【第3回】■アミーゴ | マイナビブックス

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疲労し、フラフラと荷物の箱を持ち、店に入ってくる宅配人のサカシマ。

 

サカシマ 「届け物をお持ちしました」

一同   「…」

サカシマ 「届け物をお持ちしました」

一同   「…」

サカシマ 「何か変ですか?」

マスター 「外で何があったの?」

サカシマ 「ははははは」

マスター 「笑ってないで答えて!」

サカシマ 「…」

サカシマ 「すいません! 事故っちゃいました!」

サカシマ 「別にスピードを出してたわけでもないんです。よそ見運転してたわけでもないんです」

サカシマ 「なんていうか、そのう…宅配バイクで走ってたら、目の前がパッ――――と輝いちゃって。まるでオーラロードが開かれたみたいに、その中に吸い込まれちゃって…」

サカシマ 「気がついたら、店の看板に突っ込んでました」

イワミ  「なんだ…普通の人か…」

ナンゴウ 「おい、おい、ぜんぜん、普通じゃないよ。大丈夫かよ。ケガしなかったか?」

ウネビ  「それは心配なさそうですね」

ノゾミ  「で、結局、何しに来たの?」

 

荷物を渡し、

 

サカシマ 「届け物をお持ちしました。黒猫キキのバイク便です」

マスター 「荷物?」

サカシマ 「これです。ハンコお願いします」

マスター 「はい、はい」

マスター 「ん? この住所、中目黒8丁目23の1になってるけど?」

サカシマ 「えっ! 違うんですか?」

マスター 「ここ、7丁目23の1だけど」

 

携帯のナビを確認して、

 

サカシマ 「ここ、7丁目? そんな。ナビ通りに来たのに。店、間違えたな?」

トウジョウ「店の名前は?」

サカシマ 「アミーゴ」

ウネビ  「アミーゴという店はここだけですよ」

ナンゴウ 「でも8丁目なんてないぞ、この町には?」

サカシマ 「えっ?」

 

携帯のナビを確認して、

 

サカシマ 「あれ? さっきまで表示していたのに。なんで、消えたの? 変ですね」

 

荷物を見ながら、

 

ナンゴウ 「それがさあ、さっき言っていた、先生へのプレゼント?」

マスター 「違うよ」

 

荷物を見ながら、

 

マスター 「送り主は…」

ウネビ  「どこなんです?」

マスター 「日本政府からです」

ナンゴウ 「日本政府って…」

ウネビ  「どうして日本政府から、マスターへ荷物が送られてくるんですか?」

ノゾミ  「マスター、政府から表彰されるようなことしたの?」

マスター 「まさか…」

イワミ  「そうでしょうねえ。裏じゃなにやってんだか…」

マスター 「今、何か言ったか!」

イワミ  「言ってません」

マスター 「これは私宛じゃないね。お店宛だな」

マスター 「どうしようかねえ?」

トウジョウ「きっと、送り場所はここで間違いないでしょうから、とりあえず、貰っておいたらどうです?」

マスター 「う~~ん」

トウジョウ「送り返す手続きすると面倒ですよ?」

マスター 「えっ、面倒なの?」

トウジョウ「面倒ですよ」

マスター 「とりあえず、置いとくか…」

 

宅配便の箱を置くマスター。

携帯で会社に電話するサカシマ。

 

サカシマ 「ナビ、壊れちゃったのかな? また会社に怒られちゃうわ」

 

パラレルワールドに来てしまっため、会社に繋がらない。

 

サカシマ 「……。あれ? 繋がらない? …なんで?」

 

マスターに話しかけるイワミ。

 

イワミ  「あのさあ?」

マスター 「なんだよ?」

イワミ  「もし憲兵が来たら、どうなるんでしたっけ?」

マスター 「…」

イワミ  「誰の都合が悪くなるでしたっけ?」

マスター 「…」

 

一同に、

 

サカシマ 「じゃあ、私、会社に戻りますから。失礼しま――す」

マスター 「おつかれさま」

ホッキョクの声「待て!」

サカシマ 「?」

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