お風呂場のおじさんと語る
あるコースのお風呂場に勤務している初老の男性がいる。便宜上、Rさんと呼ぶことにしよう。Rさんは、目立つ存在ではないが、お風呂に来た人に分け隔てなく誰にでも気持ちのいい挨拶をするので、分かる人にはとても評判の良い従業員の一人だったのである。
よく行くコース(強いてホームコースとは言わないが)で、良い印象を残してくれる従業員がいるということは、とても素敵なことである。例えば、私がカシミアのセーターを着ていた、とする。フロントに新しく入った二十歳ぐらいのモー娘。の石川梨華ちゃんに似ている女の子(分かる人にしか分からないなぁ)が、それを見て、「いつも着ている物が素敵ですね。手触りが良さそうなので、触らせてください……」と、唐突に私の腕をさすった場合。