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ゴルフプラネット 第26巻

【第2回】メンバーオンリー

2016.01.21 | 篠原嗣典

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メンバーオンリー

 

 会員権は、かつてステータスだと言われた。

 会員権を持っていなければ、ゴルファーとは言えないと言う暴言を支持したゴルフ解説者プロゴルファーもいて、投機の対象としても扱われた。

 

 時代は流れて現在、会員権の相場が全体的に上がる兆候があると言う人が少なくない。会員権を買うということにどんな意味があるのだろう。

 

 そのコースが好き。

 そのコースの会員と一緒にプレーしたい。

 

 その二つ以外の理由は、残念ながら代用できるものではないだろうか。ハンディが取れるとか、安くできるとかいうのは付加価値である。

 

 本当のメンバーコースというのは日本には一握りしかない。会員のためのコースは、会員が責任を持って運営されている。分かりやすく言えば、メンバーコースは本来一般には閉ざされているものなのである。

 

 しかし、現実的には99%のコースでは開かれたメンバーコースにしなければ経営が成り立たない。それを責めても仕方がないことで、そういう中で、如何にメンバーを満足させるか? という問いの答えが、21世紀の日本のメンバーコースのテーマになって久しい。

 

 先日、あるコースでその一つの答えを見た。

 

 そのコースの駐車場の手前側、つまり、クラブハウスに近い2列はメンバーオンリーになっているのだ。ビジターは早く来ても少し遠回りして車を止めなければならない。

 

 その日、コースは比較的混んでいたが、メンバー用の駐車場は贔屓目に見ても3割しか埋まっていなかった。もちろん、それを囲むように一般の駐車場は車で溢れている。

 

 また、メンバー用駐車場の最も近い駐車スペースは、名前が書いてあるボードがあり、車は止められない。これは、クラブチャンピオン専用なのだそうだ。

 

 クラブチャンピオンになったら、翌日から1年間、自分だけの駐車スペースがある…… 何ともカッコイイご褒美だろうか。

 

 クラブハウスの中には、メンバーしか入れないラウンジがある。それは決して大きいスペースではないようだし、景色が良いとか、調度品がある訳ではないそうだ。ただ、いくつかの応接セットがあり、ソフトドリンクであれば飲み放題だという。

 

 米国でいわゆるプライベートコースと言われる閉ざされたメンバーコースに行った時のことを思いだした。そのコースにも駐車場の良いスペースはメンバーオンリーだったし、クラブハウスの2階もメンバーしか入れないロッカールーム(シャワーも含む)、ラウンジ、レストランがあった。私はその時に、メンバーと支配人に許可をもらい2階の一部を見せてもらったが、そこは1階とは比較にならないほど充実していた。クラブハウスの2階が本当のハウスで、1階は臨時用と感じた。

 

 米国が何でもお手本だとは思わないが、メンバーオンリーのスペースを確保して運営をしているコースが日本に出てきたというのは、なかなか面白いことで、好ましいことである。

 

 私は、そのコースの会員になっても良いなぁ、と本気で思った。過去10年で、コースの内容やメンバーなどを要因としないで入会したいと思ったことは皆無だった。

 

 メンバコースは、メンバーのものであるが、ビジターをたくさん受け入れなければ経済的に運営できない現実がある。その中で、メンバーを満足させることをしているコースが出てきたのは素晴らしいことである。

 

 メンバーであることに満足出来るコースだからメンバーになると言う考え方もありなのだと、しみじみ考えてしまった。

 本当の意味でのステータスで、コースを選べるのは意外に近いのかも知れない。

(2006年4月5日)