迷宮へようこそ ~ホロ苦く、滑稽で、奇妙な七つの物語~ 【第15回】八幡の藪知らず(1) 2017.04.24 | 武山博 Tweet mixiチェック 【第6回】八幡の藪知らず(1) その古いビルの一隅をくりぬくようにして小さな地蔵堂があるのに、男はふと気がついた。村の道端によく見かける簡素な巣箱のような祠の中に小地蔵がひっそりと佇んでいる。 風雪に洗われ、顔の凸凹も失せ、何やら記されている縁起もあらかた消えている。誰がしたものやら首に赤い涎かけがかけてあり、唯一、比較的新しい装いになっている。見ると拾う人もない五円、一円の硬貨が三つ四つ足許にころがっている。 続きをご覧いただくには、会員登録の上、ログインが必要です。 すでにマイナビブックスにて会員登録がお済みの方は下記の「ログイン」ボタンからログインページへお進みください。 ≪ 前の記事