【第1回】まえがき/年の初めに | マイナビブックス

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ゴルフプラネット 第31巻

【第1回】まえがき/年の初めに

2016.02.15 | 篠原嗣典

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まえがき

 

 31巻は2007年に書かれたものをまとめたものです。

 過去のGolf Planetで、2007年が最も技術に関しての記述が多いと熱心な読者から指摘された1年です。

 2007年はたくさんのプロやコーチと技術論を交わしたからです。動画元年と呼ばれている2007年は、スイング論が実際の動画で展開できるのかを問われていました。1年では結論は出ずに、数年間に渡り色々な議論がありました。

 

 技術論が系譜として整理されて、シンプルになっていくのは3年後ですが、読み返してみると、系譜となって理論統合があると考えている話も出てきます。

 数式でロングパットのエネルギーを解明する話などは、後に理系の読者の間で大論争になりました。

 

 今年お亡くなりになった打撃の神様・川上哲治さんの「ボールが止まって見えた」という話から、ゴルファーにはどうしてインパクトの瞬間が見えないのか? という素朴な話が出てきます。

 当時は本当に謎だったのですけど、現在では脳科学の分野でその理由は明確になっています。理由がわかったとしても、その内容は読み返してみて面白いものです。

 

 サブタイトルになっているように、ゴルフ用具と技術にかんして、進化は止まりません。2007年のゴルフを切り取った話を読むと、それがより理解できると思います。

 全てはゴルフを楽しむためのものなのです。

(2013年12月)

 

年の初めに

 

 1年が始まるときに必ずすることがある。キャディーバッグから前年のルールブックを取り出し、新しい年のルールブックを入れることだ。ささやかな儀式ではあるが、気持ちは引き締まる。

 

 ここ数年は、その儀式をしながら新しいクラブについて考えたりするのが常だった。昨年は、ドライバーとウェッジ、もしかしたらパターも変わるかもなぁ、と思っていた。

 

 ドライバーとウェッジとパターと言えば、良いものを求めて貪欲に変更する用具でもあるが、同時に信頼がなければいけない三種の神器でもある。パターに関しては積極的な意味でより良いものを求めていた。でも、それ以外は、不安から来る交換の予感だった。

 

 ドライバーはヘッドは同じものだが、シャフトは交換したし、ヘッドも数ヶ月の間別のものが入っていた。ウェッジはAWにあたる52度のものは、夏過ぎに新しいものになった。パターも同様である。概して予感は当たるものなのである。

 

 今年はそういう意味で全く違っていた。クラブは余程のことがない限り変わらないだろうと思ったのだ。

 

 もちろん、ドライバーについては、異形ヘッドのものを試してみようという気持ちがあるので、確実なことは言えないが、少なくとも現在のドライバーに不満も不安も持っていないというのは心強い。

 

 何とも気持ちが良い年始であった。2日には練習場で初練習をした。実は年末の大晦日の前に時間が取れなくて練習していなかったことで、テクニカルな意味で不安を持ったままのプレーになってしまったのだが、それについても十二分なチェックができて幸せな時間だった。

 

 あとは新しい縁起物マーカーが届けばバッチリなはずなのだが……

 

 気になることが一つだけあった。キャディーバッグの間口が痛み出していることだ。

 

 間口以外が傷んでいるのであれば、私はあまり気にならない。キャディーバッグの機能であるクラブなどの用具を持ち運ぶことに支障がなければ良いからだ。とは言え、間口が傷んでいると、クラブのシャフトが傷つく可能性がある。特にカーボンシャフトは傷に弱いので問題である。

 

 使用しているキャディーバッグの間口は、いわゆる多機能型と言われるもので複雑な形をしていて、これはこれで非常に使いやすく評価していた。残念だが、機能的に優れていても、その分同じ場所にシャフトが当たりやすく、耐久性は悪くなってしまうようだ。

 

 昨年の末から新しいキャディーバッグを物色していた。

 

 私はキャディーバッグについてメーカーやブランドのこだわりはない。こだわっているのは使いやすさだ。使いにくいものは、絶対に使用しない。乗用カートでのセルフプレーが増えた現在において、キャディーバッグに色々なものを入れている私にとって、前面に多くの収納があるもの以外は考えられない。そして、その配置なども、現在のもの以上を求めてしまうのである。

 

『これだ!』というのものがなく、年を越してしまった。

 

 妻のキャディーバッグもインナーが歪んでしまって不安定にしか立たないので、一緒に替えようと話していた。できれば、新しいキャディーバッグで初打ちをしたいと思って、初打ちを躊躇した。

 

 真剣に探していれば、出会いは必ずあるのが、ゴルフの面白いところでもある。先日、知り合いのショップがオリジナルで作っているキャディーバッグを全く関係のない場所で偶然見かけて、思わず無言のまま妻と見つめ合った。『これ良いよね?』とお互いの目が言っていた。

 

 新しいバッグが決まった。頼んで妻のと二人分を送ってもらった。実は、妻とお揃いのバッグにするというのは妻がゴルフを始めてから20年経つが初めてだった。妻はそれを嬉しそうにしていたので、そういうところもあったのか、と少し不思議な気がした。

 

 ところが話はなかなか真っ直ぐに進まない。すぐに到着したバッグは、私が頼んだものと全く違うものだった。連絡して分かったのだが、私たちが見たバッグは型落ち、つまり昨年のモデルで、既に2007年モデルに切り替わっていたために在庫がないことが分かったのである。

 

 新しいモデルは、私と妻が惚れた機能を装備していなかったので、返品させてもらった。

 

 欲しいものは根性で手に入れる。まだ、古いものが置いてあるところを探してもらうことになった。

 

 1年の頭にキャディーバッグを変更するのは過去にも経験があるが、気分が良いものである。それが、経緯は別にしても、苦労して手に入れたものであれば尚更だ。

 

 今年のゴルフライフのスタートは楽しみなことが多いし、色々な意味で本当に幸せである。

(2007年1月11日)

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