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ゴルフプラネット 第34巻

【第2回】コースを見下ろして

2016.04.13 | 篠原嗣典

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コースを見下ろして

 

 数組のプレーを同時に見なければいけないときがある。

 

 一般的には、余程のもの好きでもない限りそんなシーンはないが、イベントをコースに持ち込んだりしているときには、進行がスムーズか、プレーしているムード、問題のある組や人はいないかなどを確認するために、数組のプレーを同時に見たくなるときがあるのだ。

 

 私は、プレーしたことがあるコースであれば、基本的にはコースの人に聞かず、自分の判断で数ホールが見下ろせる場所に行き、チェックをする。それを見たコースの人は、良くあの場所がわかりましたねと褒めてくれたり、逆にマニアックで気味が悪いと引かれたりもする。

 

 全てのコースで可能なわけではないが、結構多くのコースで、そういう秘密のビューポイントがあるものだ。

 

 プレーしている人が、見下ろしている私に気づくことは少ない。私は密かに観察して、何か言わなければならない場合は、カートでその組のところに走って行き、実行する。見られていると意識しながら悪いことをする人はいない。多くの場合、誰も見ていない、と思う油断が悪いことをさせるのである。

 

 突如現れた私が、少し前からどこからか問題のある行動を見ていたことに驚き、注意された人は素直に反省してくれる。いつ、どこからでも見られていると思ってください、と念を押す。事実そうなのである。

 

 また、プレー後に見ていたことから得た情報を話したりしても、同様に驚かれる。驚かせてからの方が、大概の話はしやすいものなので色々と効果がある。

 

 遠くから見下ろして、他人のプレーを見ることに特別な面白さはない。ある程度の慣れや、経験が必要ではあるが、誰でも必要に迫られればすることである。

 

 私はこの数年で、この能力を飛躍的に向上させた。理由は簡単で、そういう経験をたくさんしたことが大きい。元々、プレー中も遠くの組を見て情報収集する癖はついていたし、風などの条件を読む中で、どのホールが高い位置にあるかということには自然に敏感になっていた。

 

 そして、この数年、私はボールを曲げまくっているので、ボールを確認するためにコースの裏側をたくさん歩いた。そういう体験の中で、ここから何番ホールが見えるのか、とかいう情報も蓄積されたというおまけもある。

 

 転んでもただでは起きないことは、何事でも大切である。ボールを曲げることもマイナスばかりではないと、自分を慰める材料になって嬉しくもある。

 

 コースを見下ろすことに面白さはないと書いたが、勉強になることはある。例えば、コースの幅は角度を変えることでより明確になるので、戦略ルートなどが見えることも多々あるし、遠くから見える他の人の立ち振る舞いをゴルファーとしての自分と照らし合わせて反省したりすることもある。

 

 ゴルフは学べば学ぶほど学ぶことが多くなる、と言う言葉があるが、まさにその通りである。

 

 ゴルフの神様は、最も巧妙に私たちを見ているということを意識してしまう。見られても困らないようにすれば良いだけの話なのだが……

 

 常にそういう意識は忘れないようにしたいと思うのである。

(2008年1月16日)

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