切り札は最後に
昨年末より、私の部屋には2本のパターがある。1本はピンの最も新しいパターの一つであるペンギョウi2。もう一本は、パル2のi2。
ゴルフ人生において、用具を2つ以上揃えて、エースと予備などというような使い分けをしているのは、シューズぐらいなもので、クラブやパターなどは、決めた瞬間に、不採用となった方は倉庫に行くか、処分してしまうのが決まりになっていた。迷いをなくし、心を通わせて使用したい用具に対する礼儀のようなものだと考えていた。
しかし、先程の2本のパターは、部屋の中で出番待ちの状態を維持しているのである。昨年、誌面でも取り上げたので、興味を持った方からメールで、どうなったのですか、と質問があったりもしている。
結局、パル2の方は、未だにデビューしていない。
ペンギョウをコースに持って出掛けているのである。
練習の結果や感触だけで判断すると、パル2の方が数段レベルが上なのである。フェースの幅が広く、トウ&ヒールになっているとハッキリ分かる軽い打感、性能がどうこうというより、完全に好みの問題であるが、パル2への入れ込みは強力なのだ。
しかし、ペンギョウも悪くはない。最新のパターであるので、フェース幅が狭く、バックフェースもプレーンバックというか、凹みがなく直線的なデザインだ。ラインに対して構えやすいというのは、大きなプラスだと思われる。実際にボールを打つと、イイ感じで転がる。手先の微妙な感覚を伝えるというタイプではないが、振り幅に対して純粋に直進しようとする打球は、気持ちがよい。
ペンギョウを持って3ラウンド使ったら、パル2を実戦投入しようと思っていた。分かりやすく説明すると、私は好きなものを最後に食べるタイプなのである。
予想としては、ペンギョウは良いパターであるが、結果が出ないと考えていたのである。だが、腕を差し引いて考えて、ペンギョウも結果を出していると言えるのだ。72ホールを消化して、9つのバーディパットを沈めた。これは、ノー感パットに苦しめられたことから復帰しながらということを考慮すれば、かなり多い数字だと思われる。だから、言葉は悪いが、捨てきれないのである。
また、パットの不調の原因も徐々に分かってきたので、勝負はこれからというムードが自らの中にあるのも事実である。
パル2に関しては、そういう意味で効果があるような気もしている。グリーン上で、まだ切り札を出していないという余裕がある。その分、変に追い込まれた状態で悩むことがなくなった。極端な話、外れても仕方ないと簡単に認めることが出来るし、入れば儲けものと思えるのである。
切り札は最後まで取っておくのが勝負の鉄則である。春ぐらいまでは、このまま曖昧な状態で自らの感覚が戻るのを待つしかないと、悲しみながらも、ほんの少し嬉しい日々なのである。
(2002年1月22日)