【第0回】はじめに | マイナビブックス

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一生役立つゴルフ上達法 第二巻

【第0回】はじめに

2014.12.08 | マーク金井

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はじめに

 

 2010年の8月からまぐまぐというメルマガ配信サイトで有料メルマガ「マーク金井の書かずにいられない」を開始しました。そのメルマガの連載から、「一生役立つゴルフ練習法」と「一生役立つゴルフクラブの選び方」を電子化して、Kindle Storeの電子書籍ランキングでどちらもスポーツ部門で1位を獲得しました。

 この「一生役立つゴルフ上達法」(連載時は「ゴルフ演劇論」)はメルマガの連載の電子化第3弾となりますが、実は僕が一番電子書籍化したかったのがこの「ゴルフ演劇論」という連載です。

 5年前にふとしたきっかけで演劇鑑賞にはまりました。

 最初の一年は週に5日、有名無名を問わず観まくっていました。

 その時にふと気がついたのです。ゴルフのスイングと役者の演技との間には共通点があまりに多いことを。

 いい演技とは、観客側からは自然に見えても、やっている方の役者は決して自然な振る舞いをしていないということが……。

 歩く、座る、喋る、怒る、悲しむ、笑う。芝居を見ればみるほど、自然な動きなど実は無くて、役者が稽古でとことん後付けで「自然に見せる」演技を獲得しているということが……。

 素人が自然に振るまっても、その感情表現は自然に見えません。もしも自然な振る舞いで演技が成立するならば、稽古の必要はありません。そして、だれもが役者になれます。

 フィギュアスケートの4回転ジャンプや体操選手のアクロバティックな演技同様、芝居における演技(感情表現)も、稽古を重ねないことには成立しないことが分かりました。

 役者は稽古を何日も何日も重ねることで、観客から見て自然に見える演技を獲得しているのです。

 ゴルフもしかり。はっきり言います。自然な動きなど一切ありません。

 この不自然な動きを自然に演じ切るためには、自然に見えるような稽古が必要だとわかりました。そして、自分の感覚だけに頼らずに、客観的に正しい稽古を重ねることが大事だとわかって、僕のスイングは劇的に変わりました。

 フェースブックで稽古中のスイングをアップしていますが、本人は不自然な動きを積み重ねているにもかかわらず、多くの人から「動きがスムーズ」「スイングに無駄がない」「自然に見える」などのコメントをたくさんいただきました。正しい身体の動きを一つずつ解体し、不自然に動くほど、自然に見えてしまうのです。

 ゴルフと同じように演劇はリアルタイムで進行し、その場限りの待った無しです。ゴルファーとクラブとゴルフコース、役者と演出家と芝居小屋。客観と主観。演技もスイングもどちらも身体表現。そんな視点でゴルフを見なおしてみたらどうなるのか?

 演出家の視点で、スイング(演技)を見つめなおしてみたのがこの連載です。

 ということで、マーク金井的「ゴルフ演劇論」のはじまりです。

(2013年3月)
 

 

本書はメールマガジン「マーク金井の書かずにいられない」所収の記事の中から「ゴルフ演劇論」をまとめ、再編集したものです。名称などは当時のまま掲載しています。