【第3回】③ | マイナビブックス

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二人はほぼ同時に感想を並べたて、屈託もなく笑いあう。異常なくらいに。すかさずフィッシュは掃除をはじめる。フタバは作業をずっと見ている。やがて、舞台にオタキバシがあらわれる。オタキバシは軽く二人に会釈する。フタバとフィッシュはオタキバシに満面の笑みを向ける。

 

オタキバシ  あの、

フタバ    笑顔で返さなきゃだめでしょう!

オタキバシ  え?

フタバ    ほら。

 

フタバはオタキバシに再び満面の笑みをぶつける。オタキバシは狼狽しつつ、笑みを返す。

 

フタバ    ふふふ。今、フィッシュは集中してるから邪魔しないでね。

オタキバシ  フィッシュ?

フタバ    アダ名よ。

オタキバシ  彼の本名は?

フタバ    教えてあげない。

オタキバシ  そう。団長さんいらっしゃるかしら?

フタバ    なんか知らない人とあってる。あなたも知らないけど。

オタキバシ  あ、ごめんなさい。私は、医学研究をしております。オタキバシです。

フタバ    学者さん?

オタキバシ  ええ。

フタバ    偉いんだ。

オタキバシ  偉くはないわ。お昼のショー、拝見させてもらったわ。見事なマジックだった。人体切断マジックも、あそこまでリアルに表現されると、まさか、とは思うわね。

フタバ    そうね。

オタキバシ  私は鈴木博士に会いに来たの。

フタバ    !

フィッシュ  入団希望なんでしょう。どんな芸ができるの?

オタキバシ  え?

フタバ    フィッシュ、掃除は?

フィッシュ  終わったよ。ピッカピカだもん。ねえ、このサーカス団は厳しいよ。だって僕だってここに来て3年もマジックやってるのにずっと下っ端なんだ。でもガイキチさんが言ってたよ。おまえは新しく誰かが加わってもずっと下っ端だ。だから給料もやらないし、一日27時間働かせるって。チンペイもカンタも後輩なのに先輩なんだ。僕が眠っていると寝顔が幸せそうでムカつくから蹴りたくなるって言って僕を気にしてくれてる。だからオタキバシ、君も僕の後輩になるんだよ。でも明日からは僕の先輩になって僕を蹴るんだろうなー。

フタバ    フィッシュ、掃除が済んだならあっち行ってて。

フィッシュ  なんで?僕だってオタキバシの先輩なんだから、洗礼を受けさせなきゃ!

フタバ    この人は入団希望じゃないんだって。

フィッシュ  違うよう、だって僕が入団希望だって言ったもん。フタバだってガイキチさんのところに行かなきゃでしょう。

オタキバシ  フタバ?

フィッシュ  ガイキチさんにちんちんかもかもするんだ。いいなぁガイキチさん。ねえ、(オタキバシに)フタバはガイキチさんやチンペイ、カンタのちんちんをかもかもしてくれるんだ。すごく気持ちいいんだよ。でも団長はしてもらわないんだ。兄妹だからだって、団長ってかわってるよね。

オタキバシ  兄妹?

フタバ    フィッシュ、うるさくしないで。

フィッシュ  えー、僕だってかもかもしたいー、ねえ、フタバー、かもかもして、かもかもしてよー。

フタバ    あとで、あとでするから、ね。

フィッシュ  本当?やったー、ちんちんかもかも、ちんちんかもかも!オタキバシもしようよ!とっても気持ちいいんだ!(踊りながらオタキバシに飛びつく。)

オタキバシ  うるせえな!あたしは大事な話があるんだよ!ちんちんちんちんやかましい!大体、ちんちんかもかもって男女が仲睦まじくする、って意味だろうが、吐き違えてんじゃねえぞクソが!

フィッシュ  あ、いいね、オタキバシ、そんな感じ。

オタキバシ  は!ごめんなさい。

フタバ    もういいでしょ、フィッシュ。

フィッシュ  うん。じゃあね、オタキバシ、フタバ、あとでかもかもだからね。

フタバ    うん、かもかも。

 

フィッシュははけていく。

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