【第4回】パットの恐怖

パットの恐怖

　生まれて初めて芝生の上から打ったパットを覚えている。練習場の練習グリーンで、スライスラインだった。かなり強く打ち出されたボールは軽く右に曲がりながら、練習グリーン用の底付きの小さいピン（正式名称不明）に当たってホールに落ちた。パットのコーチだった女子プロが困った顔をしながら、「センスはある」と一言いった。

　それ以来、傾斜でボールが曲がるという物理的な法則で悩んだことはない。下りとか、上りとかも、他の人が神経質になる理由が分からないほど、悩みの対象にはならなかった。