【第2回】
2016.11.09 | kou
闇に包まれ錆びれた商店街の片隅でフォークデュオ『反抗』の瀬尾は今日も演奏していた。ギターケースを開き足元に置いたはいいが、誰もお金を入れてはくれない。時代が悪いのか、はたまた彼らの音楽性に問題があるのか、おそらく後者だろう。瀬尾のパートナーを務める三橋君が言うには、「大丈夫だよ。僕らは反抗してるから」と、どこを汲み取っても到底理解できぬ発言をし、瀬尾を困らせた。だから彼自身も、「反抗しようぜ」と力ない言葉で応酬するしかなかった。
「ねえ、三橋ちゃん。人が全くいないのに演奏して意味あるのかな?」