【第1回】第1章 | マイナビブックス

100冊以上のマイナビ電子書籍が会員登録で試し読みできる

天狼ノ星 天の章 上演台本

【第1回】第1章

2015.05.07 | 河瀬仁誌 | 丸山喜大

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 時空の狭間、ウサギの社。

 社の頂上にウサギの女王レタルが立っている。

  

レタル

 昔話というには遠く、神話と呼ぶには近い話。

 夢と呼ぶには矮小で、史実というには壮大な話。

 この国は、大きな4つの異なる種族によって治められていた。

 執着するには遠く、無頓着でいるには近すぎた……。

 この国が、大地というには狭く、島と呼ぶには広大であったからだ。

 海を治めるシャチの一族。

 

 シャチの一族が現れる。

 

レタル

 空を治めるタカの一族。

 

 タカの一族が現れる。

 

レタル

 山を治めるオロチの一族。

 

 オロチの一族が現れる。

 

レタル

 草原を治めるオオカミの一族。

 

 オオカミの一族が現れる。

 

レタル

 4つの種族は、時に競い合い、時に協力し、時代を乗り越えてきた。

 しかし、昨今は反目し合うことが、多過ぎる様に思う。

 それ故、定めたことがある。

 我らウサギの一族は、この4つの種族に1人ずつ使者を送る。

 我らウサギの一族が、4つの種族の王を決める。

 我らウサギの使者が仕える者こそ、王である。

 それは、4つの種族を纏める、真たる王を見つけるため、

 それらは、時代の大いなる繁栄のため。

 そのために、我らウサギの一族は存在する。

 

 土から4人のウサギの一族が作られる。

 

レタル

 海のシャチには、パイカラを遣わす。

パイカラ

 はい。

レタル

 空のタカには、マタを遣わす。

マタ

 はい。

レタル

 山のオロチには、チュクを遣わす。

チュク

 はい。

レタル

 草原のオオカミには、サクを遣わす。

サク

 はい。女王様

レタル

 各々が従える一族で、王たる器の者を探し出し、仕えよ。

 その拠り所は、己が信念に任せよ。

 信じる王が死ねば、新たな王たる器の者に仕えよ。

 信じる王がより、器の大なる者が現れれば、その大なる者に仕えよ。

 一生涯に一度のみ、己が信じる王のために、

 我らウサギの大いなる「力」を使うことを許そう。

 また、それはまで死ぬことを許しません。

 この時代に、王たる王が見つかることを祈ります。

 すべては、時代のために。

4人

 すべては、レタル女王様のために。

 

 音楽【OPACT】

 音楽に合わせて踊る各種族。

 シャチの一族の踊り、パイカラが近づきオルカを王と認める。

 タカの一族の踊り、マタが近づきニソロを王と認める。

 オロチの一族の踊り、チュクが近づきタプコプを王と認める。

 オオカミの一族の踊り、サクが近づきホロケゥを王と認める。