シューズを磨いて
中学の終わりから高校1年の時、私は靴を磨くのにこだわっていた。今思い出すと、何故だか理由は分からないのだけど、とにかく、毎日の靴磨きは社会人となる基本のように考えていた。私に恋が如何に愛しくも切ないのかを徹底的に教え込んでくれた女性と出会ったのも「君の靴って、いつもピカピカだね」と声をかけられた下駄箱の前だった。
ゴルフの時に白いシューズを好んで使用している私は、透明のシューズクリームを片手に持ち、ラウンドが終わった夜に、反省しながら靴磨きをするのが好きな時間だった。過去形になるのは、現在のシューズは磨くことが出来ないからである。