【第1回】まえがき/野望と挑戦 | マイナビブックス

100冊以上のマイナビ電子書籍が会員登録で試し読みできる

ゴルフプラネット 第12巻

【第1回】まえがき/野望と挑戦

2016.07.25 | 篠原嗣典

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

まえがき

 

 第12巻はゴルフが出来る幸せがテーマです。

 

 2002年に書かれたもので、途中で創刊から500号を越えたりして、勢いのようなものを感じる内容になっています。

 

 色々なゴルファーのエピソードが出てきます。

 特別な有名人ではない人ばかりです。ゴルフはたくさんの人と出会えることも魅力のひとつですから、知り合った気分で読んでもらえると楽しいと思います。

 

 「登場するゴルファーは本当に実在しますか?」と、よく聞かれます。

 難しいところで、そのまま書いているケースもありますし、モデルがいて脚色を加えているケースもあります。エッセイとはという疑問に自分なりの答えを出したのは2002年でした。

 

 ゴルフを好きだという気持ちは10年前も今も変わりませんが、ゴルフに対する気持ちは10年前と今では違う部分もあります。それは青い部分だったり、尖っていたり、若さの特典なのかもしれません。

 ゴルフが大好きだと公言することが理解されるという意味で、現在は2002年より大幅に認められているような気がします。

 ゴルフが大衆化したとは言いませんが、2002年は大衆化へ向けて空気が変わった年でもあるのです。

 

 ゴルフがもっと好きになりたい全ての人に読んで欲しいのが第12巻です。

(2013年5月)

 

野望と挑戦

 

 例えば、幅1メートル、深さ50メートルの谷があったとする。50センチの深さなら、普通に飛び越えられても、50メートルになると自由に体が動かないことは想像できる。幅は1メートルでも、深さによってその感じ方は様々である。

 

 ゴルフでもそういうことは多々ある。先日も、イイ感じのドローで狙い通りにフェアウェイの左にボールを運び、早足で2打目の地点に行ってみると、ティグランドからは分からなかったが、あと左に10ヤード飛んでいたらOBだったと分かった。知らぬが仏である。そこは初めてのコースだったのだが、次回にプレーする時は、そのホールの第1打は刻むであろう。

 

 深い谷であれば、幅に関係なく飛び越えることに対して慎重になる。それは無謀だと言われることを恥ずかしいと感じる人であれば、ごく当たり前の心理である。しかし、人間の弱さは、むしろ逆の形で現れる。谷とは言えないようなどぶ川なら、飛び越えるのは簡単だと感じるのである。

 

 幅は全く同じだとした場合に、深い谷とどぶ川の両方を飛び越えたとしたら、どちらが事故が起きる可能性が高いであろうか? ハッキリとした統計はないが、案外と簡単であるはずのどぶ川のほうが事故が起きやすいと思うのである。簡単だという安心が、慢心になりやすいからである。

 

 再びゴルフに話を戻して考えてみる。

 

 タフで難しいホールは、深い谷と同じである。本来なら何の問題もなく飛び越えられる幅なのに、深さ故にビビってしまうようなものも含まれる。当然、幅もあり、深さもあるような難攻不落なホールも存在する。でも、そういうホールで失敗しても、そんなにショックはない。失敗しても仕方がないという諦めがあるからである。

 

 幅が狭く、浅いどぶ川は、短くて簡単なホールと同じである。簡単だと思っているから、実力を発揮しやすい反面、失敗した時のショックは大変なものである。ズルズルと崩れるようにスコアが悪くなるきっかけは、なめてかかったホールでの予想外の大叩きがきっかけであるケースが多い。

 

 ゴルフは挑戦の連続である。

 

 ショットだけではない。様々な判断も挑戦だと言える。挑戦に対する恐怖に打ち勝つには大胆であるべきで、それを導き出すのは野望だと思う。無謀は不要であるが、野望は必要である。

 

 挑戦と野望のバランスが重要だと分かってはいても、これに関しては絶対的なマニュアルはない。一生の中で、その時々のベターなものを選びながら挑戦し続けることと、常に一歩先を目標にすることで、何回か満足いく答えが出るのであろう。

 

 いずれにしても、挑戦と言うからには高いレベルのものを攻略するからこそ、その意味がある。2002年年頭。挑戦について考えながら、自らの野望を確認した。

(2002年1月11日)

続きをご覧いただくには、会員登録の上、ログインが必要です。
すでにマイナビブックスにて会員登録がお済みの方は下記の「ログイン」ボタンからログインページへお進みください。

  • 会員登録
  • ログイン