズ、『ロリポップチェーンソー』(PS3、Xbox360)、『GUILD01』(3DS)など。
取材日:2012年7月31日
取材場所:グラスホッパー・マニファクチュア会議室
1.「ぜひやりたいな」と直感的に思いました
酒缶 今回『GUILD01』(※1)に、「解放少女」(※2)という作品が収録されていますけど、「解放少女」で須田さんは何を担当されたのでしょうか?
須田 正に原案ですね。元々の企画の立ち上げをして、あとはクリエイティブディレクターなので、いわゆるフォーカステスト的な部分とか、チューニング周りとか、その辺を定点チェックするのが主な仕事です。
酒缶 原案は企画の最初の段階のお仕事で、クリエイティブディレクターは開発スタッフが作っているモノを見るお仕事ですか?
須田 はい。プロデューサーとディレクターが別にいて、毎日開発の状況は見えている状況ではあったんですけど、週一でしっかりビルドチェックをみっちりしていました。
酒缶 今回、「解放少女」を作るに至った経緯をお訊きしたいんですけど、まずレベルファイブさんから話があってからのスタートになるのでしょうか?
須田 元々は、日野さん(※3)からGUILDの構想(※4)を最初にお訊きして「何か一緒にやりませんか?」ということだったので、元々あったストックの企画で「これがいいのでは」と出したのが「解放少女」だったんです。
酒缶 以前から、「解放少女」の元となった何かわからないモノが形としてあった上で、GUILDの話があって、そこにハマったという感じですか?
須田 正に、元々ストック企画がありまして、…タイトルは全然違ったんですけど……。
酒缶 最初にGUILDという取り組みを訊いたとき、どのように思いましたか?
須田 日野さんから訊いた時ですよね? 日野さんというカリスマの方がアクティブに動いて立ち上げるというところに人が集まってくるわけで、日野さんのカリスマ性をすごく感じましたし、引力みたいなところに僕自身も吸い寄せられていったというのが、GUILDの印象ですね。面白いことをやりたいとは作っている誰もが思っていて、エグゼクティブプロデューサーである日野さんがこれだけ面白いモノを立ち上げたのであれば、モノを作る人間としては「ぜひやりたいな」と直感的に思いました。
酒缶 その企画を最初訊いた時、他にどういう人がこの話に入っているか、みたいなことは、もう訊いていたんですか?
須田 最初、訊きましたね。稲船さん(※5)がやられるというのは聞いたかな。
須田 『GUILD02』(※6)に入ってますよね。
酒缶 今回、「解放少女」は『GUILD01』の4タイトルの中で、どういったポジションのタイトルと見ていますか?
須田 開発着手はうちが一番早かったと思いますけど、開発終了したのもマスターアップも一番早かったと思うので、他のラインナップを最後の最後まで知らずに作っていました。逆に言うと、「普通では絶対に通らない企画をやりましょう」という日野さんのコンセプトがありましたので、短い期間と低コストで実験を繰り返してやっていくという、正に実験リーグのような場だったものですから、周りが知らない状態でフィニッシュを迎えたような状態です。斎藤さん(※7)、平井さん(※8)、松野さん(※9)がどんなゲームを作っているか訊いたような気もしますが、その時には佳境だったものですから、あまり気にすることも遊ぶこともできないので。
酒缶 他も佳境だったでしょうし…。
須田 だと思いますね。かなり集中して、何をなすべきゲームかというのを、しっかり、軸がブレないように開発をしていった感じですね。
酒缶 「解放少女」は『GUILD01』を起動して、メニューの一番最初に選ばれるポジションにあるタイトルだったので、ボク的にはレベルファイブさんのほうでも、『GUILD01』、というか、GUILDシリーズを象徴する作品として捉えて扱われているんじゃないかと想像していたんですよ。
須田 そういう役割になったのはありがたいですし、最初のオープニングアニメを派手にやることは日野さんと最初から決めていて、ボンズさん(※10)を口説いたりとか、かなり面白い座組みができあがったので、そこはもう、そういうパワーで、GUILDを引っ張る役割じゃないんですけど、ロボットモノで高速移動する主人公がいますので、どちらかというと大空翔子(※11)がGUILDを引っ張るような役割になりましたね。
須田 意識していたわけじゃないんですけど。
酒缶 『GUILD01』の他のタイトルをあまり知らなかったということですけど、単体で完結したモノとしてプロジェクトは動いていたんですか?
須田 そうです。4つの中の一つのモノとして完結する。そぅですね。基本はそこで完結するモノなんですけど、どちらかと言うと、これがシングルカットという言い方を日野さんはしていて、僕らも一緒の感覚なんですけど、シングルカットしているんです。シングルが売れたら次はアルバムをやるじゃないですか。だから、10倍のボリュームになるかどうかは別にして、今度はフルで10曲入っているモノ、「解放少女」が単体でフルアルバムになって巣立てるようにしたいとは、最初から思っていました。
酒缶 はい。
須田 GUILDのIPが巣立って一本立ちするのは、日野さんも望むところだと思うので、そこは意識して作っていましたね。